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だからこそ、弱者は強者と戦うときにすぐ逃げ腰になってしまう。
こいつだけには負けたくねぇ。
さて、私よりも上に行くことができるかしら?
と、見ていながら表情だけで勝手に解釈していると、解き終わった問題に対して男子生徒は不安が解消されたように爽やかになっていた。
「これはどんなに復習予習しても俺一人では理解をすること以前にそのまえの準備が欠けているんだろうな……」
ふぅ、と息を吐いて、メモしていた両手を膝の上にゆっくりと置いた。
だろうな。普通の高校生はこんな所で諦めるだろうな……。
そんな様子を見ながら、簡単に納得した彼に、俺は納得した。
それにしても、これだけ実力差を見せつけられて弱者は強者に教えを受け入れるのだろう。これが恥を忍んで頼むみたいなことだろうか。
俺には、この少女が同級生とは思えなかった。
「だけど、これで塾も行ったことが無ければ、家庭教師を呼んだこともない。天才、秀才、どんな称号を付ければいいんだよ」
「そうですね……。私はそんな変な称号はいりません。普通の人で構いませんよ。私は……」
「そんな
男子生徒は照れくさそうに言いながら、問題集を閉じ、解いてもらった答えのプリントを受け取った。
……謙虚。
そんな言葉が揃っているなら、俺も一度は言われてみたい。
俺に対するイメージは、暗すぎる、死んだ魚の目など色々と多い。
話に耳を傾けながら、俺は立つことに疲れを感じて、壁に寄りかかりながらその場に座った。
「はぁ……」
思わずため息が漏れた。
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