トリックオアリアル

アーカーシャチャンネル

まとめサイトの記事より

 これは西暦二〇一八年、埼玉県草加市で起きた出来事である。ただし、はっきりと見た目撃者はいないという。

時期に関しても不明確であり、はっきりとした時期は不明だという事を伝えておく。

「夜の街を歩いていたら、何故か魔女と思わしき人物が歩いていた」

 この書き込みをきっかけにして、草加市内の谷塚駅近辺で様々なコスプレイヤーが目撃される。

こちらに関しては、草加市が実験的に行っている有料のコスプレイヤー専用着替えスペースを宣伝する為の物だったという。



 しかし、これとは別ケースが目撃される事になったのは一〇月のハロウィン時期であった。

それは『新アプリの実験』と言う事でネット上に拡散していたニュースである。

【谷塚駅で〇〇と言う作品のヒーローがいた】

【それは宣伝のポスターだろう】

【そちらは宣伝かもしれないが、もっと違うものを見つけた】

 あるユーザーが撮った画像には確かにいた。谷塚駅内で何かを探している様に見えるのだが。

人物の外見は、あるバーチャル動画投稿者に似ている。むしろ、本人とも疑わしい。

谷塚駅と言う場所でスク水白衣と言う人物自体、通報されそうな気配がするが、周囲の人物はまるで彼女が見えていないかのようなリアクションをしていた。。

【この画像、コラなのでは?】

【ありえない。この人物はバーチャル動画投稿者の大和だぞ】

【大和? 大和って、あの?】

【それこそ違うだろう。実際のコスプレで作るには難易度が高いとも様々なサイトで言われている】

 スク水に白衣という組み合わせ自体、リアル出来るには難易度が高い。それを簡単に着こなし、堂々と街を歩く姿は別の意味でも衝撃だった。

丁度、ハロウィン時期もあるのでコスプレイヤーがコスプレしているだけと疑う声もある。

それに加えて、東京ではハロウィンが一種の炎上騒動に利用され、悪目立ちするパリピがテレビに映る為に利用されている声も聞かれていた。

【そう言う状況で、この写真は悪趣味としか言えない】

【しかし、目撃しているのは一人じゃない】

【それこそ『いいね』を水増しする方法なんて、いくらでもある】

 結局、この話はSNSの炎上狙いやパリピ狩りをしようとする勢力のおびき寄せるネタ扱いで、あまり拡散はされなかった。

実際にパリピ狩りと言う要素は、ゼロだった訳ではないようでSNSで悪質なフェイクニュースを拡散しようとした人物を摘発したと夕方のニュースで報道されたという。



 ハロウィン前日の夜、SNS上でも様々な目撃情報が寄せられていた。

バーチャル動画投稿者が草加市で目撃されたという情報は一番多かったのだが、何故にリアルの姿を見せないような彼らがリアルの町に姿を見せるのか?

それ以外にも、様々な創作作品の広ーやヒロインを見たという未確認情報もある。一体、草加市で何が起こるのだろうか?

「これからだ。このVRシステムが安定すれば、リアルイベントと言う概念は完全になくなるだろう。ネット上の情報のやり取りだけで、リアルイベントで問題とされていたSNS炎上等も全てクリアできるだろう」

 自宅でコーヒーを片手にテーブルに固定したタブレット端末の動画を見ているのは、一人の男性だった。

彼はゲーム会社の関係者だが、今回のシステムに関しての開発を行った訳ではない。むしろ、このシステムを使うように指示したのは彼なのだが。

「後はサーバーだな。それを解消できれば、このシステムを本格的に使用したゲームを生み出せる。まずは、データ収集からか――」

 後に、このシステムは別のARゲームに転用され、それがヒーローブレイカーになったという話である。

しかし、このニュースがソースその物を疑う事があり、真実とは若干疑わしい。

それに加えて、このメモに関しても一部のフィクションが含まれている可能性があり、色々な意味でもSNSで炎上の種となりかねない情報さえもある。



 特に、今回の実験で使用されていたVRアバターを実際の街に投影し、リアルの街を探検できるというのは明らかに別次元の技術だろう。

それをARではなくVRで実現させた事は、ゲーム業界にとっても大きな意味を持っていた。


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