女子大学生の石黒寧子は、誰もが小学生と見紛う幼児体型の合法ロリ。
そんな彼女が二十歳の誕生日に初めて飲んだワインの味に感動し、奥深いワインの世界へと踏み入れる。
黒猫のラベルが特徴のワイン『ツェラー シュヴァルツカッツ』。
聖女の乳と称される蜜と花の癒やしの香り『リープフラウミルヒ』。
マスカットの甘みが弾ける発泡性ワイン『アスティスプマンテ』。
ときに生活費を切り崩してワインを買い漁る寧子の無邪気さが初々しく、早くも大酒飲みの片鱗が垣間見えて苦笑しきり。
素晴らしい点は、作中で登場するワインは現実に存在していて、どれもコンビニやスーパーにて千円前後で購入できることだ。
安物と侮るなかれ、一本一本に長い歴史と物語があり、世界中で多くのファンに愛されている銘柄ばかりだ。
この世の最高の幸せを味わうかのように陶然とワインに酔いしれる寧子の姿に思わず読者もごくりと生唾を呑む。
作者は現役のソムリエというから、このワインへの知識の深さ、表現の巧みさにも納得だ。
ワインと"ようじょ"の不思議なマリアージュ。皆様も一度テイスティングしてみてはいかがだろうか。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)
成人年齢の引き下げが迫る現在にあってなお、20歳という年齢はひとつの節目。20歳に達する以前と以後とではできることの幅が大きく違ってきます。
その中でも代表的と言えるのが飲酒。
というワケで、めでたく20歳の誕生日を迎えた女子大生がワインに出会い、交友の輪を広げていく物語がこちらです。
主人公がワインにはまっていく、その初々しい様子が可愛らしくも懐かしい。自分が酒を覚えた当時のことを思い出して、読んでいて感慨深い気分になります。
もちろん実在の銘柄やテイスティング、醸造についても触れられており、知識モノとしても出来がいい。
酒の世界を知っている人もこれから入る人も楽しめる作品と言えるでしょう。