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……普通の人間ですって言われても、説得力が無さすぎるんだよな。
俺、入ろうと思ってる部活間違っているんじゃないか?
やはり、俺とこの女はたぶん合わない。これから先、振り回されそうな予感がした。
「あ、そう言えばいい忘れていましたけど……。この二人は部員じゃありませんよ。偶々、ここに立ち寄った別の部活の部員たちです。この文芸部には私一人しかいません」
そう言われて、驚いた。
「じゃあ、部活じゃなくて同好会じゃ……」
その言葉を聞いて落胆した。
同好会じゃ、そこまで意味はない。だが、部員は出来るだけ少ない方がいい。
「まあ、この学校の規則は部員三人以上ですから山崎さん、あと一人ですよ!」
そう、期待の目でこちらを見られると、喉元にナイフを突きつけられているかのように、グッと息が詰まる。
「山崎さんもこの部活に入ってくれますよね。静かな環境が欲しい。そう思っているんじゃないんですか? 私の目に狂いはありません。」
なぜか、もう断る要素もなく、部員の頭数に入れてあるらしい。
少し嫌そうな顔をしている俺に、話を聞いていた隣に座っている男子生徒が『がんばれ』という顔をして言った。
「それじゃあ、俺は用は済んだからこれ以上お邪魔してもなんだから、ありがとう黒川。ごゆっくり……」
そう言って、立ち上がると逃げるように部屋から姿を消した。
「ですから……お願いします。私には必要な事なんです!」
俯いてスカートの裾を握り、また、小さな声で「お願いします」と聞こえた。
なのに、なぜか、そこまで嫌じゃない。この気持ちは何なのだろうか。
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