大和強奪、汚れた鏡が望む物

4話—1 魔界親善大使

 地球と魔界。

 光と闇の面会は滞りなく進む。


 光に属する主な魔法少女達——三神守護宗家が誇る草薙の裏門当主 桜花おうかと、八咫やた表門を代表する焔ノ命ほのめ

 そしてそれに従えられる従者である、天津神に属せし炎神ヒノカグツチ桜姫コノハナサクヤ——

 さらには八尺瓊やさかに裏門家に属する若菜わかなと、草薙・八尺瓊やさかにの令嬢を守護するSP陣——綾城 顎あやしろ あぎと円城寺えんじょうじ ハルに、ドンくさいから抜けきれぬ国塚 沙坐愛くにつか さざめ


 異国勢としては、某国ヴァチカンは【神の御剣ジューダス・ブレイド】機関より……騎士隊最高位の称号である【聖霊騎士パラディン】を賜りし断罪天使、アムリエル・ヴィシュケ——それに使える従者である熾天使セラフガブリエル。

 アムリエルを裏方にて支えしは、【円卓の騎士会ナイツ・オブ・ラウンズ】機関代表とし——名門ランスロット家よりアセリアと、二人の令嬢をあらゆる面でバックアップする魔剣の侍女アロンダイトのシャルージェ。


「地球陣営はこんな所やね。ほな、魔界陣営のご紹介を——」


 対する魔界陣営紹介を、その代表でもある金色の王女テセラが取り持つ。


 闇勢力……天楼の魔界セフィロトよりは、魔界での事件以降より引き続き継続する三国同盟を主軸とし——

 その中心となるは美の世界ティフェレトの魔王代理である、金色の王女ジュノー・ヴァルナグスの二つ名を持つテセラに……使い魔である熾天使ローディ

 勝利の世界ネツァクからは、その地を治める事となりし魔王直々の参戦——赤煉の魔王となりしレゾンと、使い魔から友への昇華を果たした赤竜の少女ベル。


 二人の魔界側魔法少女を支える者として、正式にレゾンの妹となった元美の世界ティフェレト第三王女であったカミラに——王国の世界マリクトを治めるも、発展途上の観点から現状その場を離れられぬ者……本来は日の本を故郷とする天下布武の魔王ノブナガの使者とし——

 元々地球からの出向組であったが、すでにノブナガの器に惹かれてマリクト居住を望む技術屋……【真鷲組ましゅうぐみ】統括部長の緋暮 壱京ひぐれ いっきょう


 地球より生まれし日の本の魂武蔵の中……一同に会する事となる。


「——ようやく再会となりましたが……つい先ほどの深淵オロチの強襲は、私達も道すがらその予兆を聞き及んでいた所——間に合ったのは不幸中の幸いです。」


「そうですわ。当武蔵が月面の管制施設を訪れた際、フェアレ……さん?でしたか?その方よりうごめく不穏の情報を聞き——わたくし達も可能な限り足を速めた次第です。」


 金色の王女テセラ吸血鬼の妹カミラが経緯を述べ——


「アタシも力が突然封じられた時には焦ったけど——って、何見てんだ吸血鬼!やんのか!?」


「ああ、もう!アーエルちゃんもレゾンちゃんも、さっき落ち着いてたのに!本当に二人は顔を合わすとメッチだね……。こちらでも魔法少女システム——正確にはその戦う力のみ封じられた状態で、流石に肝を冷やした所でした。」


「初めましての方へ簡単に——ウチは八咫やた家表門に属する魔法少女、焔ノ命ほのめやけど……。こっちにおるサクヤちゃんは従姫——彼女の力を借りて放つ八咫やた家の絶対防御結界〈八咫天鏡 壁霊印やたてんきょう へきれいいん〉……それが突如術式崩壊し——」


「危うく深淵オロチの餌食になりかけたんや。それを助けて頂いた事……ホンマに感謝しかあらへん。」


 先に彼女が推測を立てた由々しき事態。

 それに対する不安が募る舞姫焔ノ命であったが、金色の王女の言葉を受けた今は確証の持てぬ予感を忘れ——己が命を救われた事への謝意を送らんと振る舞う。


 それを聞き届けた金色の王女——

 一先ず無事に顔を合わせる事の叶った愛しき友人達と、それぞれを支える者達を一瞥し……現時点で最優先事項となるお務めを宣言する。


命の深淵ヤマタノオロチに関する件は、一旦守護宗家へお任せするとしましょう。やはりその専門であるバックアップの大人方に振るのが、現時点での得策です。こちらはまず優先事項として——」


「私達魔界勢が国際的な支援と防衛行動……それを大手を振って行える様——まずは西首都オオサカへ、この武蔵を駆り向かいたいと思います。」


 その王女の姿を改めて見た、地球の友人である魔法少女達。

 まさに目にし思考を支配したのは、見違えたと言う言葉であろう。

 かつて地球と魔界防衛作戦の時は、己が力に翻弄されながら戦う事で精一杯であった少女——


 その少女が場を取り仕切り言葉を放つ姿は……紛う事なき美の世界テフィレトの魔王の姿であった。



∽∽∽∽∽∽



 彼女が覚醒を迎えるその日までは……とても素敵なお姫様——の様なキラキラした女の子。

 もちろん「実は。」なんて知らないウチは……テセラちゃんとの暮らしが、いつしか掛け替えの無い物へとなっていました。


 本当の家族のいないウチはもちろん、守護宗家の皆に大事にされていたのは分かっています。

 けど――そこにはどこか距離を感じて遠慮する様に、愛情を受け入れきれないウチがそこに居たのです。

 そんなウチが、何故か何の遠慮を感じる事も無く接する事が出来た人——それこそがテセラちゃんだったのです。


 しかし——その時はまだ何一つ、ウチは知り得なかったのです。

 ウチが感じた……テセラちゃんへのが——ウチにとっての大切な両親から贈られた、であった事を——


「王女様してはるな~~テセラはん。何やウチ、嬉しなって来ましたえ?」


「初めましてですわ、地球のお姉様のお友達様。若菜わかな……様で、間違い無いですわね。その通りですわ……テセラお姉様はまさしく王女——ミネルバお姉様にも劣らぬ、素敵な魔王へ至る方です。」


「カミラ……はん、おすな?カミラはんもテセラはんが大好きみたいおすね。」


「……お……?」


若菜わかな……カミラにその——日本の関西圏を代表する方言は、中々に難易度が高いぞ(汗)私も最初は理解に苦しんだ。」


「うえっ!?関西圏がないがしろにされとりますえ!?」


「ちょ……それは由々しき事態やな!若菜わかなちゃん!そのカミラ言う子へ、関西弁とは如何いかなるものかを教育せんと——」


 テセラはんが放つ凛々しい現場指揮も終わる頃、何となしにテセラはんとレゾンちゃんの妹に当たる少女——肩口で切り揃えられた、薄緑色のウェーブがサラサラ揺れるカミラはんとの会話に興じます。

 ウチらの中でも一番幼さを浮かべる彼女にはどこか、アーエルちゃんに近しい狂気じみた感覚を覚えましたが——

 すでにアーエルちゃんの、常時加減無く放つ狂気に慣れ親しみ過ぎたウチは……全くの警戒もなく話しかけてしまいます。


 ただ、友人達との会話が当たり前すぎて……自分の話す言葉が日本を代表する独特のしゃべりだった事も忘れてしまい——

 首をかしげられてハッ!となってしまいました。

 まあ関西圏の人間——特に今から向かう西首都オオサカ方面では、その言葉こそが日本の正式な言語だと豪語しそうなのですが(汗)


 レゾンちゃんより嘆息からの注しを頂き、そこへ反応した焔ノ命ほのめちゃんが……まさに西でプンスカと両手を振り上げます、が——


「ハイハイ、その件はまた今度。カミラちゃんが困惑してるでしょ?て言うか……焔ノ命ほのめちゃん?あなたなは関西出身じゃないでしょ?」


「んなっ!?……ナンノコトデショウ??」


「主はにございますっし——い、痛いっしゅ!?主様、痛とうございますっしゅ~~!?」


「余計な事は言わんでええねん!こうや、こうしてくれる!」


「お止めになってっしゅ~~!」


「……焔ノ命ほのめちゃんが小さいころから東首都トウキョウに住んどる事は、ウチさえ皆に聞いて知っとりますよって(汗)関西愛はかまへん思いますが、エセが本物言い張るんは……流石に怒られますえ?」


 ウチも人の事は言えませんが、実は西焔ノ命ほのめちゃんをやれやれと嗜める桜花おうかちゃん——突っ込まれたエセな人の癇癪攻撃コメカミグリグリにより、被害を被ってしまう可愛そうなサクヤちゃん。

 心に芽生えた身内への疑念と罪悪の念を、只管に隠そうとする二人の明らさまな態度と察したウチもそれを汲む様に合わせます。


 宗家陣営にとってそれは、幾度も経験してきた内部事情——それをウチらよりも知り得る支える方達に至っては……無用に事へ干渉せぬ様黙したまま、成り行きを最も若き世代に託してくれてる感じもします。


 そしてこれより——

 かつて訪れた危機防衛を果たした闇からの勢力が、蒼き星の大地——その代表である日本国との同盟交渉に臨みます。

 今後の危機防衛を踏まえた同盟協定を締結するため……封絶鏡から大きく離れられぬ故に、急遽会談場所に指定された西首都オオサカへ——


 親善大使であるテセラちゃんとレゾンちゃん……彼女達を中心とした魔界三国同盟が、ウチら光の勢力と共に武蔵を駆り——僅かばかりの航海を楽しむ様に、瀬戸の海をひた走るのでした。

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