Episodio 27 「」
「嫌だ・・・・・・それだけは、絶対に嫌だ・・・・・・頼む、そんなこと言わないでくれ・・・・・・」
呪いを受けたお姫さまを目覚めさすのは、王子様だ。
でもレオンは王子様なんかではない。
レオンの口づけは、シンデレラの魔法が解ける残酷な12時の鐘にしかならないのだ。
「リナルド、泣かないで」
これが泣かずにいられるか。
死にゆく恋人に、何も出来ない自分が情けなくて仕方がない。
代われるものならば、例え地獄に落ちようと神に見放されようと構わない。
以前もそう願った、それは叶えられた。
そして、今、2度目の奇跡はない。
これ以上マドンナリリーのことが世間にバレる訳にはいかない。
頭では何をしなくてはいけないか、分かっている、分かっているが、レオンはどうしても納得出来なかった。
「そうだ・・・・・・これが終わったら、結婚しようって、ユーリとどこか2人で、静かなところで・・・・・・」
レオンはずっと懐で温めていた指輪を取り出し、悠莉の薬指へと嵌めてあげた。
小さいながらダイヤモンドの輝くプラチナの指輪が、青白くなっていく指先を美しく彩った。
「ありがとう・・・・・・リナルド、本当に、ありがとう・・・・・・わたしも、愛してる」
心臓を撃ち抜かれた痛みに耐えながら、悠莉は涙を流しながら笑った。
とめどなく溢れていく血に、もうこれ以上悠莉を苦しめるなと言われているようでレオンはどうしようもなくなった。
これが、最初で最後の、夢の終わりを告げ魔法を解いてしまう口づけ。
この、バカがつくほどお人好しで人なっつこく、無邪気で純粋で料理が得意で運動音痴でこんなどうしようもない男を愛した、どうしようもないこの人を、
「愛してる・・・・・・悠莉」
真っ赤に燃える夕陽にそのまま全てが燃えつきれば。
祝福などいらぬ。
この口づけが、魔法を解く残酷な行為などではなく、愛しき人に捧げるべき愛であるならば――
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