第4話

それから2年ほど経ったある日、祖父の癌が発覚する。末期癌だった。青年は自室でひたすら自分を責め続けた。


大好きだった祖父に対して、自分は顔を見せに会いに行くことすら出来なかった。なんて親不孝なのだろうかと。


そんな事実が尖ったガラスの破片の様に、寝ても覚めても心にぐさりと刺さっていた。


しばらくして見舞いにいった。青年は病を患って以来、どんなに辛くても涙を流すことはなかった。


しかし、癌により変わり果てた姿の祖父の前では嗚咽が止まらず、管に繋がれた祖父を見てまるで自分がそんな姿にさせてしまったかのように錯覚し、豪雨の如く涙を流し続けた。


数週間が経ち、祖父がこの世を去った。青年は、胸に深く刺さったガラスの破片と共に祖父に最期の別れを告げにいった。


大学というレールから外れて以降、重いうつ症状と対人関係への難により青年は動きたくても動くことがなかなかできなかった。


にもかかわらず、外から見た様子では普通の人であった。そのギャップがさらに青年を苦しませた。


そんな自分の姿に青年自身も苦しみ、また祖父を安心させてあげられなかった自分との葛藤の日々が続いた。

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