第7話(終)

それから一週間経ち、祖母がこの世を去った。青年は、生前会う際に涙を流してしまった事に申し訳なさを抱きつつも、別れを告げた。


遺影を眺め、青年の愛する祖父母がとうとうこの世を去ってしまったのだと実感していた。それは辛く切ないものであったが、青年は絶対に涙を流すことはしなかった。


青年には祖父母に伝えられなかったことがたくさんある。生まれてから3歳まで、忙しかった両親に代わり祖父母は赤ん坊の青年を世話してくれた。


たびたび祖母は、青年が苦労する姿を見るたびにこう話した。


「三つ子の魂百までというのは本当ね。苦労させちゃってかわいそうに、ごめんね。」


だが青年はそんなことは絶対にないと思っていた。


なぜなら、祖父母の無償の愛のおかげでなんとかここまでやってこれたのだから。


でも青年は直接それを伝えられなかった。いかほど感謝しているかということも。どう表現したらいいのかが分からなかった。


しかし、確かなことがある。呼吸をするのも精一杯の祖母が目を見開いて、青年の名前を呼ぼうと声を出していたあの時、確かに青年の思いは伝わっていたのだと。


そうだよね、おばあちゃん。天国でおじいちゃんとまた仲良く暮らしてね。それだけが僕の願いだよ。本当にありがとう。これからも僕の心の中で、二人は生き続けます。

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