5
「そういうものなの?」
「ええ、予習と復習は繰り返していますから自然と頭の中に覚えている物なんですよ。だから、試験前に徹夜で勉強している人たちは、どれだけ頭が良くても結局は本番の試験では努力した人には勝てないんです」
穏やかな笑み浮かべながら言う彼女に、俺は話を聞きながら『確かにその通りだ』と思っていた。
「それはつまり、アホの考え方は最後までアホのまま。考え方を変えない限り、先はないって言いたいわけね……」
問題集に視線を移した女子生徒に、愛生は微笑む。
「つまり、この問題もすべてを理解していれば誰だって解くことができる物なんですよ」
胸ポケットに入れてあったシャープペン手に取り、近くに落ちていたプリントをテーブルの上に置くと、そこに計算式を書き始めた。
問題文に書いてあった数式と数字、記号。
それらがすべてを解く謎。
たったこれだけの手掛かりで答えを導き出すのだ。
これだったら俺も教科書さえ見れば解けるかもな……。
彼女が解いていくスピードを目で追いながら自分も頭の中で考える。
「一度解いてしまうと、意外と簡単なものですね」
少し物足りなさそうな表情をする愛生。
「すげぇ……」
教えて貰うために来た男子生徒は、驚いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます