舞台
人を食べる街。
一定数の住人を確保しないと外に出られなくなる。外界と文化は近いが中世風
銃もある。
2019/08/27 00:43
案内された部屋に入り驚いた。
石灰色の柔らかい床、右手を少女よりもほんの少し高い本棚が埋め、
左手には小さな机と小さな煙突のようなものがうっすら蒸気を吹き出している。部屋の奥にある窓から壁のように横一直線に伸びる森林、その向こうに石造りの塔がびっしりと並んでいて、その間を空に浮いている道があって、その上を小さな何かがたくさん動いていた。それらの更に奥には真っ青な海が広がっている。かつて少女の街に訪れた異邦人が描き上げた油絵に似た風景だった。油絵の方は絵描きの感情がこもっていたのだろう、力強く粗々しかった。それも魅力的ではあったが、本物はシンプルで遠目にも美しかった。近くに行ってみたいと思った。
膝丈くらいの木目の入った机を挟んで、横に長い食パンのような黒いもっちりとした椅子が二つ、向かい合っている。
「遠慮せずに、好きな所に座って」
少女はきょろきょろと辺りを慎重に見回しながらおそるおそる、手前の椅子に寄り、指でそっと触れてみた。柔らかく、それでいて程良い弾力がある。腰を乗せるとゆっくりと体が沈み、丁度良い座り心地の位置で安定した。
「そんなに驚いてくれると案外悪くない職場だったんだって思うね」
男は
「まぁ、慣れれば当たり前になるよ。ノド乾いたでしょう、何がいい?」
「いらない」
「毒なんか入ってないよ。本当に、飲んで見せようか?」
銀色の水差しに、蒸気が出ている煙突からお湯を出し、コップに入れて飲んで見せた。
少女は何でこの男は自分の考えている事がわかるのか悩んだ。
警戒しているのが表情に出ているか、じゃなければこの男が魔法使いだから悟られたのだ。少女はスカートの裾を力強く握り込んだ。
「どうぞ」
少女の目の前に白いコップが差し出された。甘い匂いがしてなんだか美味しそうだったが、すぐには手をつけず
「美味しいんだけどな。まぁ、好きな時に飲んで。おかわりもあるから」
「楽しいお話をしたいところなんだけど、怖い顔したおじさんに急かされているんでね。これから、聞きづらい事も尋ねると思うけど無理はしなくていい。苦しくなったら遠慮なくいって欲しい。ただ、これは必要な事なので、何回かこの部屋で君に質問しなければいけない。なので・・・・・・」
「いいです。何でも答えます」
少女は何度も呼び出されるくらいなら、この一回で済ませたいと考えた。男は笑顔を作ったが、口元だけが笑っていて目の奥は真剣だった。
「ありがとう、君の名前を教えてもらえるだろうか?」
「エスメラルダ。エスメラルダ・ド・エトランゼ」
「ふむ。エスメラルダか」
男は何か考えるような仕草をしたが、すぐに作り顔を持ち直し質問を続けた。
「
「君はこの部屋の色々な物に強い興味を示した。初めて見たような感じだけど」
「はい、初めて見ました」
「君の家にはなかったということか。どんな部屋で過ごしていたの?」
「
「
「君は銃を持っていた。この銃の名前は分かる?」
「ベレッタ。センチュリオンモデル」
「あの銃は20年前には正式配備されいたものだ。ソファやポット、それに」
男は背後の窓の景色を指さして、あの街並もといった。
男はベレッタを鞄から取り出し、机の上に置いた。取り上げられる前にホールドオープンさせてバラしたものが組み上げられていた。むろん、マガジンは抜いてある。
「これは、それらよりもずっと後に作られたものなんだ。君は拳銃には詳しいようだが、他には疎い。思い出しずらければいいんだけど・・・・・・」
男の目の強さは変わらないが、少し潤んだような気がした。少女は身構えた。
「どこかに閉じこめられていたとか、動けなくされたとか、そんなことはなかった?」
エスメラルダは予想外の問いに面食らってしまった。男の問いを真っ向から否定した。
「ないです! 自由に動き回ってましたし、ご飯も私が作っていました。外に出歩く事もできましたし、
「この銃はどこで手に入れたの?」
「元々友達の物なんです。
「何発か発砲していたね。何を撃ったか教えてもらえるかな?」
「悪魔を」
「君の言う『悪魔』とは?」
「人成らざる者です」
「それは人の形をしていない、ということだろうか」
間があった。エスメラルダの唾を飲み込む音が沈黙の中、静かになった。
「人の形はしています。『人だった人達』です」
エスメラルダは間をおかずに続けた。
「友達を連れて悪魔から逃げたんです。私達二人を捕まえるために追いかけてきました。捕まると殺される、必死だったんです」
言い訳
「正当防衛か
「他に銃を持っている人は?」
「
「この銃の持ち主は判明している。アメリカにあるベレッタ支社で作られたものだ、製造番号と登録番号を調べた。持ち主は元CIAで南アメリカ支局の捜査員。20年ほど前にアルゼンチンでの任務中行方不明になっている男の銃だ。(あとで調べる支局など)
エスメラルダは当惑していた。アルゼンチン? どこの街だろう?
聞いたこともない言葉を並べられて、必死に頭の中の記憶を呼び起こしてみた。やっぱり何もでない。
「男の写真がある。見てみるかい?」
「父です。彼から
2019/09/05 22:39
(真っ暗闇の中、ライトで部屋をくまなくゆっくりと調べながら)
カーリン
「魂を信じるか? エスメラルダ。
ああ、もう原始人じゃなかったな。ありえないと思うだろ。私は信じる。根拠は人を殺したからだ」
カーリン
「初めての経験だった。今まで誰かがやってくれたからな。何も言わないが勘のいい、頭が回る誰かは気がきく。私の気持ちを汲んで口を開く前に始末してくれた」
カーリン
「裏切られた時はショックだった。誰だと思う? ヒントはお前の大事な大事な男だ。『どっち』だと思う?」
(怒りで暴れ出しそうな気持ちだが、相手のもっとも嫌がる事を口にして心を落ち着けている。追いつめるように)
カーリン
「変わった街だ。藁に、アーチ型の煉瓦作りの屋根に塀。井戸水を汲み上げ、排泄は 。セックスは郊外でしてるヤツばかり。家が狭いからそうするしかない。観光旅行でイタリアの郊外を旅した事があるが、そこを二〇〇さかのぼったような風景。だが、本はこの街でも普通に買えるものがあるし、言語は英語だし」
カーリン
「銃もある。街で作ったというよりは誰かが持ち込んだといった感じだった。それも、使い古されているもの。迷い込んだ人間がたまたま持っていたものだろう。街の連中がオーパーツだと読んでいた近代文化の結晶、俺に言わせればゴミだが。人を殺した時に思ったんだ、これは骨じゃないのかと」
(話が長い、カットすべき)
カーリン
「あの街は火葬で葬っていた。煙が上空へ
信じられないが、ある人間を殺した時、血が吹き出た。体にひっかかってこれは誤魔化しようがない、逃げようと考えた時に
仮説だがあの街は人を食べる。食べると外から追加で誰かを連れてくる。おかしいと思ったんだ、だってあの街の、誰もに血の繋がりのある人間が一人もいないものな」
カーリン
「サンエスペランサはどうだ? 馴染まない概念が一つあったろう?
(※ 必要な部分だけでいい。先はある)
(※ 最初の心理分析官との会話で大半をカットできる)
カーリンがある男の首を刺した。
あふれ出ては、したたり落ちる血の大雨は地の泥に混じり
カーリンの足下が粘りけのある沼沢地と化した。
血が急速に固まっていく。ぶよぶよとした赤黒い沼はすぐに乾燥し、亀裂が走った。カーリンは乾燥地帯で塗れた衣服が一瞬に乾くのと同じ現象だと思ったが、本で読んだ事しかないそれが、今立っている環境下で起こりえるのかいぶかしんだ。風に吹かれて宙に血漿が舞う。灰のように思えたそれが遙か頭上で気体となってあちこちが不規則に旋回していた。
人の顔を成し歪んでは崩れ、歪んでは崩れ、やがて天高く吸われていった。顔は必死に現実にしがみつこうともがいているようにも見えた。
次の日、新たな異邦人がやってきた。
カーリンは交易隊がどこへ行き、どうやって物資を持ち帰るのか不思議に思っていた。そして必ず犠牲者が出て生還できない理由も。交易隊の五人の内、二人が帰還した。何やら悔しそうな顔をして住民を不信顔で見渡していた。この二人は知っている。
「そういうことならもっと巧い方法がある」
ラスト
カーリンのお土産
エスメラルダは彼から様々な事を学び、
父は別世界で何かを行っていた。それが何かもわからない。
目の前で男が告げる話は本当に真実なのか? 彼の言う事の半分も理解が出来ていない。初めて見るものが並ぶ部屋。何もかもが初めて。
居心地はいいのだが、魔法使いが誘惑してエスメラルダを騙すための仕掛けかもしれない。心の底では父を信じているのだが、確かめるのが怖くなってしまった。父の正体・・・・・・。
エスメエラルダは自覚はないが、聡明で自身の目で見、感じた情報で現実を修正するバランス感覚や新たにやってきた世界への適応力は備えていた。新しい世界の空気に包まれていくごとに
自分が過ごしてきた世界の歪さに気づいていく。それを必死に否定しながらも、思い出にしがみついて手放す事ができないでいた。2019/08/27 01:47
「あの子は悪魔を撃ったと言っていた」
「俺達も悪魔を相手に戦ってきた。どうしようもないときもある」
「彼女もそんな事を言っていたが、現場の負傷者や死傷者の銃痕や、回収した弾にあのベレッタから撃った形跡がない」
「外れたのか?」
「当てたといっている」
「気のせいだよ。必死だったから勘違いをしたのさ」
「犠牲者や行方不明者、犯罪者含め、この事件の関係者の写真を見せた」
「追いかけてきた人間がリスト内にいないらしい。酷く動揺していた」
マークはFBIの同僚(仲間)も行方不明者入りした事を思い出した。
「こんな事を言ったらなんだが、幻覚の可能性もある」
「薬物検査は問題ないんだろう?」
現場からはマリファナが
「それなんだが・・・・・・」
「今の所は健康診断にもおかしな結果は出ていないが」
「予防接種だと本人は言っているんだろう?」
「カルト系の犯罪団体が言っていたらしい事をどこまで信用する?」
「・・・・・・クソ」
「
8月31日追記
街は一人犠牲になることで
天候や農作物が育つ。
交易と称した麻薬売買をしている
生きている街、人を食べる
生き残りをかけたデスゲーム要素はあるが本格的ではなく、また、そうならないように
自治体や宗教で団結する必要がある。
エメル は知らないが、その狂気に触れる。
父とネイサンの影響でよりよい社会を作る理想を持ち、疑問を抱えているが、現実も理解し、馴染む社会性も持っていた。
ネイサンは街の仕組みを理解していた。
冒頭では書かないが、エメル のために
追っ手を何人か殺している。異邦人を引き込む為に。最後は自死し、1人分の空きを作る。空きが多いほど出入りは自由になる。
サンエスペランサの殺人鬼は人食いの街の教義に生きていてある使命感を抱えている。
エメルの対極に位置するキャラクター設定で、街の秩序を知っているが故にそれが当然だと確信して生きているため、精神的にも異常性は普段は見られない。シルヴィアに恐怖を植え付けた男。
異常性を理解しているのは街出身のエメルだけ。
エスメラルダは家族の概念を理解していない。
ネイサンはcia 27歳
街に詳しい
歳を取らない魔法の影響
【エメルの服装】
①トナカイの毛皮のコートにマント
毛皮のブーツ、麻のシャツ
(胡服のイメージ)
②(サンエスペランサ:病院)
医療用のツナギ(入院患者用)
点滴袋のついたスタンド
③(サンエスペランサ:移動)
薄紫と白のボーダーシャツ(長袖)
ダメージジーンズ(ホワイト)
淡い紫に白い縁取り、靴底のスニーカー
スマートウォッチ
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2019/10/31 01:34 追加
追跡者を倒して数年。
サンエスペランサが腐っていく。
表面上は美しく、素朴な区画や近代的な地区もあるが、24時間が夜だと言われる治安の悪い地区の存在や立ち入れない場所、行方不明者、未解決事件、都市伝説に
怪人の噂。その大半は公式には認められておらず非公表。
マフィアやギャングは存在するが、街の治安維持として機能している。
FBIとも非公式である面で協力関係にある。
「立ち入れない場所」から出てくる共通の敵に対抗するために。
常識の外に生きている気狂いの集団は街の脅威になっている。
隔離できているのか、好んでその区画の奥底から出てこないのか手応えがなく
不気味な影響だけが街に静かに浸透する。
気狂いの集団の内情の一部がエスメラルダ(エメル)の話と書いた絵から得られたのみで、FBIや警察は掃討に踏み切れず、足踏みしている状態。集団は独自の文化をサンエスペランサとは別の土地に築いているらしいが、その場所が特定できない。
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エメルは街(サンエスペランサ)から出られずに留まっている。
ネットや観光客から異国や他地域の情報を聞いて回るのが楽しみになっていたが、故郷(ウッドロッド)にいた頃とやっている事は大して変わらない。
シルヴィアは夢を追って新天地へ向かった。
エメルは彼女が口にする夢が嘘だと気づいていたが何も言わなかった。
エメルはサンエスペランサのどこからも故郷の影を掴めず、ネットにすら街の情報が存在しない事を気にしている(非公表にしている一次情報が彼女の口頭から出たものなので当然だが彼女はそれを知らない)。
故郷の記憶は時間を経るごとに霞んでいくが、命を救ってくれたネイサンの記憶だけは鮮明に残っている。
追跡者との闘いで得た不思議な力や、義父となったマークから受けた護身術や武器の扱いの腕を磨きながらいつでも救いに出かけられる準備を整えているが、年の経過とともに彼はもう生きていないのではないかと思い始めていた。
鬱屈した日々を送るエメルは、観光客の中に混じった風変りな銀髪男と出会う(絡まれる)。
人を食ったような態度が気に入らないエメルは冷たくあしらうが、その男は彼女に観光案内を頼みたいと執拗について回る。どこへ逃げても先回りして待ち構えていたり、振り返るとすぐ後ろに立っていたりと振り切る事ができなかった。
「どこへ行きたいんだ?」と尋ねると、男は「ウッドロッドへ」と答えた。
エメルは大きく目を見開き、男は不適にほほ笑んだ。
男は「罰当たりのルーパート」と名乗った。
「赤い眼の彼女に逃げられたので」声をかけたらしい。
エメルはルーパートに興味を持ったが、彼は不法入国の罪で警官に逮捕された。
唖然と立ち尽くすエメルを残して、ルーパートを乗せたパトカーは走り去って行った。
エメルはパトカーを追って長いサンエスペランサの登り坂を走る。
彼女は停滞していた時が動き出すのを感じて、いてもたってもいられなかった。
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