プロローグ
0話 魔業を背負う者
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それは地球へ訪れた危機。
それは後世にまで影響する
その時世界は、二人の英雄へ——世界が背負う
背負った定めもそのままに、英雄は地球を追われ——遥か太陽系を離れ、
いえ——彼らは、自らそれを望みました。
そして私は残されたのです。
この身に宿した父と母の苦しみの元凶——
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夏の日差しが
すでに本番の夏の日差しが、田園を焦がさんとする朝のひと時——ぽわっと鏡を見ると、映る自分の姿に苦笑を漏らします。
「ああ~~見事に髪、跳ねてもうたな~~。……ふあぁぁ……まだ眠いわ~~。」
すると申し合わせたかの様な声が、
「
「ええぇ~~……今は学園も夏休み――それにこんな所まで出張ってますのに。もう少しゆっくりでも……——」
「い、いけません……
ウチののんびりした態度に慌てふためくのは、ウチのお付き——
……そうですね、SPとはとても言えない慌てぶりです。
確かにウチは、
そこは龍を
けれどその大地は今——度重なる抗争と霊災により、疲弊の只中でもあります。
その元凶——全ての始まりである巨大霊災を封じるため……龍の宿るため池を封印の地としたのです。
命の深淵【ヤマタノオロチ】——巨大なるため池を【
三種の神器を受け継ぐ
「分かりましたえ~~……。はぁ……
ウチがこの身を預ける【三神守護宗家】は
彼女が現在当主としての権力をようやく発揮し、
片側を上げた前髪を片側後頭部で結い、薄い青の輝きの奥に光る双眸は黒曜石の黒。
ウチにとって、同じ宗家と言う以上に大切な友達で家族——いえ、宗家の皆さんは誰もがウチの事を本当の家族の様に接してくれます。
でも——真実は揺るぎません。
ウチは宗家の人間では無い——それどころか、普通の生命ですらあり得ない。
ウチのお母様はその体内に、ある災厄の元凶を宿していました。
それは人類が、己が欲望のままに手にしようとした災い——禁断の滅亡を呼ぶ破壊の獣。
獣の力を得ようとした、欲望に
その力——世界を破滅に導く
ウチはその一端をこの身に宿しているのです。
「
「おお、お急ぎ下さい!お嬢様ぁぁ~~!」
ウチにとっては日々の欠かせぬお勤め——それを毎日
身に宿る忌むべき存在も、お母様はきっと飼い慣らしながら日々を乗り越えたはず……身の不幸を呪う前に、自分に出来る事を行い前へ歩むと——そしてそれをお父様が共にある事で歩んでいたはずなのです。
いつ果てるとも知れない無尽蔵とも言える新陳代謝により、世界最悪の化け物となってしまった悲劇の英雄——ルーベンスお父様と……ユニヒお母様は……。
今のウチには確かに本当の肉親は存在しませんが、宗家の人達——何より大切なお友達がいます。
同じ宗家に属し……正式な当主継承を経て御家を導く
——そして、いまは宇宙に浮かぶ
今は少し色々忙しくなってるけど、大切なお友達に囲まれたウチはきっと幸せ者なんだと思います。
だからせめて——この幸せが少しでも長く続くように、ウチは日々を懸命に生きています。
薄々と感じるザラついた感覚——自分でも分かるその日が……ウチにとっての決断の時が訪れる、その日まで——
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