置いて逝かないで
普段はきらきら笑うくせに二人になるとあんまり笑わないところとか、二人の時に見せる笑い方は普段と違う特別感があるとことか。
人のために、いつからか私のためにしか動かないところとか、自己犠牲が過ぎるところとか。
私を置いて逝ってしまったあの子にあなたは似ている。必死に笑っていつからか笑う以外できなくなって、自分を殺しすぎて本当に殺してしまったあの子。いつも私の横で泣いていたのに、怒っていたのに、気づいたときには笑ってて、笑顔を零しながら落ちていったあの子。いつかあなたも私の目の前で落ちてしまったら。それを考えただけで息が詰まるようだった。
あなたをぎゅっと抱きしめた。痛いよ、あなたがそう笑って私の背中を小さい子にするみたいに優しく叩くまで抱きしめた。あなたが私の目の前から消えないように、落ちていかないように。今度こそ離さない。今度こそ助けて見せるの。あの子のためにも、あなたを離さない。
「ねえ、」
「ん?」
いつかあなたまで私を置いて逝ってしまうのかと怖いから、力の限りあなたを私の腕に閉じ込めて、逝かせないと誓った。
「置いて逝かないでね。」
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