突撃!川原町団地!
川原町団地。
神奈川県川崎市内、川原町内にある……というか。川原町団地は、川原町そのものなんです。ちょっと何言ってるかわからないと思われても無理もないのですが、地図を見ればわかります。この団地がそのまま一つの町なんです。本当に。凄くないですか?
そんな川原町団地、一号棟から十五号棟まであります。しかし実際には十号棟と十一号棟は既に存在しておらず、跡地には保育園が建てられているそうです。平日は団地っ子達の賑やかな声で溢れているのでしょうね。
一号棟から三号棟、飛んで十二号棟は川崎市営住宅。四から九号棟までは神奈川県営住宅。十三から十五号棟までは分譲住宅となっているそうです。管理とか手続き関係とか色々大変そうですね。
県営住宅である四、六、八号棟は、ちょっと独特な建物の造りをしていて、ローマ字のYをくるっと逆さまにしたような形をしています。独特な建築方式は外から見ても内部から見ても面白いですよ。それこそ特撮世界やアニメに出てくる謎の組織の秘密基地みたいなんです。小さい頃はよくよく建物の中を走り回らせてもらいました。
十三から十五号棟は上空から見ると横一列に並んだ造りとなっていて、建物間が繋がっています。一階には夢モールなる、時代に取り残されている感のあるレトロな商店街もあります。規模は小さいですけれど、活気に満ちている場所です。
敷地内には児童公園が幾つかあります。大きな滑り台がある公園。緑色のフェンスで囲われたグラウンド等々。その日したい遊びに合わせて突撃する公園を変えていたのを今でも覚えています。日曜日の今日は、どの公園も活気に満ちています。
ここまで私の実体験も込みでお届けしましたが、ほとんどがネットで得た情報です。小さな頃何度も探検をしていた場所なのに、まだ知らない情報がこんなにも眠っていたなんてと、あれやこれやとググって過ごした昨夜は妙にテンションが高まってしまいまして、なかなか寝付けませんでした。
「あ、バスケットコートなくなってる……」
そして今。お恥ずかしい話なのですが、更にテンション高まり中です。
数年振りに来てみたらですよ、記憶との違いがまあ多くて。公園超綺麗になってるとか駐輪場大きくなったとか敷地の外にスーパー出来たんだとかあれやこれやが止め処ない。
凄いですよ、この場所は。歩いているだけでテンション高まるんですから。私の場合思い出補正というか懐かしさ故ですが、初めてここを訪れた方なんてちょっとした興奮状態に陥り、間違いなく口半開き状態で歩き回る事になるでしょうね、うんうん。
「さて……」
現実逃避はこの辺りでおしまい。そろそろ行くとしましょうか。
目の前にそびえ立つは、川原町団地の十三から十五号棟。その真ん中、十四号棟の十階に用がある。
「う……」
いけない……急に緊張してきた……。
「あれ? 小春ちゃん?」
緊張に浮かされあわわしていると、聞き覚えのある声が私の背中に投げ掛けられた。くるりと振り返ると、両手にビニールやらティッシュの箱やらをたくさんぶら下げた、ものすごーく背の高いお姉さんがそこに。
「やっぱり小春ちゃんだ!」
「こんにちは白藤せんぱ……い……」
驚いた。何がって、白藤先輩の格好に。
「こんにちは! びっくりしたー! 今日はどうしたの!? もしかして遊びに来てくれたの!? 嬉しいなー! あ! ご、ごめんねこんな格好で! ちょっと買い物行くだけだったから……あはは……」
紺色の生地に三本の白いラインが走っている、スポーツジャージのセットアップだった。正直まさか過ぎる。こんな服装もするんだ……それにしてもスタイルいいなあ……羨ましい……。
「えと……今日はちょっと……」
「誰かに用事?」
「そうなんですけど……その……ですね……」
「とりあえず上行こ? ね?」
「は、はい……あ、荷物持ちます」
「大丈夫大丈夫! 行こ行こっ!」
促されるまま、一階以外に奇数階の表示がないエレベーターに乗り込む。これもまた懐かしいなあ……。
エレベーターに辿り着くまで数メートル歩くその間、白藤先輩が老若男女問わずいろんな人から声を掛けられているのが印象的だった。白藤先輩も笑顔で答えていましたし。昔と変わらず暖かいですね、ここは。
「じゃあ行こっか」
「へ?」
エレベーターを降りるなりそう言うと、エレベーターホールを出て左方向、ベランダから多摩川が見える方向へと向かって行く白藤先輩。記憶違いでなければ、白藤先輩のお家は右側、川崎駅や高層ビル群が見渡せる側にあったはずなんですけれど……。
「あ、あの……白藤先輩のお家は」
「反対だけど、久し振りなんだからみんなの家見て行って欲しいなーって。それに私の所はちょっと散らかってるから……いい?」
「は、はい……」
間違いない。私が誰に会いに来たのか気付いてる。それでも何も聞かず、何も言わずに導いてくれている。本当に優しいなあ……夏菜はどこにも嫁に出さん、って言いたくなるのもわかります。言ってるの浅葱先輩だけらしいですけど。
るんるんと長い黒髪を揺らして進む白藤先輩に続きながらキョロキョロ。外観は塗装を直したりなんだりしてたけど、ちょっと古めかしい各部屋の入り口は変わっていない。
「わぁ……」
廊下と廊下の間を見下ろした時に感じる高揚感も、あの頃と変わらない。なんていうかカッコいいんですよ、この空間。
「はい到着っ。ここ、覚えてる?」
「もちろんです」
1010。山吹。東雲。東雲の方だけは手書きで、如何にも女の子が書きました感が出ている。多少色褪せてはいるけれど、この表札も全然変わっていない。
「変わってないなあ……」
「中もほとんど変わってないよ。ただいまー」
堂々とドアノブを回す白藤先輩。そうそう。お邪魔しますとは言わず、ただいまと言うんでしたね、みなさんは。
「おかえりー」
間延びした声の主は内階段を登った先にいた。グレーのスウェットパンツと青いティーシャツという、如何にもなお家スタイルで。
「なんだ、買い物に……って、あれ? ねこちゃん?」
「こ、こんにちは……」
「下で会ったから連れて来たの!」
「うちはペット禁止です。野良猫を拾ってくるんじゃありません夏菜ちゃん」
「だって可愛いかったんだもん」
「野良猫じゃないですしそもそも猫じゃありません! 白藤先輩も乗っからないでください!」
「ごめんごめん」
「うん、元気良さそうで何より」
朗らかに笑っていらっしゃるは、この家の長男、山吹奏太先輩だ。
「何!? こはるん来たの!?」
「お前ははよ続きやれ」
「こはるんの顔見てから! あ! ほんとにこはるんだ! こはるーん!」
「わっ!」
山吹先輩の脇をすり抜けて、私目掛けて勢い良く飛び込んで来る女の子を慌てて抱き留めると、キラキラ煌めくブロンドヘア以上にキラッキラな両目と視線がごっつんこ。
「わーい! 本物のこはるんだー!」
「こんにちは、東雲先輩」
「うんうんハローハロー! こはるんロリ可愛いー! 癒されるー!」
私よりちょっぴり背の高い金髪お姉さん、東雲千華先輩。私がお気に入りなのかなんなのか、最近は顔を合わせる度に大袈裟なくらい喜んで抱き付いてくるんです。それはいいのですが、胸に触るのはどうかと思いますよ、ほんと。
黄色いティーシャツに黄色のショートパンツという眩しい上下に身を包んだ東雲先輩は、綺麗なブロンドを一つにまとめたちょんまげみたいなスタイルだった。ブロンドはもちろんピカリーンと光るおでこも眩しい。これが東雲先輩のお家スタイルなんでしょうか。っていうか、すっぴんですよね? 肌綺麗過ぎません? 化粧要らないくらいじゃないですか……超羨ましいです……。
「妹分へのセクハラはその辺にして続きやらんかい」
「ガミガミうるさいなー奏太は。大体奏太はね、もうちょっとあたしを大切にする」
「ほいっ」
「へきらのぉ」
「よっと」
私にくっ付いたままだった東雲先輩の脇腹を人差し指で一突き。ふにゃっとなったのを見るや、東雲先輩を肩に担いでしまった。米俵とかじゃないんですから……。
「奏ちゃんも千華ちゃんも何してるの?」
え? 白藤先輩、この光景に何かツッコミとかないんですか? さも当たり前みたいに話進めてますけど。
「プチ大掃除」
「何それ?」
「このアホが本増やしまくった結果仕舞う場所がなくなってな。不要な物の整理整頓も兼ねて部屋の掃除させてる最中なんだよ。俺もついでに色々とな」
「そうなんだ。まったく、いつも言ってるでしょ千華ちゃん。ちゃんと整理整頓しないとダメだよって」
「ろへんらはい」
「って事で……ほいっ」
「ふぎゃ!」
「もうちょいスッキリするまで部屋から出て来るな」
「なんで!? せっかくこはるんが来てくれたのにー! っていうかこはるんも手伝っ」
「うりゃ」
「あー!」
ふぎゃ! は山吹先輩に部屋に落とされた時の声で、あー! は扉を閉められた時の声。まさかいきなりショートコントを見せられるとは。
「はいうるさいの幽閉完了。ちょっと散らかってるけど上がってってよ」
「へ? や、あの」
「いいからいいからっ」
「わ!」
いつの間にか背後に回っていた白藤先輩に背中を押された。今日の白藤先輩はいつもより押しが強い。
「じゃあゆっくりしてってね小春ちゃん! あそうそう! 小春ちゃんに見て欲しい物があるの! これから用意するから後で私のとこ寄って欲しいな! いい!?」
「私で良ければ……」
「いいに決まってるよ! じゃあ後で! 絶対来てね!」
「は、はい……」
満面の笑みを残し、白藤先輩は自室へと戻って行った。助けられたような、追い込まれたような。どっちにしろ感謝感謝です。
「ほら、どうぞ」
「……お邪魔します……」
「はいいらっしゃい」
促されるまま内階段を上がりリビングへ上がると、東雲先輩の物であろう分厚い医学書や女性物の服、山吹先輩の物であろうDVDや漫画などなどが乱雑に置かれていた。
「社交辞令じゃなくてほんとに散らかっててごめんね」
「い、いえ……」
「そこのソファ座っててねー」
「はい……」
足下に気を使いながらソファに着席し、くるりと全域を見渡す。おや、テレビが大きくなってますね? テレビ台もまるで違う物になっているみたいだ。
「あ、気付いた? 元気の親父さんとこが作ってくれたんだよこのテレビ台。いい仕事してるよなー」
「カッコいいですね……」
「だよなー。オレンジで良かった?」
「はい。ありがとうございます……」
オレンジジュースが入ったグラスを私の前に置いて、山吹先輩はソファ斜向かいの椅子に腰掛けた。今更ですが、ご両親はご不在らしいですね。
「今日はどうしたの? 観光?」
「い、いえ……その……」
いきなり直球で来られてしまった……懐かしトークでもして緊張をほぐしてからと思ったのですけれど……。
「ああ、もしかし」
「ま、待ってください!」
「て?」
反射的に声を上げてしまったけれど、これでいい。この人は勘も良ければ察しも良い。何より、多少気不味い事でもしれっと口に出させてしまう。でも、これは私の問題だから、この人から言わせてはいけない。私から切り出さないと。
「その……ですね……ちゃんと謝っておかなきゃって思って……」
「謝るって何を?」
「もう一月くらい前の話ですけれど……山吹先輩が」
「チーム辞めた理由がどうたらってヤツ?」
「チ……あぅ……」
言われちゃった……私から言いたかったのにぃ……!
「何うにゃうにゃしてるんだか知らないけど、ねこちゃんはそれを俺が言わなかったから不貞腐れて口聞いてくれなくなったんだと思ったんだけど。違う?」
「不貞腐れてなんか……」
「じゃあ気不味くなった。どう?」
く、くそう……ええそうです百点満点ですその通りですよ。勝手に期待して勝手にがっかりして。また子供扱いされたって不貞腐れて。その結果がこの一カ月ですよ。もっと言うならこの五年ですよ。なんなんですか私。本当にただの子供じゃないですか。
「……そうです……」
「そっかそっかー」
「……怒っていないんですか?」
「まさか。それどころか、俺こそねこちゃんに謝らなきゃいけないよなーって思ってるくらいなんだから」
「え?」
「まず言い方が悪かった。ごめんね」
「い、いえいえ! 私こそ……何度もしつこく突撃してしまって……」
「それはねこちゃんが気に病む事じゃないよ。俺自身がいくら大した事ない話だって思っていても、気になる人は気になる。そういうもんだし」
大した事ないなんて……そんな話じゃないじゃないですか……。
「それにさ、大した話じゃないから誰にも言わなくていい、なんて事はないんだよね」
背もたれに深く体を預けながら放られた軽い調子の言葉は、まるで力無かった。
「あいつらだってねこちゃんだって心配してくれてたのに。何も聞かないあいつらに甘えちまって、ねこちゃんにカッコ悪い所見せたくねえからって逃げちまったんだ。それこそカッコ悪い話だよなー。ほんとごめんね」
「謝らないでください! 先輩が謝るのは違います!」
「でも」
「でもじゃないです! 絶対間違ってますからダメです!」
誰にだって、口にしたくない知られたくない事の一つや二つはある。そんな当たり前の事を理解出来ず、無理矢理に踏み込もうとした私がおかしいんだ。事実を知ってスッキリしたかった? ただ自分の為に? なんと愚かしくて傲慢な事だろうか。
「わかんねえ……」
「わからなくてもいいです! とにかく先輩は誰にも謝っちゃダメです! 堂々としててください!」
「何がなんだかわかんないけど……この話はここまでって事でいいの?」
「はい」
あとは、山吹先輩の気持ちの問題。これ以上は出しゃばれません。
「うーん……ま、なんでもいっか」
「急に軽くないですか……?」
「細かい事はいいのいいの。ああそうだ。後出しジャンケンみたいでなんだけど、俺がチームをやめた理由さ、いつか話すよ。約束する。タメにタメた割に中身スカスカでガッカリされるかもだから、ねこちゃんがお酒飲めるようになってからにでもしよっかな」
「なら、その時を待っていますね」
「そうしてそうして」
いつか、未来の私が、山吹先輩の口から。その約束があるのなら、本当にこれ以上は何も望みません。出来ればみなさんもその場にいて欲しいなと、そう思います。
仲直り、では正しくないのかもしれませんが、それに近しい何かは出来た。これでまた昔みたいに……となるかはわかりませんがとりあえず。今の私にはこれ以上ない結果と言えそうです。
「えと、今日ここに来たのはこの話の為?」
「ではなくて……白藤先輩の事で……」
「夏菜?」
「白藤先輩、来月の七日が誕生日じゃないですか? そこで何を贈ったら喜ばれるのかなって……それを知りたくて……」
「なーるほど」
それとなくご本人から引き出すなんて器用な芸当は出来そうにない。なら、誰より白藤先輩を知る人達に聞けばいい。もちろん山吹先輩とお話するのも大事な案件でしたが、今日の本命はこっちなんです。
「そういう話ならあいつも混ぜてやるかー。おいアホ! アホー!」
「いやいや、流石にそれで東雲先輩が出てくるわけが」
「アホじゃないから! 何ー!?」
「あるんかーい」
「こはるーん! どーん!」
軽やかなステップで私に抱き付いてくる可愛らしいお姉さんを受け止める。出て来ちゃったら認めているようなものなのではってツッコミは野暮というか無意味ですよねええ理解しています。
「どしたの? 奏太にセクハラされた?」
「進行形でしてるお前が言うな。ほら、ねこちゃん」
「はい。実はですね……」
私の胸元に頭を押し付けたり手で触ったりと好き放題な東雲先輩にかくかくしかじかをお伝え。すると、特に考え込む事もなく一つの可能性を提示してくれた。
「ケーキはどう!? っていうかこはるん作れる!?」
「作れない事はないですけれど……」
うちの母が甘党且つ自給自足に拘る人でして、時々一緒に作らせてもらってるので。頻繁に作るのはいいんですけど、最近はインスタ映えを意識し過ぎていてただの痛いおばさん状態なのが困りものです。
「じゃあ絶対ケーキにするべきだよ! 夏菜喜ぶよー!」
「実際当たりかも。俺ら全員ケーキ作れないし、いつも買って済ませてたからな。あの甘党ちゃん、泣いて喜ぶかもね」
「じゃあ……そうしようかな……」
「決っまりー!」
「そうなるとふじのや使わせてもらうのがベストだけど、謙之介も呼ぶ以上避けたい所ではあるんだよな……そこのアホかあのバカがねこちゃんの事ゲロっちまいそうだし」
「言わないしアホじゃないし! っていうか最近の奏太さ、あたしの事アホって言っておけば一笑い取れると」
「おりゃっ」
「おもへるへろぉ……」
「一笑いも何もアホだからアホだって言ってんだよアホ。よっと」
「お、おろしへ……」
「おうわかった。ほれ」
「んぎゃ!」
「はい出番お終い。お疲れ様でしたー」
「や、やだー!」
断末魔のような悲鳴を響かせ、再び自室へとカンヅメされる東雲先輩。お片付け、頑張ってください。
「っていうかさ、誰かにラインかなんかで聞けば良かったんじゃないの?」
「それが……ですね……」
「ああ、なるほど……じゃあ交換で」
「へ?」
え? いいんですか? 本当に? そんなつもりなかったというかそもそも考えてなかったというか恐れ多いというかなんか申し訳ないというかあれやこれやで及び腰になってしまうのですけれど?
「ん」
そんなのいいからと言わんばかりに山吹先輩はスマホを掲げ、私を待っている。
「で、では……!」
妙に力が入っている右手でスマホを取り出し、フルフルとスマホを振り出した先輩に続く。これやる度に思うんですけど、なんか間抜けですよね。
「うん、ちゃんと出来てる。たまにわけわからん人の拾ったりするよねーこれ」
「あ、ありますね……」
いた。そーたって人、いた。有名スポーツブランドをアイコンにしてる人、いた。お友達になったって画面に書いてある。嘘でも夢でもないんだ。ほ、本当に交換してしまった……こんなの予定にないですよ……!
「どしたの?」
「い、いえ! なんでも!」
そうだ、ポジティブに捉えよう。というかたかがラインですよそうですよ。大袈裟過ぎですよ私。まるで私が山吹先輩の事を特別意識してるみたいな慌てぶりを発揮しちゃってるじゃないですかバカですか。全然そんなんじゃないんですから。そんなテンプレ展開残念ラノベで間に合っているんです。
「急に声デカイな……おー、ねこちゃんのアイコンはココアなんだ」
「覚えてるんですか?」
「もち。可愛いなあ」
スマホを眺めて微笑む山吹先輩。そういえば動物好きでしたね、このお方。
「あそうだ。他の連中のラインも聞いてきたら?」
「は、はい!?」
「そんな驚かなくても。夏菜んとこ寄るんでしょ? そのついでにさ。元気はわかんねーけど他は家にいるはずだから。あ、あのアホは最後にして。しばらくカンヅメさせとくから。ね?」
ごめん、そろそろ続きやりたいんだ。
すっと立ち上がり肩を鳴らす姿に込められたメッセージを読み解けてしまった以上、長居は出来ない。それはいいんですけど……こんな展開は想定外もいいところですよ……。
「じゃ、じゃあ……みなさんに会ってきます……」
「うん、いってらっしゃい」
緊急クエスト! みなさんの連作先を聞いて回れ!
とでも名付ければ良いのだろう、RPGのおつかいイベント的な始まってしまいました。
えと…………何これ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます