第四章…「俺の持つモノは。」


「熱くなれッ! 夢見た明日―ッをーーッ!」

 閉ざされた閉鎖空間、人の話し声だって注意して聞かなきゃ、聞き漏らす事が当たり前の部屋の中。

 友人はマイクを片手に、歌声とは名ばかりの叫び声を、部屋中に響かせる。

「手伝うとは言ったが、もっとましな所があったろ…」

「激しく同意…、久しぶりのカラオケだったから楽しみだったのに~」

「そうか~? 煮詰まったりしたらすぐに歌って気分転換できるし、PV付きのアニソンとかゲーソンなら、丁度良い刺激になると思うが」

「言わんとしている事はわからんでもない。でも、それならもう少しボリュームをだな…」

「これじゃ、集中どころの話じゃないね」

「全然。このぐらい普通だって」


---[01]---


 荒っぽい性格な友人は、こちらの話を適当に流しつつ、デッサンノートにシャープペンを走らせる。

「にしても、細々とした作業が苦手そうな奴が、絵が上手くて、大人しそうな顔して今まさに熱血系のアニソンを熱唱している奴が、そういった細々とした事が苦手とか…。世の中見た目だけじゃわからない事がたくさんあるもんだな」

 描き出されていくキャラクターに目を通しながら、その作者のギャップに、意外だ…と思った事をそのまま口に出す。

『クリームソーダ1つと、オレンジジュース追加で。はい、お願いしま~す』

「唐突に酷い事を言うじゃねぇか夏吉」

「ギャップの話だ」

「そのギャップで、その辺のお姉ちゃんのハートを狙い撃ち?」

「ふざけてるだけでも、お前達に言われるとすげぇむかつく」


---[02]---


「気のせいだって」

「うん、気のせい気のせい」

 友人らがオリジナル創作を作ると言い出してから数日。

 今日は学校帰りにカラオケボックスで、その続きの作業中だ。

 入ってきて早々、友人の1人が歌い出しているから、本当に作業しに来たのか疑わしい所があるけど。

「そう言えば、描いているのに恋愛要素とかあるの?」

「恋愛? 今の所、入れるつもりはねぇな」

「え~。心ときめく恋愛模様とか見たいのに」

「いやいや、あくまで描いてるのは、バトルモノだし。血みどろな戦いを延々としている中で、急に頭の中がお花畑になったらおかしいじゃん」

「そこを何とかするのが、製作者ってもんじゃないの?」


---[03]---


「描きたいモノを捻じ曲げてまで、ねじ込む恋愛に価値があると思ってんのか、おとなっしー」

「むむむ…。夏喜はどう思う?」

「夏吉は必要だと思うか?」

「俺に振るな」

 面倒だなと思いつつ、パーティ用の大皿に乗った冷凍フライドポテトの山から、一本、また一本と芋を口に運ぶ。

 確かに、作っている作品の主役は、夢の中の俺、フェリスだ。

 いや、フェリスを元に作った別人か。

 どちらにしても、フェリスが中核にある以上、大なり小なり自己投影してしまう。

 下手に作られた作品の中で、どこの馬の骨ともわからない野郎になびく姿を見せられるのは、俺から言わせれば気持ち悪いもいい所だ。


---[04]---


 俺の意見を求める視線が痛い。

 これは有耶無耶にせず、しっかりと答えてくれ…という圧なのか。

「恋愛は嫌だな。俺自身男だし、主人公が女である以上、相手は必然的に男で、主人公に自己投影をした場合、男×男になって、違和感しか…」

「あーッ!? 夏喜いつの間にポテト注文してたの!? ずるーいッ!」

「聞けよ、人の話」

「そんな事より、ポテトだよポテト。気にならなかった空腹を刺激して、腹減った食わせろ、て思考に頭を支配する魔のジャンクフード。それが山盛りも盛り盛り、この前には恋愛云々の話なんて、小さい話。そんなの後でいいよ」

 少しはこっちの気持ちを汲み取ってくれ…、2人の手の平返しに思わず愚痴が籠れるが、そんなものは今のこいつらにとってその辺で鳴いている虫の鳴き声に等しい。

「お、いいねぇ。俺も小腹が空いたし、おやつタイムって事で」


---[05]---


「お前もかよ、言い出しっぺ」

「「細かい事は気にしな~い」」

 観念したように、俺は溜め息をこぼす。

 横に座っていた文音は体がくっつく事など気にせず、体ごとポテトの大皿へと近寄り、デッサンノートにペンを走らせていた友人は、いつの間にかそのノートを椅子の邪魔にならない所に置いて、さっきまでシャープペンを握っていた手が今は細長いフライドポテトを握っている。

 文音はこのメンバーの中で、一番目的から離れた位置にいるからいいとして、お前は真面目に描き続けなくちゃいけないだろうに。

『は~、歌った歌った、まだまだいけるけど、ちょっとだけ休憩』

 この部屋に入ってどれだけの時間が経ったか…。

 一時間は経っていないけど、30分は優に超えている。


---[06]---


 その間延々と歌い続けていた友人が、ようやく誰にも渡さんとしていたマイクをテーブルに置く。

「あ、パーティポテト注文したんだ。気が利くね」

「お疲れ」

 マイクからコップへ、半分以上残っていたジュースを一気飲みし、新しい飲み物を注文した友人は、何の休みも入れずにポテトへと手を伸ばす。

 1本2本の話ではなく、一度に取る量、一度に口へと運ぶ量が平均して5本を越え、どんどんとその胃袋へと芋を詰め込んでいく。

 忙しい奴だ。

 歌の後は食、ハッキリ言って休憩とは言い難い食べっぷりである。

「それで…、何の話をしていたの?」

「中身とできる事が噛み合っていないなって話」


---[07]---


「何それ?」

「お前ら二人は性格を入れ替えれば、ガッチリとハマるなって話だ」

「あ~懐かしいなぁ、ソレ。昔は見た目とかも中身相応だったけど、いつからかこんなになちゃった。ねぇ?」

 友人は、ポテトを食べるスピードを緩める事無く、言葉も詰まらせずに答えていく。

 食べる量もそうだが、口に入れてから飲み込むまでの速さも大概だ。

「そんな昔の事は覚えてねぇな。覚えてるのは、お前が親が頭を抱える程の悪ガキだったって事ぐらいだ」

「そうそう、どこに行くにも友達を連れまわして、自分のやりたい事に付き合わせていたっけ」

「今じゃ想像も付かないな…と言いたい所だが、さっきまでの豹変したような歌いぶりを見た後だと、そうも言えないな」


---[08]---


「ず~っと歌ってたもんね、熱唱系」

「いつもの事だ。俺からしたら恒例行事と言ってもいい」

「え~なんか酷い言われような気が…。皆が先に歌っていいって言うから、歌わせてもらったのに」

「程度の問題だな。俺も文音も、連続で30分以上歌い続けるとは思っちゃいなかった」

「普段から、全力で歌う事を我慢してたんだなって」

 いつもこのメンバーでカラオケに来る時は、交互の順番、ぶっ続けで歌い続ける事なんてなかった。

 それが普通だと思っていたからこそ、その光景には驚くばかり。

「まぁ、もう過ぎた事だよ。僕はもう満足したから、残りの時間は皆で歌っちゃって。でもその前に、僕らの昔の話をしたんだから、夏吉たちの昔の話も教えてよ」


---[09]---


 友人の浮かべる微笑みが、少しだけいたずら心に染まった…ような気がする。

「昔話って言ったって、特に話す事は無いぞ」

「昔も今も変わらないかなぁ」

「そうなの? 何かあるんじゃない? 夏吉は、子供の頃は怖がりで、おとなっしーの後ろを隠れながらじゃないと人前に出られなかったとか、いたずら好きでよくスカートをめくられたとか、暗がりが怖くて夜とかは一人でトイレに行けなかったとか、そういう些細な話」

「ありきたりだな、少なくとも俺は人見知りじゃなかった。あと、ガキの頃にスカートめくりなんてした事ねぇよ、いつの時代の話だって話だ。俺ら世代にそういう輩が居たとしても、それはきっと絶滅危惧種だろうさ。トイレに一人で…とか、俺に限らず、誰だって経験がある事だろ。別に珍しい事は無い」

「ほんと何の変哲もない子供だったよね、夏樹って」


---[10]---


「つまらん、奴だな」

「全くだよ。何のネタにもならない」

「殴り飛ばしてやろうか…、お前ら」

「まぁまぁ」

「ネタって言っても、結局それは夏吉の情報であって、今作の主人公たるフェリス・リータの情報じゃない。だから聞いた所で笑いの種になるだけだけどな」

「今回描く話とは別に、おまけとして描くぐらいだね。使えたとしても」

「・・・」

 手伝うと言った自分を殴れるのなら殴りたい気分だ。

「そういや、描いてるヤツの敵はどんなだ? お前らが手伝えって言ってきた時は、何も書かれてなかったけど」

 玩具で遊ぶ子供のような手、矛先がいつまでも自分に向いているのが嫌で、パッと思い浮かんだ現状持っていた疑問に話の流れを移す。


---[11]---


 有難い事に友人らも、俺をネタにする事に対して、そこまで執着が無いようで、俺の疑問にすぐに答えた。

「今の所決まってねぇ。むしろこっちが聞きたいぐらいだ。夏吉の夢で、そういうラスボスポジになる登場人物は現れたか?」

「うん、それは気になる所だね」

「お前らは自分達で考えるって考えは無いのか? キャラ設定が俺の夢から全部出すつもりかよ?」

 1から10まで、創作は全部が大変な事だ、それは分かる。

 それを3人でやろうというのだから、分担は大切な事、量で言えば妥当なのか…と、こういった事に疎い俺は探り探りだ。

「元が夏吉の頭の中の世界なんだから、出来る限り忠実な方が良いだろうって話だ」


---[12]---


「その方が、夏吉も想像しやすいと思うんだ」

 忠実に再現した所で、その答えを知っているのは俺だけだろうに、その辺に良い悪いなんてあるもんか。

「まぁそんな大物が出て来てたら、夏吉なら教えてくれてるだろうし、聞いた覚えが無いって事は、つまり」

「まだラスボスの登場は無いって事だね」

 そもそもゲームじゃあるまいし、ラスボスが居る前提で話を進められてもな。

 夢の世界では、現実で存在しているのは俺だけと言えるし、自分が主人公と言えなくもない。

 主人公であるのなら、その存在にはやるべき事があるし、可能性の話として、ラスボスの存在を否定はできないだろう。

 ラスボスを倒すのは主人公の役目…というか、主人公の物語のラストの敵がラスボスなんだから、それは当たり前か。


---[13]---


 そいつを、主人公じゃない第三者が倒すとか…、そんなもんオマケエンディングのネタ枠とか、はたまた過去作のキャラクターの名前に泥を付けずこいつら強い…を証明するエンディングだ。

 俺としてはその方が面倒ごとにならないし、痛くないし、楽だけど。

「まぁ登場してないんならしょうがねぇな。こっちで考えるか」

「そうだね。その登場を待っていたら、作業が進まなくなっちゃうし」

「例えばどんなラスボスにするんだ?」

「その辺はありきたりでいいだろう。筋骨隆々の巨漢とか」

「最近だとヒョロヒョロした敵もいっぱいいるから、それが絶対って訳じゃないけどね」

「ラスボスって雰囲気が出てりゃあ何でもいいんじゃないか?」

「ダメだ、それはダメだ。主人公の話の終着点を飾る存在を、適当に終わらせるのは愚の骨頂」


---[14]---


「適度な存在はラスボスの器足らんてやつだね。ラスボスなんだから、その存在感は大きくしないと」

「そ~かい」

 適当にやっているように見えて、こだわりの色が濃いな。

 いちいち俺に聞かずとも、自分達でやっていった方が、良いんじゃないかとすら思える。

「まずは所属だな。フェリスが居る国と敵対している国があるのなら、そこの重要人物がラスボスになるのが、妥当な所だが」

「実はその2つに属していない第三者が、裏で暗躍していて、両者が潰し合った後に漁夫の利を得ようと現れる…なんて、そんな展開も良いかも」

「悪かねぇが、それだと登場人物が増える。シリーズとして、俺らが描き続けるならそれもアリだ。でもよ、今回は勢いに身を任せた一発屋、先の事を考えるよりも1つの作品として完成させた方がいいと思うぜ」


---[15]---


「確かに、そうか」

「その敵、真打を出すにしても、主人公を変えたい所だ。敵を倒してフェリスの戦いは終わる。新しい敵が出てくるにしても、今まで姿を現さなかった奴が出てくるんだから、舞台を一新したい」

「そうなるとフェリスが旅に出たり、地方派遣されたりしないと、なかなか出しづらいね。それならフェリスじゃない別の主人公を作った方が、変に理由付けせずに済む」

「そうだな。だからこそ、第三勢力はまた今度だ」

「うん、わかった」

「なんにしても、次作で主人公を俺から帰るとして、俺が今作と次作の間で、次作のラスボスに殺されてましたとか、そんな設定にはするなよ」

「当たり前だろそんなもん」


---[16]---


「そういうの僕は好きじゃないから、大丈夫」

 こいつらはこいつらなりに、色々と考えている所があるのか。

 キャラ設定、世界設定、土台があるから、他の所に力を入れられるって感じかな。

「じゃあ、敵は敵国の重要人物だな。敵国は種族第一主義だったか? 竜種が1番て考えているなら、そいつも竜種で」

「竜種なら、ドラゴンの尻尾とかがあって、描き方によっては怖くなるし、いかにも「敵」て印象もつけやすいね」

「ガチガチの筋肉質の巨漢」

「己が拳こそ最強の武器なり」

「目に付いた敵を、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ」

「いつしかそいつは…」

「「怪物と呼ばれるようになっていた」」


---[17]---


 ノリノリだな、こいつら。

 モヤモヤしていたパズルがパチッとハマったかのように、友人らは敵のキャラ設定の口にしながら、最終的な部分は最初から一緒に朗読していたかのように、ぴたりとハモらせる。

 いや、俺に手伝ってくれと頼みに来た段階で、戦うシーンの下書きは渡してきてた訳だし、こいつらには元からそのラスボス、敵の見た目、戦い方とか、その辺の事は決めてあったんだろう。

 後は、そこにどういう存在なのか、商品に貼る詳細シールめいたモノを貼るだけだった。

 創作上のフェリスの敵であっても、大事な存在だからこそ、俺に聞いてきた訳だ。

 律義だな。

 友人らにとっては、詰まっていた水路のゴミを取り除けたかのような、そんな気持ちよさがあった事だろう。


---[18]---


 周りの音など気にならないかのように、創作にのめり込み始めた。

 お互いに意見を出しては消して、出しては消して、コレという答えを探す。

 その光景を見て、俺の役目は一旦の区切りにたどり着いたと思う。

 対して重くない肩の荷を少しだけ下ろし、気分転換にポテトへと手を伸ばす。

 が、そこに山を築いていた細長い芋たちは無く、申し訳程度に敷かれた安物キッチンペーパー、見映えを良くするためなのか、芋たちの中に放り込まれたパセリが、今はそのキッチンペーパーに寝そべっていた。

 まだ5分程しかたってないだろうに…、パーティサイズで3~4人分ではない、その倍の量はあったであろう皿が、もう空か…空しい。

「大食い選手も驚く早食いな事で」

 たまにあるフライドポテトの出来損ないみたいな、細々とした芋もなく、渋々パセリを口へと放り込む。


---[19]---


「お腹も膨れた所で、夏喜は何か歌う?」

 パセリの何とも言えない味を噛み締めている俺の横で、満足そうにカラオケの端末をタッチペンでタンタンと叩いて行く文音。

 歌えない事への不満は見る影もなく、ポテトの余韻を味わうかのように、油や塩の付いた自身の指をペロリと舐める。

「俺は別に。一応、こいつらの手伝いって事で来ているだけだし、歌う気分じゃない」

「そっか。じゃ~、今度は私のオンステージだね~」

「思う存分に歌え」

「任せなさい。いっぱい食べた後はいっぱい歌ってカロリー消費だ」

「そうしないと肉が付くからな」


---[20]---


バシッ!

 叩かれた。

 今日の夕飯は、肉なり、炭水化物類少なめの野菜多めの方がよさそうだ。


 カラオケと言っておきながら、創作に適した場所と友人が言っただけあって、結局歌ったのは2人。

 俺は最後まで歌う事もなく、適当に注文したモノを口に運びながら、知り合い達の歌声をBGMに、利用時間いっぱいまでうるさい中、創作の手伝いを続けた。

「はあ~、歌った歌った」

 カラオケから出た後、友人らと別れた帰り道、俺の移動速度に合わせてゆっくりと歩く文音は、固まった体を解すようために、グッと両手を天高く上げて伸びをする。

 引っ張られる服、スカートからシャツは出て、不格好になった服装の隙間から肌を晒す。


---[21]---


 しかし今は冬、冷たい風が肌を撫でてくる外気温は低い。

 文音は、その寒さに身だしなみを整えるでもなく、寒さから身を守る様に丸く体を縮めて、コートに少しでも体を収める。

「そのコート、明らかに体にあってなくないか? サイズ的にちょっと小さいぞ。こじんまりしながら歩く程度なら気にならんと思うけど、少しでも大きい動きをしようものなら、その意味を果たせなくなる」

「確かに、そろそろ買い替え時期かも」

「そのコートを使い続ける理由があるのか?」

「うん。これ、お母さんが買ってくれたコートだから、なかなかに思い入れがあるっていうか」

「そうか。色々あるんだな」

「ある…、いろいろ」


---[22]---


 一瞬、文音の顔が曇る。

 やってしまったと後悔が襲い、その話は一瞬で終わりを告げた。

 俺の家で生活するようになる前から、一人暮らしをしていた文音、バイトもそれなりに熟し、出来る限り1人で頑張る生活。

 親が厳し過ぎるのか、それとも別の理由か。

 俺はその辺の事情をあまり知らない。

 こっちから深く、その辺の事情を聞くような事は、大学で再会した時以来一度もしていない。

 最初はそれとなく、会ってない間の事を聞こうとしたけど、あからさまに話を逸らそうとするから、門前払いされたような形で無理に入る事ができなかった。

 だから、他人がズカズカと踏み入ってはいけない問題として、こちらからは何も聞かずにいる。


---[23]---


 文音が話せるようになれば、そういうタイミングはふと出てくるだろう。

「でも、そのままじゃいつか風邪を引く。そうでなくても動きづらいだろう」

「まぁ、そうだね」

「新しいモノを買う気がそっちにあるなら、今度休みの日にでも、時間を見て買いに行くか?」

「え?」

 事情はどうあれ、過去も大事だが、未来も大事だ。

 体調を崩されては同棲している身として気分が悪くなる。

「うんッ!」

 最初こそポカ~ンと、言葉を飲み込めていない表情を浮かべていた文音も、その意味を理解し、子供のように満面の笑みで深々と頷いた。

 わかりやすい奴なのか何なのか、彼女の顔を曇らせていたモノが一瞬で晴れ、その会話の前の状態にまで雰囲気を回復させる。

 家に着くまでの時間、延々と買い物の予定立てに追われる事となった。

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