第5話 朝の目覚め

5 朝の目覚め


目を覚ます

目覚める

の あいだには

どんな感性のちがいがあるのか

目覚める という感じではない

中年になってからは

目覚めるには

一日への希望の出発がある

目を覚ます 倦怠の闇にまだ捕らわれている


朝 目を覚ますのは

ミュとムック 

二匹の猫が起こしに来るからだ

きまった時間に律儀に寝どこに

もぐりこんでくる

かのじょとかれは

わたしがトイレに入っていると

ちゃんと

待っている

かおをかしげて二匹で低く「ニャァ」と朝の挨拶


おなかを空かしているときの猫は

すごくコケティッシュだ

食事をねだるときの猫は

すごくファンタスティックだ

ひともいつも飢えていればいいのに


飢えのためなら

目覚める

目を覚ます

もない

とび起きてさあ仕事だ


庭の紫陽花は咲いているか

無花果の木にかけた農薬は

カミキリ虫を駆除したか

黒竹は雨で傾いたままか


二匹の猫 ミュとムックが

起こしに来る

時間だ


注 この頃、母猫ミューとその息子のムックがわが家にはいました。初代の猫の家族です。

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