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「そういうものなの?」


「ええ、予習と復習は繰り返していますから自然と頭の中に覚えている物なんですよ。だから、試験前に徹夜で勉強している人たちは、どれだけ頭が良くても結局は本番の試験では努力した人には勝てないんです」


 穏やかな笑み浮かべながら言う彼女に、俺は話を聞きながら『確かにその通りだ』と思っていた。


「それはつまり、アホの考え方は最後までアホのまま。考え方を変えない限り、先はないって言いたいわけね……」


 問題集に視線を移した女子生徒に、愛生は微笑む。


「つまり、この問題もすべてを理解していれば誰だって解くことができる物なんですよ」


 胸ポケットに入れてあったシャープペン手に取り、近くに落ちていたプリントをテーブルの上に置くと、そこに計算式を書き始めた。


 問題文に書いてあった数式と数字、記号。


 それらがすべてを解く謎。


 たったこれだけの手掛かりで答えを導き出すのだ。


 これだったら俺も教科書さえ見れば解けるかもな……。


 彼女が解いていくスピードを目で追いながら自分も頭の中で考える。


「一度解いてしまうと、意外と簡単なものですね」


 少し物足りなさそうな表情をする愛生。


「すげぇ……」


 教えて貰うために来た男子生徒は、驚いていた。

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