最終章 ハッカとチョ子の旅は続くんですけど!?

ギャルの冒険は続くんですけど!?

 仕事も一段落して、街を練り歩く。

 仕事疲れで、料理を作る気力がない。食堂で夕飯といこう。


 新しい地域への関所が開かれたという。

 遙香たちも通っていいそうだ。

 

 遙香たちは、新天地への冒険の準備を終えた。


 ウィートにある店を畳むつもりはない。

 一応、臨時の職員は雇った。引き継ぎ作業も問題ない。

 しかし、《帰巣本能の宝珠》で、いつでも帰ってこられるのだ。


 メイプリアスを出て新天地へ向かう前に、もう一度ウィートを回ろうと提案した。


 もちろん、チョ子が断るわけがない。


 凝った肩を叩きながら、街を歩く。


 チョ子が足を止めた。

「あれ、アイスクリームじゃん!」


 チョ子が止まったのは、かき氷屋だ。

 レシピを渡して、そのまま頓挫したと思っていたが。

 牛乳が安定して入荷できているらしい。

 客たちは、店が提供するウエハースかワッフル、あるいはパンに挟んで食べる。

 大繁盛なようで、バニラやチョコレート味、イチゴ味は流行だそう。


 しかし、店員は額に手を当てて困り顔だ。

「いや、チョコレートが入ってきたので、試しに作ってみたんスよ。ところが、これだけ全然売れなくて」


 アイスの山に、ひとつだけ山盛り売れ残った味が。


「これは、あなたが考案したの?」


「店員全員で考えたッス。二人をイメージした味を出そうって。香り付けに薬草を使ったのがいけなかったのかなぁ」


 遙香は、カラフルな色合いに見覚えがあった。

 黒と青緑のコントラストが懐かしい。遙香が好きな味である。


「ハッカ、これは、食べるしかないよね」

「当たり前じゃない」


 遙香とチョ子は、同時にオーダーした。 


「お兄さん、チョコミント二つ!」と、チョ子が店員に指を二本見せる。


 チョ子のオーダーに、「いや、一つでいいわ!」と、遙香が被せた。


「え、なんで?」

 チョ子が、アイスを受け取る。


「通天閣のお返しよっ」


 大きく口を開けた遙香が、青緑に光る甘味にかじりついた。


「あーっ!」

 相方の行動を予測できなかったチョ子が悔しがる。


「ふふん、もーらいっ」

 満足した遙香は、唇を舐めた。

                                                   終わり 

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ギャル二人が『魔法効果付与《デコ》』で異世界を守るんですけど!? ~最強なんて、目指さない! ギャルは生きてるだけで最強だから!~ 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2

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