大和を奪還せよ!激情に焦がされしカガワの都
6話—1 隠された奇跡の真実
被害を受けたメガフロートに、救出された負傷者——
それも非戦闘員まで含まれた
そこにささやかな違和感を覚えていました。
さらには——
「さっき、カナちゃんさんの意識が回復したって報告があったよ!それでね
「——沙織はんが提示したものと、答えは一致……言う事おすか。」
あらかたの情報収集を終えたウチらは、メガフロート内——強行突破されたドック型格納庫へ武蔵を寄港させ、そのまま艦内大ブリーフィングルームへと足を運んでいました。
けれど……すでに回復を見た、大和への並々ならぬ思いを持って建造に携わったカナちゃんさん——彼女と沙織さんから得られた解の
予感が的中した事で、一層の気落ちを見せた
「武蔵によるデータスキャニングにより、メガフロート内の霊力的な痕跡を辿ったのだが……妙な点が確認された。これは私達では判断しかねる事例のため、皆の判断を仰ごうと思うのだが——」
「妙な点?……レゾンちゃん、それってどんな——」
テセラちゃんの反応へ、見るが早いと大ブリーフィングへ宙空モニターを投影し……一つのデータ照合結果を提示したレゾンちゃん。
直後——そこから導かれる結果……真相が語られるにつれ、騒めく胸騒ぎが一層激しくなったのを覚えています。
それは三神守護宗家に属するウチに
「私達魔法少女は、そのシステムを起動させた際……一つの時空へ二つの霊的反応を示すと、宗家の専門家から話を聞いたのだが——」
「襲撃を受けた沙織さんにカナちゃんさん?か——そこから得られた情報で、
ブリーフィングルームに会する一同を一瞥し……眉根を寄せて語るレゾンちゃん。
そこに浮かぶ疑問。
確かに魔法少女システムを男の子である
「そのシステム上、霊的反応が二つ存在すべきはずの所——どのデータを確認しても、霊的反応が一つしか存在していないのだ……。」
「ちょっと待って、レゾンはん!何やその言い方やったら……まるで
放たれた真実を、振り払う様に叫んだのは
けど——彼女は自らが思わず放った言葉で……最も考えたくは無い、最悪の結末を描いてしまうのです。
そこへ重い口を開く様に介入するは、天津神きっての破壊の炎神様であるカグツチはん——彼の介入は、語られる真相がとてつも無い重み物を持って突き付けられる事を意味していたのです。
「……皆様方——特に
「……待って——それはアカンて……。」
突き抜けた重さを
サクヤちゃん……そしてウチと
この手に伝わるのは、望まぬ現実が晒される事への底知れぬ恐怖に対する……震え。
何よりその当事者であった
けれど、無情なる現実から決して逃げては行けないと……カグツチはんから——酷似すると言う最悪の結果が提示されたのです。
「守護宗家に於ける当主継承の儀にて――万一その失敗を見た場合……降臨した神霊により継承を受けし当主候補の命が――」
「その命が、神霊に喰らい尽くされると言う最悪の結果。……恐らくそれが——今回の事態に最も近き現実と、我は推測している。」
直後——
「
∽∽∽∽∽∽
メガフロート襲撃からの宗家最大戦力の強奪と言う事態。
その非常時に加え……発覚した襲撃者が宗家身内——それも次期当主候補筆頭である少年が犯行に及んだ事実が知れ渡るや、守護宗家は上へ下への騒動に見舞われる。
しかしそんな事実が消し飛ぶ様な真実が
事の重さを重視し、魔法少女一行はその委細を現在
『……状況は理解しました。こんな……何と言う——』
厳重警戒を敷いたメガフロート
が、詳細を聞き及んだ
そして現状最前線で事に当たる少女達が直面した事態——それが一層の深き憂いを上塗りし……凛々しさのままこれまで事に当たって来た憂いの当主へ、悲壮感さえ刻み付けていた。
「カグツチはんによる霊的な波動感知も試みとりますが……その——
『良いのですよ、
艦内医務室で安静にさせる
彼女は宙空に浮かぶモニター越し……今は日本の東西へ離れた場所で奮闘する幼き少女を見定めていた。
すでに宿した雰囲気に……その時が訪れたとの寂しさを宿して——
「
「はい……解放しましたえ。」
「今あなたは、ルーベンスとユニヒを今まで以上に感じている——と言う事ですね?」
「……はい。ウチに宿る
「そう……ですか。——なら、もう隠す必要はありませんね。」
短いやり取り。
獣宿す令嬢と憂う当主が、獣の力を中心とした言葉を交わし合う。
そこに含まれるのは他でもない——悲劇の英雄と呼ばれたルーベンスと永遠のパートナー、ユニヒ・エラについてである。
耳にする名は居合わせる少女達も、そして支える大人達にも知識として知れ渡る事実。
だが——
憂う当主は隠す必要との言葉を零し……
双眸を閉じ……深く息を吐くと、視線を金色の王女へ宿した憂う当主が——
モニター前へとその王女を呼び寄せた。
『テセラはモニター前へ……これからあなたと
「へっ!?私と——」
「ウチに?」
唐突に挙げられた名前で、顔を見合わせる獣宿す少女と金色の王女。
しかしこの後……二人の少女さえ想像だにしない、奇跡の言葉が語られる事となる。
それは幾ばくかの時を挟んで後……必ず訪れるであろうと、全てを先見の明にて知り得た悲劇の英雄——ルーベンス・アーレッドからの贈り物。
奇跡と言う名の……たった一人の愛娘への——たった一度の贈り物。
『
獣の力を解放し——
少女が過去と向き合った今こそ、それは伝わるべきと語られる。
何よりそれは……悲劇の英雄ルーベンスが、たった二人の娘のために残した——
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