本編 第7話 予定
エスメラルダは「カクレンボ」の一軒以来、人間不信になっていた。
「かうんせりんぐ」はジェイコブが担当する事になった。
先の精神科医は、患者への不信を買ったため、信頼関係が築けず、治療には適さないという事で外れる事になったと聞いた。
ジェイコブは圧迫的な当たりはしなかった。
だが、彼もエスメラルダの故郷を侮辱した。
ジェイコブは堅苦しい話は抜きにして、今日は遊んでみようじゃないか、と答えた。
エスメラルダは画用紙にクレヨンや色鉛筆で好きな絵を描くように言われた。
その前に、このやりとりがいつまで続くのか、友人のネイサンを助けに故郷を訪れてくれるのかを問い詰めた。ジェイコブは約束を承諾した。
エスメラルダはこれ幸いと、故郷の絵を描き、少しでもその良さや存在を知ってもらおうと試みた。映画のトークを振られると、エスメラルダから笑みがこぼれるがすぐにひっこめた。
ジェイコブはお茶やコーヒー、クッキーにケーキやアーモンド菓子やパンでエスメラルダの機嫌を取ろうとした。彼女の故郷の話も聞く事ができ、リラックスした時間を過ごした。エスメラルダはパンだけは受け付けなかった。
故郷の、私の作ったパンの方がおいしい、と譲らない。
ジェイコブは後にご馳走になる事を約束した。
ジェイコブは彼女の書いた絵の中に気になるものが存在する事に気づく。
エスメラルダにとって、それは今では苦い思い出となって残っていたものだった。
村に住んでいた、物語の語り部の車いす。
エスメラルダにとって、彼女について話すのは苦痛を伴った。
そこに触れないように話を避けていたが、思わぬところで突っ込まれたと思った。
しかし、何故?
単なる、車椅子。
ネイサンは異国から交易隊が持ち替えった貴重な道具だと言っていた。
だが、どうだろう。
今となってはネイサンの言う事にも何か含みがあったように思えてならない。
エスメラルダは映画で得た知識を持っていた。
つたないながらに手にした、サンエスペランサの人々との交流も。
何かにおかしさを感じつつも
ネイサンが彼女にとって信頼できる人間である事は変わりはない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます