閑話 ヤマトの手記帳
ギルド長からバードダル大森海の調査依頼を受けてからの数日間で王都の図書館にて得られた情報を記す。
王都にはいくつか図書館があるが最も資料が揃っている大図書館で得たものなので信憑性は高いことは約束しよう。
まずは龍と亜竜からだ。
そもそも龍と亜竜とは何か。龍に関しては簡潔に述べられていた。
曰く、「人智の及ばない埒外の存在。其れ敵対するべからず」と。
ここだけ取ると恐ろしいほど強大な存在に感じられるが、調べた結果龍にもいわゆるランクと呼べるものがあるようだ。
上から順に
神龍←古龍←真龍←純龍
と、なるらしい。
とある書物にはこう書いてあったのだが、他の物を読み解くと正確な情報も見えてきた。簡単にまとめると……
神龍(もはや神話。存在すら確認されず)
古龍(一部宗教の御神体的存在。しかしこちらは稀に辺境などで姿が確認されるためその気になれば会える。かなり大きい)
真龍(龍の成体。黒龍はここに当たる。この時点で高い知能を持ち、数千年単位で生きたならば古龍へと至る。古龍よりかは小さいが純龍よりは二倍ほど大きい)
純龍(真龍の幼体。先日の赤煉龍フィルグレアはここに当たる。まだ知能も完成せず、真龍よりも小さい。気性も荒いため、物語に登場する龍の大半がこれとなる)
まとめるとこうなるのだ。
個体差はあるとはいえ、フィルグレアよりも強い黒龍。苦戦どころの話では無いだろう。龍はその体躯だけでなくその爪や
いくら龍の中でも最下級と言ってもあの強さだったのだから埒外の存在は伊達ではないということだな。
亜竜は魔物。それはこの前聞いた通りだ。
ただし生息する種が大陸によって違うらしい。
まずこの大陸、ウェントッド大陸で長距離移動手段として用いられているらしい竜車を引く役目をしている地竜だ。
竜車に使用される地竜は大きくわけて二種類が存在する。
まず大型種。
体長五メール程で一頭で馬の数倍から十倍近い膂力を持つ。見た目は細かくはわからなかったが、四足歩行でいくらかずんぐりしているらしい。
もう一つは小型種だ。こちらは二足歩行で、走るのに長けた種となる。しかし、小型種はウェントッド大陸ではほとんど見られなくなっており、現在は東のイルク大陸にのみ生息すると思われる。
なぜ思われる、なのかと言うとそう書いてあった本が古かったからだ。一応新しめのも調べたけど資料と情報の絶対数が古いのに比べ圧倒的に少なく、情報の確実性がなかったからだ。
次に亜竜の中でも飛ぶ竜、ここでは飛竜と呼ばせてもらおう。
まず飛竜とはだが先日ギルド長から聞いた通り龍とは別物の魔獣ではない魔物であるということが確認できた。そして生息する場所が地竜とは違い、北と南のノーク大陸とサルム大陸のみという事だな。次に身体的特徴だが、飛竜なのだから当然飛ぶための翼を有している。その形状は大きくわけて三種類なのだがそれぞれで身体構造が大きく変わってもいる。
まず翼竜種。
龍と同様に鱗に覆われていている。体長は約十三メール程で前足が完全に翼と化しており、前脚を用いた「掴む」や「歩く」動作は不可能となっている。二足歩行であるが、その巨大な翼のため地上を駆けることは他の二種と比べ苦手。しかし飛ぶことに関しては他の追随を許さない飛行性能である。
次に翼脚種。
体長は十三メール程。
全身が鱗に覆われ、前脚が翼と化していることは翼竜種と変わらないのだが、その名の通り翼の爪がある部分までが脚のように太いのだ。とは言っても後ろ脚に比べ、本当の脚のように太い訳では無いようだが。
翼脚と呼ばれる前脚を用いて四足歩行を行うことが出来るのだ。最も文献によると普段は二足歩行で、走る時のみ四足歩行にするらしいが。
翼脚を持つので形状によっては掴む動作を出来るらしいが、基本は走るのみだろう。
最後に龍翼種。
全長十四メール程。
全身が鱗に覆われていることは他二種と変わりないが、一番の特徴がその身体だ。
まるで龍のような形なのだ。もちろん魔獣と魔物で違うから龍とは完全に別物である。
四脚に背から伸びる蝙蝠のような一対の翼。龍翼種はその名の通り龍に似た翼を持っているのだ。ただその翼で一つ違うのが龍は翼に翼骨と呼ばれる翼を支える骨がある。蝙蝠の翼ならば翼膜の中央当たりを通る骨だ。
龍はその骨が三本通っている。それはどんな大きさでも変わらないらしい。
しかし竜に分類されるものは全て翼にその骨が一本だけなのだ。背から伸びる翼そのものを支える強靭な骨と、その骨から伸びて翼膜を支える翼骨。その数が龍翼種と龍の違いとなるらしい。
実際ならもっと多くの情報があるのだろうけど時間の関係でこれしか調べられなかった。
この三種は全てサルム大陸にて確認されたもののようで、ノーク大陸での竜は未だに調査が終わっていないらしい。
その中でも確実に生息が確認されているのが蛇竜と呼ばれる種だ。四肢は確認できたものと出来なかったものの二種が存在するが、共通してとても長い身体と竜の特徴の翼を二対、有していたらしい。
そもそもそれは竜なのか?と問いたいが情報が無いのでしょうがない。ノーク大陸の奥地で偶に目撃出来ることがあれば良いなと思う。
・覚書
弾丸。
現在手元にはソフトポイントとフルメタル・ジャケットの二種がある。だが、先日の長尾熊のように皮膚が硬いと弾かれたり通らなかったりする場合が出てくると考える。そのため、今だ構想段階ではあるが設計を行っている弾丸を記す。
音響弾。
これに関しては現在制作中である。
銃の口径に合った杭を用意し、内部は貫通しない程度に穴を開ける。
刺さるのに三セール必要と仮定するため長さは薬莢含め十セールとする。
内部の空洞には音玉と呼ばれる道具を使用。これを魔道具などに使用される遅延装置を使い破裂、魔物などに音による打撃を与えられると推測する。
閃光弾。
こちらは設計段階である。
閃虫と呼ばれる特殊な昆虫の腹を用いた道具、光玉を用いた弾丸。
弾頭をガラスなどの素材に変え、内部に保存薬液と光玉を封入加工すれば可能だと考える。
毒弾。
俺自身が製作可能な毒は現状薬草毒のみである。しかし、先日の情報収集で毒の調合法を調べたため、今後は魔物の持つ毒を集める必要がある。
予定では今後湿地帯に住まう中型の蛇魔物である
いくら魔物と言えど魔物自身が同族以上のものを仕留めるために作り出した代物で倒れないわけが無いだろう。しかし、弾の威力は圧倒的に足りない。出力を上げればいいと言うわけでもないのだ。そのためにも何か侵食するための何かが必要となるだろう。その点に関してはルルたちに協力を仰ぐとしよう。
王国歴三三一年 年明くる月七日
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