高台グラウンドの倉庫
中学校の南は階段を30段ほど昇る高台になっていて、階段を昇った左に木造の倉庫がありました。
教室2つ分ほどの倉庫には、高跳びのマットやハードル、部活動の用具や文化祭に使う大道具などが、雑然と詰め込まれていました。
この倉庫、怪奇現象がよく起きたんです。霊感に関係無く目撃する生徒が出ました。
一番多かったのは、手形です。
血染めのような真っ赤な手形が、無数にあらわれるのです。あらわれ方に法則はなく、床、壁、天井といたる所に出現し、目撃した生徒は悲鳴をあげて逃げ出していました。
私も手形に遭遇しています。
当時、年に一度、全校生徒を対象に行われるスポーツテストがありました。身長体重胸囲などの身体測定の他に、握力背筋力、垂直跳び等の筋力測定、前屈上体反らしという柔軟測定だけではなく、校庭での体力測定もあり、1日かかる大イベントでした。
体力測定で行う走高跳びのマットを、係りのクラスメートと二人で倉庫に取りに行った時のことです。
分厚いマットは倉庫の最奥、東の壁に立て掛けてありました。女子二人で重いマットを引き摺り、なんとか運び始めたとたん、クラスメートが悲鳴をあげたのです。
もしや、と振り向いた私は、壁一面にあらわれた無数の赤い手形を見ました。マットをずらした時には何もなかった板壁に、真っ赤な手形が所狭しと浮かぶ様は、気持ちのいいものではありませんでしたが、恐怖というより、不快感にザワッと総毛立つような感じがしました。
私にとっては手形より、マットを運び出さずに逃げられてしまったことの方が、強烈な思い出になっています。
手形の他に、人影が目の端を掠めるように現れるという怪異もあったようです。
私は残念ながら見ていませんが、高台への階段に佇む女性の霊なら、何度か見掛けました。
もしかしたら、その女性と人影は同じものだったのかもしれません。
この倉庫に纏わる話は他にもあるのですが、それはまた後程。
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