第5話

それから1年半ほど経った。青年は日々孤独に、病と薬の副作用によってどん底に落とされ続ける日々にもがき続けた。


その甲斐あって青年は少しずつ病に寄り添えるようになり、回復しはじめた。


だが、しばらくして祖母にも癌が見つかってしまった。またこうなってしまうのか、と青年は深く悲しみに突き放された。


だが、今回は元気なうちに会いに行こうと心を決め電車に乗った。


玄関を開けた祖母の姿は、一回り小さくなっていた。抗がん剤治療の影響だろうか。歯も抜けてしまっていた。でも、祖母は太陽のような笑顔で青年を迎えてくれた。


その笑顔を見て、青年は会いに来なかった自分を責めた。と同時に、絶対に涙など流すまいと心に強く誓った。


ソファーに座ると、祖母は今まで言えなかったであろう事を一気に青年に話してくれた。祖母もまた、自分の気持ちを正直に話せる人がいなかったようだ。精神的な孤独は自分だけではなかったと気づいた。


そして話疲れてぐったりしていた祖母にゆっくり休んでと伝え、青年は帰路についた。帰宅ラッシュで騒がしい電車の中で、祖母の語った一言一言を想起し、噛みしめていた。

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