8

 ズラリと立ち並んだ棚に、この和風の部屋。


 居心地は悪くはない。自分の部屋と少し似ているところがあるからだ。


 たくさんの本があるものの、散らかっている感じはなく、それは綺麗に整理されている。


 そこら辺はしっかりとされている。


 この部活、先代の部員はどんな奴だったんだ……?


 伝記ものから推理小説、雑誌に絵本、漫画、ライトノベルがある。


 おまけに学校の教科書や赤本まで。


 ほぼ、生きていけるな……。


 白の新品同様、つやが出ている冷蔵庫。


 ジッと見ていると、不思議に思うところが結構ある。


 なんで冷蔵庫まで……。


 見れば見るほど、呆れてしまう。


 ここには布団まで置いてある。


 それは押し入れの中にあった。勝手に開けて何だが、他にもなぜか日常生活に必要な道具がほとんど揃っている。


「…………」


 コンロにガスバーナー、ハンガー、スプーンにフォーク、電球、ドライバー、フライパン、なべ、ティッシュなど他にもたくさん収納されている。


 部室ではない、完璧な一つの家だ。


 だけど、こんな場所に家を造ってもいいのだろうか。


 その場で動きを止めて、ジッと眺めていると、


「ええと、あなたは一体何をしに……」


 背後で声がして驚いて振り返ると、愛生が優しい笑みを浮かべていた。

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