7話—5 鏡の魔法少女 対 魔法少女連合
暗き深淵が守りの鏡を破壊の魔鏡へ変貌させる。
「何だこれ!?今までの深淵の気配どころじゃ済まないし!?」
「くっ……負の浸蝕が、我が内のリリに連なる力にさえ干渉する!?これが命の深淵の——」
共にその力の片鱗を知り得たはずであった——が……それが如何に半端なものであったかを同時に叩き付けられた。
「この感じ……カミラが浸蝕されていた時に酷似してる!?そうか——
「カグツチ君、この感覚は——彼女はツクヨミノミコトで間違いないよね!?カグツチ君のもう一人のお姉さん……太陽の化身であるアマテラスオオミカミ様に対し——」
「闇の世界を統べる事を宿命付けられた月の化身、あなたの大切なお姉さんだよね!!」
『そうだ、主よ。我が……我が誇りし偉大なる夜の王——ツクヨミの姉者だ!』
顕現した量子体のまま、力無く頷く
その言葉は同時に彼女達魔法少女が相手取る存在が、文字通りの神——日本の
それも先の魔界で赤き魔王が挑んだ決闘……神族クラスの魔王との戦いなど
負の深淵へと堕ちた神族と死闘である。
だが——
その事実を突き付けられた五人の魔法少女の後方より、魂のシャウトが突き抜けた。
それは救うはずであった肉親への物だけではない……眼前で堕落して行く天津神に向けた物でもあった。
自身も従者を従え、そばには最強の当主も居合わせた事で悟っていたのだ。
従者となった月を司る神の……主を想うがための暴走であると——
「
「主を大切にしたい……主のために全てを
歌姫の意を受けた
そしてその放たれた言葉に意を唱える物など、この空域には存在していなかった。
当然である——ここに集う少女達は、共にあった従者を従者としてではなく友人として接して来た者達だから。
その友人達に支えられ、そして支える事で今の成長を得た者達であったから。
「そうだね、
「だね——私だって、カグツチ君が居なければ自分の運命を超えられなかった!」
王女が……当主が男性陣である友人を
「ふっ……私など一体どれだけベルの世話になりっぱなしだった事か——思い返しただけでも久々に醜態の文字が浮かんで来る!」
「アタシは今なら分かるし……あの凄惨な過去で生き残る事が出来たのは、間違いなくガブリエルが守ってくれてたからだし!」
魔王に……天使までもが女性陣である友人を褒め上げる。
だからこそ理解する。
理解出来るのだ。
眼前で悲痛と焦燥に
真の戦いの火蓋を切るための言葉を解き放つ。
「ほなら行きまひょう!ウチらはこれより
それは今までと何も変わらない少女達の戦い。
救いを求める命の叫びに答えると言う、慈愛を纏い飛ぶ魂の大戦であった。
∽∽∽∽∽∽
感じたのはツクヨミノミコトとされる少女の嘆きが深淵へと塗り替えられる、ドス黒い浸蝕の足音。
あの大和を強奪してまで成さんとした事は、今現状では最悪の事態を招く凶行であるも――それが最初からであったか、浸蝕を受けてからなのかは本人へ問い質さねば真相には辿り着けません。
だからこそウチらが総力を結集して、彼女を止めなければならなかったのです。
『何で私の邪魔をするのですか。何で……私は主へこの身体をお返ししたいだけなのに――シタイダケナノニ……。』
「あなたはツクヨミノミコトはんで間違いおへんな!?こんな事をして何になりますの……それであなたの主が喜ぶ思てはりますのんか!?」
恐らくはすぐにでも強行手段に打って出なければ手遅れになる。
そんな事はウチも分かっています――分かっているからこそ、彼女の理性へと呼びかける必要があったのです。
明確なる理由も無しに事を起こしたとあれば、すぐ引っ叩いてでも止めなければなりません。
けれど眼前の闇夜の神様は悩み、苦しみ……そして
ただ彼女を止めるのではなく——彼女の魂をこの世界へ呼び戻す事で……深淵の浸蝕を超える事が出来るとの確信にも繋がったのです。
『私は……ワタシハ——』
『アアーーーーーーーッッ!!』
ツクヨミさんの悲しみが爆発的に膨れ上がらんとした刹那——
背後より叩き付けられたのは……その彼女の主が生きていると願い続けたウチの友人の——悲痛と憤怒が入り混じる魂のシャウトでした。
大切な家族がすでにこの世にいない現実と、眼前の悲運の神様を救わなければとの天秤に揺れる
それを受けたウチは覚悟を決めます。
友人の想いを背負い……友人の救いたかった人の願いを背負って——ウチは眼前の悲しき神様を止めて見せると。
「深淵の浸蝕は確かに
「彼女の想いが、ウチに宿る獣はんを通して伝わって来ました。ほならやる事は一つおすえ!」
ウチの放った言葉へ——
テセラお姉ちゃんが、レゾンはんが……そして
そして最後に……ウチへの感応が一際強さを増した獣はんが——
ウチが振るうべき得物を顕現させたのです。
「……!?獣はん、ウチへ本気で手を貸してくれはるんおすか?おおきに……ほんま、おおきに!では行きまひょ——
右手に振り翳すはお父様の形見……魔剣ラグナロク。
そして左手に構えるはお母様の形見——超射程バスターライフル クロノストライカー。
あの導師ギュアネスが起こした地球と魔界衝突の危機を、寸でで食い止めたお姉ちゃんも振るった禁忌の力。
全てが繋がる今、それはこの蒼き星へ再び再臨したのです。
左右異なる翼を広げたウチは、それを合図に接敵する四人の友人に合わせ——
鏡の化身であり……
禁忌を翳す雷光となり、深淵を纏う鏡の魔法少女へと接敵したのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます