第3話

そして大学に入り、あまり好きでなかった実家から離れ一人暮らしを始めた。狭い部屋だったが、青年はやっと心が落ち着く場所を見つけられた気がしていた。


だが、入学後程なくして青年は大学に行けなくなっていた。あれだけ努力したのにもかかわらずだ。青年はひどく落ち込んだ。行きたくてもいけないのだ。


現実は残酷である。


後に発覚することだが、青年には精神的な病があった。それにより人と関わることに対し極度にハードルがあがり、またうつ症状も併発していた。


何故僕の人生はここまでうまくいかないのだろうと青年は深く悩んだ。大学に入れば、祖父母のような立派で優しい大きな人間になれると思っていた。


だが、現実は非情なもので、青年は入学して2ヶ月もしない間に大学に通うことが出来なくなり、一人でただアパートの一室に籠っていた。


そんな青年は、気づくとまともな食事もあまりとれずに空腹を誤魔化すためにひたすら寝続ける日々を送っていた。


そうやって文字通り孤独になっていくと、段々と会話が下手になり、ユーモアに欠け、表情が固くなっていった。


自分でも自覚できるほど、悲しい表情が続いていた。青年は、会いに行きたくても祖父母に顔を向けることが出来ずにいた。

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