1話—5 ささやかなる日常と騒がしき訪れ
日を置いた少女達は改めて日常に浸るため、朝駆けより待ち合わせとし……再び封絶鏡の駐車スペースへ訪れていた。
当の
「おはよ~~……って、
「本当っしゅ。熟れる前の果実の様っしゅ……まさに若菜お嬢様のお身体を現す様……――しゅっ!?」
「うう~~堪忍な、
「痛いっしゅ……。けど確かに、いつものチョップよりも威力が不足にございますっしゅね。」
弄りを見せた
「少し水を飲んで、大人しゅうしとったら大丈夫思うんおすけど……。今日の所はもう、
「そっ……それはあんまりですぅ~~お嬢様~~!?」
「ああ……いや、ウチも分かるわ~~。」
「分かるっしゅ~~……。」
「皆さんまでっ!?ひどいっ!」
弄りの矛先がすげ替えられ、集中砲火を浴びせられるドンくさいSPも嘆きと共に抗議する。
関与していないはずの
そして、その打開策を準備していたはんなり令嬢は
「まあこんな事もあろうかと、先の
「ちょうどこのカガワの都を中心に活動する、カスタムマシンチームと言う名の騎馬隊へ……今まさに電話依頼をしよう思とりますよって……。」
「ああ……それなら安心やね。」
「安心っしゅ。」
「ワザとですね!?ワザと皆さん私をハブってますよねっ!?お姉さん悲しいですぅ~~!」
ドンくさい年上SPのお決まりな幼さ全開に嘆息しつつ、手にした携帯端末から
「――あっ、リーダージェイはん?ウチは
『おおっ、
「……皆さん、安心な方へ連絡が付きそうおすえ☆」
「まだ引っ張るのですか!?お嬢様!……もういいです、結構です!どうせ私は危険な安全運転しか出来ませんよ……ゴニョゴニョ――」
「「あ……
執拗な弄りに抗議し続けたドンくさいSPも、ついに芯の所がポキリと折れて……それなりにガチのイジケモードへと突入し――
確実に年下であるはずのはんなり令嬢も盛大に嘆息を見せ――直後、連絡先のカスタムマシンチームリーダーより返答が返される。
『どうやらギリで動けそうなメンバーがおるわ。お嬢さんも乗り慣れた
「ほんまですか?それはおおきに。ジェイさんもそちらのサポート忙しいやろけど、今後もあんじょうよろしゅう頼みますえ。そしたら――」
足の手筈も整いふぅと一息つくはんなり令嬢は、御神殿への階段下——池を一望出来る屋根つき展望台のベンチへ腰を下ろす。
それに
そして——
「……あの……何なん二人共——何でウチが挟まれるポジションなんおすか?って……むぎゅっ!?」
「こうするためや~~!」
「ためっしゅ~~!」
令嬢の質問が早いか否かのタイミングで、またしても二人が二つの双丘を押し付け——少女を挟み込む。
困惑の渦中に放り込まれた令嬢を
「どうせお迎えが来るまで時間もかかるんや!それまではこうやって、貴重な時間を有効活用するんや~~!」
「今ばかりは主に賛同致しますっしゅ!久しぶりの
「た……!?堪能てなんよ!?や……やめ、っん!て——
溜め池の
∽∽∽∽∽∽
お迎えを待つウチは、幸か不幸か——いやまあ、幸福なのでしょうけど……二人のお友達にまたしても揉みくちゃにされ——任務に勤しむ無二の友人達とも距離が開いていた今、とても大切な時間を過ごしていました。
ただその直後……お迎えが来るはずの時間に、ちょっとしたサプライズがウチを襲う事になり――何かしてやられた気分を味わう事となったのです。
「ああ、なんや賑やかな排気音が聞こえるな~~。それもウチの聞き慣れた咆哮が——あれ?なんや複数聞こえますけど……人違いやろか?」
「……あっ、お嬢様——車がやって……って、あのRX‐7とインテグラは——」
「——はぁ~~
そう——視界には確かに連絡のあった白馬……ウチのロウ兄様と同型のRX‐8が映っています。
けれど……その後ろに続くのは間違いなく、今
「あれ?
「いやぁ……違う思いますえ?それも無くはないやろうけど……散々ウチら、サプライズのバトルに明け暮れとったから——」
「何やそのサプライズのバトルて……(汗)」
「
「ほぇ?」
油断大敵とはこの事でしょう——今日は散々二人のお友達に圧殺されていたのに……訪れたサプライズに気を取られ、それをやりそうな人物がもう一人現れた現状を悟れなかったウチは——
「
「おう——って!?むぎゃぁぁ!?」
まさに振り向き様――
見事に蒼い疾風の突撃ダイブを食らったウチは、危うく転倒しそうになり——それでも何とか体を支えつつ、待ちわびた素敵な友人を……引き剥がします。
「うぇっ!?な、何で
「違うわ!?何やの新しい良い人って!?てか、昨日からここの二人に散々やられとるよって……もう三度目の揉みくちゃはメッチや!」
「そんな~~私はまだ一回だよ~~。」
涙を浮かべつつ名残惜しそうに手をワキワキする草薙が誇る小さな当主様を、グイグイと押して離しながら……呆然とした
「——何や、どないしたの?」
「いや、
「……
「ああ……うん。二人は知らんかったよね——立てるんよこれが……。」
二人が発した言葉でようやく納得がいったウチ。
そうです——
付き従う魔法少女システムコアである
言わば、違う方向のサプライズが強襲したと言う事でした。
「はぁ……。何だ……ハルさんの言うサプライズって、こう言う事だったのか。——賑やかだね~~。」
「はぅ~~。アーエルお嬢様、そこはもうご勘弁願います。蒸し返さないで~~——」
さらに停車した二台から降り立ったのは他でもない、現在
銀の御髪を後頭部で纏める……今もちょっと狂気がにじみ出る断罪天使さんは、ヴァチカンより最強の称号である【
遠目でも分かるくらいに羨ましさを押し出す彼女は、ハルさんを弄る方向で憂さ晴らししてる感じですが……大方あちらもサプライズの方向だったのでしょう(汗)
「さぁ……せっかくの再会のところ申し訳ありませんが、こちらの方々は昼食も取っておりませんので——よろしければ食事処へご案内頂けますか?お嬢様方。」
三台のスポーツマシンの後方……確実に場違いな黒塗りの外車——ドイツを代表するBMWから降車するのは、アーエルちゃんが最近お熱なご令嬢——
英国は【
さらにそれを紹介した
今この地で僅かであるも——確実に動き始める不穏の胎動。
だからこそ後手に回らぬための対策として、彼女達がここに出向いたと——先に
「そうおすな……そしたら皆で、いつものおうどん屋へと出向きまひょ~~!」
「「「「おーーっ!」」」」
「「お……オウドン??」」
その単語に馴染むウチらが声を合わせ——うどんと言う物体の正体すら知らない異国の二人……供に
それも含めて一路お約束とも言える例のお店へと……それなりの大所帯で向かう事と、相成ったのでした。
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