※資料※ 六王対談式 大陸記


【六種族王 対談式大陸記】~人口・通貨・異種族間ルール・その他~



ザレンシオ(以下ザレン)「皆の者、突然の招集に驚いている事と思うが、まあ、とりあえずくつろいでくれ」


リーズラジェス(以下ラジェス)「仕切るな、ザレンシオ」


セルシフォード(以下セルシ)「相変わらずだな、君は」


ザレン「おっ! セルシフォード! いつの間に来ていたんだ? 行方不明と聞いて心配していたんだぞ」


セルシ「もちろん、この対談が終ったら、また雲隠れさせてもらうけどね」


ウィリルソフィア(以下ウィリル)「待ちなさい、セルシフォード! わたし、あなたに言いたいことが山のようにあるの」


ディアレーン(以下レーン)「わたくしも、言わせていただかなければ」


ザレン「待て待てウィリルもレーンも、話は後だ。まず、この課題を消化してしまわねば」


ウィリル「課題?」


レーン「なんですの?」


ザレン「GMゲームマスターからの課題さ。とりあえず自己紹介をすべきだな。まずは私から。

私は人間族フェルヴァーの王、炎の力を与えられた炎の王ザレンシオ。ゆえに私に属する民を炎の民フェルヴァーという」


ラジェス「私は獣人族ナーウェアの王、土の力を与えられた土の王リーズラジェス。私に属する民は土の民ナーウェアと呼ばれる」


ウィリル「わたしは翼族ザナリールの女王、風の力を与えられた風の女王ウィリルソフィア。わたしに属する民は風の民ザナリール」


レーン「わたくし、鱗族シェルクの女王、水の力を与えられた水の女王ディアレーンです。わたくしに属する民は水の民シェルクといいます」


セルシ「わたしは魔族ジェマの王、闇の力を与えられた闇の王セルシフォード。わたしに属する民は闇の民ジェマと呼ばれています」


ラヴァトゥーン(以下ラヴァ)「わたしは妖精族セイエスの王、光の力を与えられた光の王ラヴァトゥーン。わたしに属する民は 光の民セイエスです」


ザレン「やや? いたのかラヴァ。てっきりまだ到着していないのかと思っていたよ」


ラヴァ「ずっといましたよ。ただ発言しなかっただけです」


セルシ「君がずっと話していたから話せなかったんだよ」


ザレン「失礼な」


レーン「あのぅ、失礼は承知なのですが、どうも話が逸れているような気がいたしますの」


ラジェス「そうだ。ムダ話をするなといったのはおまえだぞ、ザレンシオ」


ウィリル「そうよ。わたしはこんな会議とっとと終らせて、セルシフォードに文句を言いたいんだから」


ザレン「何故に俺ばかりを攻撃するか」


ウィリル「さあラジェス、課題について説明して」


ザレン「ムシして進めるなって」


ラジェス「おまえに任せると話があらぬ方向に進んでしまうからな。私が説明する。エレナーゼ創始、種族や属性、魔法、精霊などについては、すでに説明があったことと思う。要するに、網羅し切れていない部分のフォローということになるのだろうかな」


※【基本編】属性魔法、精霊 参照






【人口】



ラジェス「先にも触れたが、エレナーゼの民は種族により住む場所が異なる。

人間フェルヴァーは平地に国や街、村を造って住む。獣人族ナーウェアは海を除く各地に部族ごとに村を造って住む。まあ、村を造ってはいても単独で暮らす奴も多いが。翼族ザナリールは岩山に村を造って住み、鱗族シェルクは大抵海に国を作って住む。魔族ジェマは国を造ったり、部族ごとに村を造ったりして住み、妖精族セイエスは森に小さな村を造って住むのだ」


ザレン「人口は、獣人族ナーウェアが一番多くて、次いで人間フェルヴァー魔族ジェマ。次が多分妖精族セイエスで、鱗族シェルク翼族ザナリールと続くんだよ」


ラヴァ「割合でいくとこうなります。


・獣人族 25%

・人間 20%

・魔族 18%

・妖精族 15%

・鱗族 12%

・翼族 9%


また、魔族ジェマの中にもわたしたちと協調する事を望んでいる者もいますし、妖精族セイエスの中にも他種族を助けたいと願っている者もいるのです。だから一概に、魔族ジェマは悪、妖精族セイエスは身勝手と決め付けないでくださいね」


レーン「ちなみに、エレナーゼ世界の全人口は、約十億ですわ」






【通貨】



ウィリル「エレナーゼ世界の大陸通貨は『クラウン』です。(※1C=10円程度)

30クラウンで食事一回分、100クラウンで宿代一日分です。硬貨は、1クラウン銅貨、10クラウン銀貨、100クラウン金貨があります。ただ、硬貨は重いので、旅をする人などはお金を宝石に換えているようです」


ザレン「人間フェルヴァー魔族ジェマは、商取引など良く行なわれているが、他の種族はどちらかというと物々交換の方が一般的らしいね」


ラジェス「あまり金を儲ける、という概念がないからだろうな」


ラヴァ「聞くところによると、魔族ジェマの市場では翼族ザナリール鱗族シェルクが商品として売られているとか。……本当なのですか?」


セルシ「……さぁ」






【異種族間の結婚】



レーン「わたくしたちの世界では、異種族間での結婚はあまり珍しいことではありません。また、ハーフやチェンジリングというものは基本的に存在いたしません。産まれた子は、必ず父母どちらかに準ずるのです」


ザレン「まあ、そこらへんはかなりランダムだから、あまり気にすることはないだろうけどね」


ウィリル「歳の取り方くらいはある程度の影響を受けるみたいよ」






【種族変化】



ラヴァ「わたしたちの世界では、種族を変化させることが可能なのです。方法は大きく分けて四つ。

まず一つ目の方法は、異種族間で愛し合うことです。先に述べたように、異種族婚はこの世界でさほど珍しい事ではありません。しかし寿命は種族ごとにかなり違っています。愛し合う者同士が同じ時を生きたいと願うのは、当然の事です。わたしたちは彼らの護り主として、彼らの望みを叶えてやりたいと思っているのです。

……もっとも、エレナーゼの民は自分の種族や属性に誇りを持っていますから、このケースはあまり無いようですが」


レーン「二つ目の方法は、願いを持ち、祈り続けることですわ。そうすればわたくしたちの力を受けて、少しずつ変化することが可能ですの。このケースもあまり無いようですわね」


ウィリル「この二つは、わたしたちが民の願いを聞いてそれを叶えるっていう型パターンね」


セルシ「三つ目は、魔族ジェマの特殊能力のひとつです。

ヴァンパイアの部族やアルラウネの部族は、子供をもうけて子孫を残すことが出来ません。そのような魔族ジェマは、他種族の者を自分と同じ魔族ジェマに変える能力を持っています。

大抵はどこか近くの村から赤ん坊を攫って来て、その子を変えることが多いようです」


ザレン「結構多いんだよ、その被害が。

さて四つ目だが、それは死を乗り越えることによってだ。

志半ばで命を失った者、愛する者や大切な人を残して逝かなければならない者、そして……大切な使命、多くの人の想いを抱いている者が死ななければならない時、もしも彼が強い意志力と精神力を持っているのなら、幾つかの幸運と偶然が重なって別の種族に生まれ変わることが出来るかもしれない。

……非常に少ないケースではあるが」


ラジェス「種族が変わってもほとんどの場合属性は変化しない。もっともそれが変化後の民に存在しない場合は別だが」


ザレン「ところで、種族変化は私達が属する民を失うということでもある。失う方の王は、それを悲しむということを忘れないで欲しい。……ま、四番目のはやむを得ないがね」


ウィリル「わたしたちはみんなを愛しているの。あなたたちの幸せを祈ってる。それを忘れないで」






【魂の行く末】



セルシ「この世界でも例に違わず、人は生まれ、また死んでゆきます。飛び去った魂はしばらくの間、土の精霊王ミッドガルドのもとで眠り、それから再び生まれ変わるのです。

魂が体から飛び去って数日の間は、幽鬼として体の近くに留まっています。その間なら、蘇生させる事も可能です。……必ずと言う訳ではありませんが」


ザレン「魂は、体がある限り眠りにつくことが出来ないのだよ。だからこの世界の埋葬は、火葬がほとんどだ。鱗族シェルクも例に違わず、だよ。地上に上がって死者を送るんだ」


ウィリル「つまり逆を言えば、遺体を保存しておけば幾らかでも蘇生の可能性があるということよ」


ラジェス「あまり勧められないがな。死者は静かに眠らせなくては。魂が生まれ変わるのは、二十周期(十年)を眠った後だよ」


※【基本編】大陸史&種族 参照






【セルシフォードの行方】



セルシ「……なんですか。この課題は……」


ザレン「私に聞くな」


セルシ「確かにわたしは今、行方不明という事になってますが……本当は旅をして、エレナーゼの民の在り方と行く末を見ようと思ってるのです。

わたしは各地を旅して廻っています。だから偶然、エレナーゼの旅人達に会うことがあるかもしれません。それからわたしは、死期の迫った――それも罰則によって死期の近くなった魔族ジェマの元に赴き、それを宣告する通達者です」


ラジェス「皮肉なものだな。魔族ジェマたちが最も憧れる存在のセルシフォードを見ることが出来るのが、まさに死の直前というのも」






【旅人、冒険者】



ザレン「そろそろGMゲームマスターの意図が見えてきたな」


ラヴァ「そういうこと言うと、あとからウラヌスの天罰を下されますよ(笑)」


ラジェス「我が世界では、色々な理由で人は旅に出る。金を手に入れるため、故郷を追われ止むを得ず、また復讐を果すため、野望を果すため……、中にはセルシフォードを倒すという目的で旅立った少女もいたな」


セルシ「結構いますよ。わたしが魔族ジェマの王だと言ってね」


ウィリル「とにかく、そういう色々な理由で旅に出る人を、GMは『冒険者』と呼ぶつもりなの」


レーン「的確な名前ですわ。ただ、他の世界と使用例が違いますように思いますけど」


ザレン「まあ、そこらへんはGMの都合だろう」


ラジェス「ひとまずは以上が、我々の世界の概略だと思ってくれて構わない」




ザレン「とりあえず渡された課題はここまでだ。さて、六人が一堂に会する機会というのもかなり久しいし、茶会でもしようか」


ウィリル「ちょっと待って、ザレン。セルシフォードがいないわよ!」


ザレン「やや、一瞬の間に見当たらないな」


ラジェス「終わった途端に雲隠れか、まったく」


レーン「やっぱりですわね。今度こういった機会があったら、首に鈴とか鎖とかつけさせていただこうかしら」


ラヴァ「それが出来たら苦労は無いんですけどね」


ザレン「まあまあ、彼には彼なりの考えがあると分かったのだからいいじゃないか」


ウィリル「良くないわよ! 大体ザレン、あなたはどっち味方なのよ」


ザレン「怒るなウィリル、話は後でまたゆっくりとだな」


ラジェス「消えた者は仕方なかろう。課題は終ったのだし我々も自由解散としよう。さて、ザレンシオ、久々に酒でも飲むか」


ザレン「うっ……。ラジェス、その含み笑いは何だ?」


ラジェス「思い過ごしだろうザレンシオ。別に、先月の務めの最中に遊び惚けていた事をどうこう言おうなどとは考えている訳だが」


ザレン「待て待て、何故知っている……!?」


ウィリル「日頃の行いかしら」


レーン「ですわね」


ラヴァ「ええと、ここの蓄音装置は止めていいんでしょうか?」


ラジェス「ああ、止めてくれ」


ザレン「ラヴァ、無関係な振りをしていないでラジェスを宥めてくれー……!」




――プツッ…、ッー…――


(暗転)

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