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「ちゃんと話聞いていますか?」
「ああ、聞いてる。聞いてる」
「そう見えませんけど……。しょうがないですね。この話は次ゆっくりとした時にでも話しましょうか。どうやら、山崎さんは気が乗らないようですし……」
「初対面なのによく知っていらっしゃる」
「山崎さんはどんな小説をお読みになられるんですか?」
「そうだな。特に推理とファンタジー系が多い」
「推理とファンタジー……。中々かけ離れたジャンルですね」
「そうだな。ええと……」
「私は黒川愛生です。黒川、愛生、どちらでも好きな呼び方で読んでください」
「じゃあ、愛生。この部室はなぜこんなに生活感のある部屋なんだ?」
と、訊く俺に愛生はクスッ、と笑った。
「これはですね。代々、文芸部だった先輩たちが置いていったものばかりなんです」
「やっぱりそうだったか……」
「じゃあ、この棚に置いてある本も?」
立ち上がって、俺は一冊の本を手に取る。
「……山崎さん、これが何だか分かりますか? これは私がこの部屋で見つけた古い掛け軸です」
愛生は、奥の方から古い箱にしまっていたものを持ってきて見せた。
どうやら、見たことのない古い掛け軸だ。
「推理好きの山崎さんだったら、これが偽物か、本物なのか考えれば分かる物だと思うんです。少し、私と賭けをしてみませんか?」
ニコリと微笑む彼女に、「えっ?」と俺は目を開いた。
なんで、俺がそんな事を……。
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