ppp
2019/09/10 23:40
「エスメラルダの描いた絵だ」
マークは差し出された絵に
「この・・・・・・車椅子は」
「写真を見せたよ、エスメラルダは同一人物だと言ってたが」
二十年も前の話だ。当時の姿のままであるはずがないと思った。
それでも、ひょっとしたら追い続けていた一つの答えがそこにありそうだった。
「 の娘かもしれない。つまり・・・・・・俺の孫だ。いるって言ったんだな? エスメラルダは彼女が」
「
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この街には嫌なヤツが多すぎる。
夜の街に嫌なものが多いのかもしれない。
私は朝の光を見た事がなく。
友達を誘ったら気づけば翌日には消えている。
ベッドを共にした男どもとの二度目はなかった。次に会うと必ず私を見て怯えた顔で他人のフリをする。
カーリンという男は別だった。ヤツの性根の悪さは知っているが、唯一私を怖がらなかった男だ。目を空けると隣にいる。聖職者ぶったツラが嘘なのは見抜いているが、そんな顔をしていろ、私を安心させるために。
カーリンはある日を境に帰ってこなかった。
夢の中では子供を集めて、物語を聞かせている光景を見た。
車椅子の上で街(サンエスペランサ)の話を聞かせている。他人の中で生きている感覚がした。
夜の世界は昼間とは違う。街の楽しさ、暗部、教訓を含んだおとぎ話にアレンジして聞かせてやったら喜んでいる。
そうして、子供達が帰ると思うように動かない体を呪って自由に歩き回る事を夢想する。いつもそこで目が覚める。
体は動いても思うようには振る舞えない事を幼い自分に教えてやりたい。電話のコール音にバッサリと思考を断たれた。
FBIは目障りだ。行方不明になった連中を追う価値はない。
犯罪者に温い連中に変わって静かに処分してやっている、あいつらにそう言ってやりたい。
受話器の向こうでカーリンの最期を聞いた。
何も思う事はなかったが、目が覚めた時にカーリン以外に 。
別の女に走って殺された。
名前はエスメラルダ。
夢の中で話を聞かせて読んでやった子の中に同じ名前の女性がいた。
親友で、突然弟と逃げ出したので馬に乗る大人の背に捕まっておいかける。追いついた先で撃たれた。『あの子』の憎悪が
激すると体の維持が難しくなる。
鏡に映った右手の肉が苺ジャムみたいにポタポタと零れはじめて
指先の骨が露出する。
ドアをノックする音が静かに響いて我に帰った。
指も元通りの肉付きの薄い細い指に戻っていた。
「テューダ、いるか」
夢の中で皆がそう呼ぶので、そう名乗る事にした。
名前は何でもいい、別に自分が何者でも。
2019/09/10 02:05
名前を巡るアイデア
--------(心理分析官と)
(強力な銃を携帯、使用している話から)
ジェイコブ「家族に迎えるのは勧めない」
マーク「何故だ? 州の規定は満たしているし、彼女も変質者に襲われていて不安だろう。FBIの俺が引き取るんだ、これ以上安心できる場所があるか?」
ジェイコブ「エスメラルダはお前を怖がっている。見抜かれているぞ。お前の犯罪者への執念が逃走中の男に似ているそうだ」
マーク「
ジェイコブ「私も同意見だ。
マーク「FBIから正式に関係者保護の要請が降りればいい。
ジェイコブ「不安定な子を怖がっている人間と一緒にさせたくない。彼女の意志も尊重すべきだし、俺も反対するぞ」
マーク「あの子をシルヴィアに合わせたい、それだけでも」
ジェイコブ「逃走中の犯人を捕らえないとシルヴィアも危険になる」
マーク「まずは三日でいい。犯人は手負いだ。
ジェイコブ「エスメラルダに拘りすぎじゃないか? 執念という意味じゃカーリンという男といい勝負だ」
マーク「誤解を解く自信はある
ジェイコブ「エスメラルダにとったら、カーリンと三日生活するようなものなんだ」
マーク「頼む」
ジェイコブ「半日で支局へ連れ帰る。移動の日は私も同行する」
(ドラマにはなるがもう少し捻りがほしい)
だが、心理分析官のジェイコブとマークを絡ませエスメラルダを間に
入れる構成は採用する)
※マークのキャラクターを対サイコパス用のサイコパス化に設定する。
(深淵に飲まれたキャラクター)
エスメラルダはマークが怖い。ふとしたきっかけで犯罪者に向けている狂気が自分に向かうかもしれないと考えている。
二人を繋ぐのがシルヴィア。と心理分析官のジェイコブ(黒人、太っている、頭はショートのドレッドヘア)
恐怖を感じている関係だと話が始まらないので、間に誰か入れる。
(強引に進めるとエスメラルダが受け身一方になりかねない)
赤い霧の事件には模倣犯も多い。
------(車の中で)
エスメラルダ「エスメラルダ・ド・エトランゼ」
マーク「エトランゼ(異邦人)? 変わったセカンドネームだ」
エスメラルダ「私の故郷に来る人を皆、エトランゼと呼んでいました。外からやってくる人間は皆、私達に楽しいお話を聞かせてくれたり、お土産をくれたり。そこから学んだ事はたくさんあります」
マーク「・・・・・・」
エスメラルダ「私もたくさんの国や街を訪れて、エトランゼとして生きたい。そういう憧れで自分でつけました」
心理分析官の が血の繋がりのない者同士が集まる小さいコミュニティ、寄り合い所帯内での関係はあるが、エスメラルダには家族の概念がないのかもしれないと言っていた事を思い出した。名前すらも自分でつける。ファーストネームのエスメラルダについても聞きたかったが、気がひけてしまった。
マーク「
エスメラルダは左手首に小さな神の石板、この街で言うスマートウォッチを操作していた。時刻も分かるし、指を横に滑らせると色々な効果を発揮する。
体調も数字に出るし、歩いた歩数も分かる。ジェイコブからの知らせも一瞬で届いて読める。変わった魔法だ。この街の住人は道具を通じて魔法を使うらしい。
「すごい……」
「気に入ったか? それは君のだよ」
ジェイコブが部屋に入って来た。狭い部屋だった。後ろに長椅子、前に二つの椅子が間にレバーを挟んで並んでいた。
「え? 頂いていいんですか?」
「ずっと着けてろよ。それでお前の位置や音声が遠くにいても分かるし、こちらから連絡する事もできる。どこで迷子になっても迎えに行けるからな」
初めて見た時は、瞳は窪んだ眼窩の奥に潜んでいて、黒一色に見えて不気味だった。銃を構えている間、血走った鳶色の眼球が顔を出し、カーリンを捉えていた。
意識が消えていくなか、周囲の人間の中に紛れている彼が印象に残ったのは、悪魔に似た雰囲気を出していてそれが浮いて見えたからだ。
「……」
エスメラルダは黙り込んだ。マークという男は真っ黒の眼鏡をかけて、非情さを隠している。だが、目だけではなく、顔付きから佇まい、振る舞い声音までどこか威圧的で好きにはなれない。
「これはサングラスって言うんだ。眼鏡……いや、太陽の光を遮るガラスの膜……」
「……眼鏡ぐらい知ってます」
「……そうか」
変な間が出来た。彼女はサングラスの向こう側が見えず、初めて見た悪魔の瞳が頭に過り、目を背けた。
(何で怒ってる?)
(怖がってるんだ。坊主頭にサングラス、無表情は俺もどうかと思う)
(お前が、俺の目が怖いと言うからだな……)
(口角を上げろ。少しはマシだろ)
エスメラルダは前にいる二人が顔を寄せ合って何かを相談している事に不安になった。
よく聞き取れない事が、余計に彼女を不安にさせた。
(落ち着かないな……)
早く動いて欲しいと思った。部屋に入る前に外側をくまなく観察して回り、車輪が四つ着いているので動くものだと当たりをつけていた。馬車に似ているが馬はいない。何で動くのか彼女の好奇心が騒いだ。
部屋が振動して音を立て始めた。
(今だ、どうやって動くのか聞いてみよう)
「あの、この部屋はどっ、どっ……」
エスメラルダは言葉に詰まった。サングラスの男が振り向き、口元を歪ませ震えている。
(笑いたいのを我慢してる? いや、余計な事を喋るなと怒っているのを我慢してるのかな……。怖い? まさか。というか、これは何なの? 何かを試されてるの?)
(エスメラルダが緊張して声が震えてる)
(俺がきっかけを作るから焦るな。とりあえず車出せ)
三者三様の思いを乗せて鉄の小部屋が動きだした。
エスメラルダは森林の真中に綺麗な道が伸びている事や、そのスピードにも驚いた。
聞きたい事が、知りたい事が山ほどあった。好奇心が喉から手を出し、口を開こうとする度に、マークが口角を上に吊り上げるのが前方の小さな鏡で分かった。
(その顔止めて。いや、その顔何ですかの方がいいかな。どう言おうかな。何て言ったらいいかな? 私、こんな事聞きたいんだっけ?)
左半分側の道を別の小部屋が走り抜けていった。顔が自然に後を追ったがやがて見えなくなった。
「車好きか? 快適だし、恰好いいだろ」
「車って言うんですね。どうやって動いてるんです?」
「
ジェイコブがマイクに耳打ちした。
(こんな感じで自然に話せ)
「今日もいい天気だな。サンエスペランサは年中快適な温度で、冬が短い。東部は寒いぞ、マイナス10度になる州もあって
(車の話をして彼女、乗り気だったろ。見ろ)
エスメラルダは話の展開の変わりように戸惑っていた。
(今日もいい天気……確かに。突然、天気の話……車の話はまずいって事?)
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