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「見たところ、こいつはたぶんはっきり言って違う。そして、この二人はおそらく入部希望者と言ったところだろう?」


 なんとなく簡単に推理する俺に、愛生はとても楽しそうに目で手で口元を塞いで小笑いする。


「……そうですね。あなたが山崎純平やまさきじゅんぺいさんで、同じ普通科の一年五組である私とは違って、一年三組である。副教科は音楽を専攻せんこうしており、この前の体力テストでのシャトルランでは百回を越し、最後の二十人まで残っていた。なのに周りの人とは馴染もうとしない性格ですよね」


 ズバズバと、自分の個人情報を言ってきた。


「なんでそこまで知っているんだよ……」


「説明しますと、音楽と体育、同じ時間帯に一緒に受けているんですけど……。覚えていませんか?」


 その言葉に頭の中で記憶を辿って思い出す。


 そう言えば、やたらとピアノを弾くのがうまい女子生徒がいた。


 そうだった、あれがこいつだ。なんで、今の今まで思い出せなかったんだ……。


「でも、そんな短い期間でよく人の顔と名前が覚えられるよな」


「それは……一度見ただけで覚えたからですよ。それに音楽の授業で自己紹介したじゃないですか。覚えてない方がどうかと思いますけど……。それに男子生徒の中では意外と目立っていましたし……」


 こいつ、一年全員の名前と顔を覚えているんじゃないか?


 俺は、感心することを通り越していた。


 そうして、俺達は出会ってしまった。


「目立っていたって、どんな風にだよ……。それに普通の人間はそこまではっきりとした記憶力は存在しない」


「さっきも言いましたけど、誰よりも高校生活に何も求めていなかったそんな感じがしましたよ。それに記憶力は普段の訓練で十分に良くなりますし、それに私だって普通の人間です」


 反論する余地が無かった。

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