第13話 その後の話
あのニワトリがどうなったのかは誰にも分かりません。肩に深い傷を負っていたので、そう長くは生きられないかも知れません。元々、家畜として育てられる宿命だったため、自然で生きていくという本能もあまり持ってはいないでしょう。それでもどこかで生き続けている可能性は少しばかりは残っているかも知れません。
しばらくして場面は再びあの飼育施設。
ニワトリを逃してしまった人間が再び施設にやってきました。
「おい。お前のところのヒヨコはすぐ死んでしまったが、もう一回だけヒヨコを買ってやることにする」
「そうですか…」
「なぁ、うまく育てて卵を生ませたいんだ。そういうヒヨコを連れて来てくれ。金は少しは弾んでやる」
「…。わかりました…」
そうして新しいヒヨコが連れて来られました。
「これは元気な"メス"のヒヨコですから、ちゃんと育てればたくさん卵を生むでしょう。ちゃんとするには餌や環境は…」
「まったく口うるさいヤツだ。何が『ちゃんと育てれば』だ。ちゃんと育てているに決まっているだろう」
「本当にね。失礼しちゃう。だいたい前回はあそこが卵も生めないヒヨコを渡して来たのがいけないんだから」
「まったくだ。こっちが言わないとそういうヒヨコを渡さないなんてまるで常識がなってない」
「ほんと、ほんと。」
さて、新しく売られてきたヒヨコは今度は一体どのように育っていくのでしょう。
まだ何も知らない元気なヒヨコ。その命運を紐解く物語はいつかまたどこかで。
とあるヒヨコの一生 ゆたりん @nirakuyu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます