12
「私には知らなければならない謎があるのです。ですから、山崎さん。あなたにお願いしたいのです」
「なんで、それを俺が協力しなければならないんだよ。言っておくが、俺は普通に癒しの空間が欲しいだけだ」
「だったらこの部屋は癒しの空間ですよ? あまり人気のない部活ですし、騒がしい人は集まりませんから……」
サラリと告げた彼女に、言葉負けする。
いや、騒がしいのはお前だろう……。
「はぁ……」
急にくだらなく思えて来た。
愛生は、満面の笑みを浮かべながら俺の否定する答えなんか聞こうとしない。
「さすが、黒川家のお嬢様。頭も良ければ性格も良くて、私には憎めないんだよね」
「は?」
女子生徒の言葉に耳を疑った。
お嬢様ってなんだよ……。
そんなに有名人なのか? こいつ————
「黒川家ってなんだ?」
心底からそう漏らすと、愛生は自分の話をするのを恥ずかしそうに顔を赤らめながら、
「私は旧名家の一人娘であるんです……」
「へっ?」
「と言っても、それは昔の話です。今は普通の家と変わりませんよ」
「…………」
「だけど、家が広くて、時々迷ったりするんですけど……。古いものが多くて私はそこで育ちました。」
「あ、そうなんだ」
自分の家が広いって、普通いわねぇーし、迷わなねぇーよ。
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