第4話 怖くても強くならなきゃ
私は上原さんに会いたいと思った。上原さんなら何か良い方法があるかも知れない。
上原さんに話そう。私は上原さんに、相談したい事があると連絡した。
学校が休みの日、私は一人で会いに行った。
上原さんの家に着き、相談した。
「私、カイヤさん達の負担に成っていると思うんです。
だから、アルバイトをしてお返ししたいと思っているんです。」
「美和さんは偉いわね。だけど、心配しなくても大丈夫だと思うわよ。
今は、この世界の事をしっかり覚えて、魔法を少しでも使いこなせる様になるのが一番大事だと思うわよ。その方が、カイヤさん達も安心すると思うわ。」
「そうですか……魔法を覚えるのが大事。わかりました。」
帰り道はとても長く感じた。
バスに乗るために立っていた私はふと、ガラスに写った自分の姿を見た。
猫背でみっともない……。はぁ……なんて格好して立っているんだろう。
そう思いながらバスに乗った。バスに乗りながら上原さんとの話しを思い出して、自分なりに考えてみた。
もうすぐマヤに着く時だった、キュイーンと大きな音がした。何だろうと思っていると、ルルルと、スマホに似た感じの電話が鳴った。
今、何処にいるの?と、おばさんからの連絡だった。
どうしたんだろうと思っていると、「今ね、魔物が街の境に出たって防災無線が鳴ったの!だから気を付けて帰って来てね。」と 、言われた。
まっ、魔物……。この世界に魔物が出るなんて初めて知った。
どうやら、不安がらせるといけないと教えられなかったのだろう……。
未知の生物との遭遇は避けたい。
マヤに入った時わぁ‼︎と、周りの人達が騒ぎ始めた。
魔物が近付いてきた。あっ、あれが魔物‼︎
二メートルくらいの大きさで、狼の様なカラダにツノが生えていた。
なっ何あれ……こ、怖い。市町村毎に魔法で囲まれているらしいけど、魔法の壁が壊れないんだろうか?不安で押し潰されそうだ。魔物が増えてきた。
魔法の透明な壁は魔物の体当たりでギシギシいっている。
こ、怖い。洋介さん助けて……必死に願っていると洋介さんが現れた。
夢……願望。何でもいい助けて欲しい。すると、洋介さんの手から光が見えた。
その光がいくつもの玉に成り、魔物に向かって投げつけた。
すると、玉に当たった魔物を吹き飛ばした数匹の魔物はギャンと吠えてた。
す、凄い。魔物を倒した。残りの魔物は怯えて逃げて行った。
「君、ありがとう」「助かったわ」と、洋介さんは皆んなにお礼を言われていた。
本当に凄い……。私はただただ感動してじっと見ていた。
ようやく皆んなに解放されて私の所にやってきた。
美和さん大丈夫だった?怖かっただろう?と声をかけられた。
「洋介さんありがとうございます。助かりました。」
「いや、俺はできるだけの事をやっただけだし、君を助けたい一心だったからチカラが出たんだよ。」と、洋介さんは笑った。
「また、魔物がやって来るでしょうか?」
「そうだね。日にちは断定できないけど……」
「魔法の壁にヒビが入っている様に見えるんですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思うよ。魔法局の職員が来てたから」
「そうですか。それじゃあ安心ですね」
「そういう事だね」と、また笑った。
「帰ろうか?歩けるかい?」
「びっくりはしましたけれど、歩けますよ。と、にっこり笑った。
すると洋介さんはそっぽ向いた。あれ?どうしたんだろう?耳が赤い様な……気のせいねと、思った。
帰り道、バイトをしたい事を相談して来て、今はこの世界を知る事が一番だと言われた事を話した。
洋介さんは、上原さんと同じように考えていると言った。
私は、洋介さん達の負担にならないんだろうか?と、思った。でも、その言葉は、心配させる事になるので、口に出せなかった。
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい。怖かったでしょう。どこも怪我はない?」と、心配して聞いてきた。
「大丈夫です。魔物にはびっくりしましたけれど、洋介さんが助けてくれたので大丈夫でした、洋介さんは強いんですね!魔法であっという間に倒して私、びっくりしました。」
「そうなの……。大学が役にたったわね。」と、おばさんは笑った。」
大学が役に立つ?どういう事だろう?と思った私は尋ねた。
「洋介はね、大学で魔法科を選考しているのよ。将来、魔法局に入って魔物から市民を守りたいんだって。」
「かっ、母さん!」
「何も恥ずかしがらなくても……」
「もういいよ、俺の話しは……」
わぁ……洋介さん顔が真っ赤。照れてる洋介さんを見て凄く嬉しい。
「そ、そんな事より母さん!魔物の事を話した方がいいんじゃないか?」
「そうね……お父さんもいいわね?」
「ああ、大事な事だからなぁ。」と、おじさんは言った。
「実は、この世界で魔物が発生しやすいのがここ、マヤナ国なの。」
「魔物が発生しやすい国⁉︎」
「この国は、清浄な気に満ちているんだけど、その分気が溢れてしまって……その溢れた気が淀みに成って時々魔物が生まれるの。そして魔物は命に敏感で、生きているものを襲うの。人間は魔物にとって、殺すべき対象なのよ。」
「殺すべき対象……」怖かった。
「だからこの国では各市町村毎に、魔法で守護しているんだけど、ここ最近は魔力が強い人達が少なく成って来ているの。その為この国では小さなうちから、魔力教育をしているのよ。」
そうなのかと、思った。
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