第5話 図書館暮らし。

 図書館で暮らしているのは本だけではない。モンスターがいる。紙魚シミや人間に取り憑いて本から離れられなくさせる虫。これはホンノムシという。次に子オニたち。正確には子ども、特に本に乱暴する子たちを指す。取り合いっこ中は角が生えてしまっている。

 また庭に咲く花たちも図書館の住人だ。ミミズとアリンコ、蜂や蝶々たちもそうだ。

 そして図書館暮らしで特別なのは御話界だ。図書館の中にある異世界で、他にも音鞠界お泊り会、謎解き喰イーズや印鑑巡スタンプラり…




「待って!ちょっと強引過ぎない?」


「そうですかね?今月のお題が『図書館暮らし。』なんですよ!」


「うん。それで図書館での生活をファンタジックに紹介していく話な。ルビ多いのはちょっと」


「減らします。この後バトルも入れようと思ってるんです」


「ほうほう、誰と?」


「図書館のお姉さんがモンスター化した虫やホンノムシや子オニたちと戦うんです。御話界を作っている創造主の女神様!」


「…いいんじゃない?」



 面白そうではある。私はあれからお返事をして恋人とやらになった。デートを重ね、今日は図書館からのカフェ、最初と同じ。



「またね」


「あ、先輩の今日の晩ご飯はなんですか?」


「カレーだけど?」



 彼は少し離れた距離を縮めた。



「先輩のカレー食いに行ってもいいですか?」


「急だな」


「急じゃないですよ」


「また今度作ってやるよ」


「いっぱい食うんで。たくさん作っても余らせないですよ」



 言えない、今日はレトルトだから無理。

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