第38話解決

 ママのお店は火災保険に入っていて、ほとんどの額を補償してもらえるらしい。

 今、焼けた柱なんかを取り除けようとしているが、実際に開店するまでまだかかりそうだ。

 一部の壁なんかは、黒くすすけていて、戦場跡みたいにも見える。

 仏壇だけはきれいに焼け残っていてびっくりだ。

 ママは、旦那さんの位牌を、改めておさめたご本尊と一緒に拝んでいる。

 青空喫茶とはいかなくても、ビアガーデンにしたらどう? 

 と、持ちかけてみた。

 ロボット部で、真価を発揮したパワードスーツを壁際に設置してみたら、ワイルドな味が出た。

 もう、これでいこうよとオレは言うつもり。

 ご本尊様を助け出したんだ、もっともっと、ありがたがられてもいいと思うよ。

 暖かくなってきたし。

 梅雨まではまだあるし。屋根だけしっかり直したら、それなりに見られると思うんだよ。

 古いシャンデリアはLEDに変えてさ。

 もう、まるごとイメチェンしてしまう。

 ……どうかな?

 天井にガラス窓をはめたら、星が見えると思うんだ。

 言ったら、ママは驚いていたが、LEDの光に負けて、星は見えないんじゃないかって。

 惜しい!

 でも月なら見えるかも!

 オレはいいと思う。


 そして、真希奈さんは……。

 退院して、リハビリを続けるおとうさまのために、通院の手伝いを決めたという。

 おかあさま一人では、車の乗り降りも大変だし、そもそも介護には三人ぐらい必要らしいから、オレも手伝いをかって出た。

 本当に、真希奈さんは心の清らかなひとだ。

 そのために、騙されたりもするけれど。

 だからといって、彼女の真価が損なわれるわけもない。

 ただ、オレがついてあげなくてはと思うんだ。

 シューマや、とんでもない奴らにつけこまれないように……。

 結局、誰が真希奈さんの噂をばらまいたのかはわからずじまいだった。

 だが、ロロロ・ロシアンルーレット爆弾を空から無人機で落としたのは、誰か、わかった。

 その爆弾は大学の研究室から、科学部が持ち出したものだった。

 なんでも、アイデアを盗用されたと思いこんだ科学部が、それならばと自分たちの手で威力を確かめようとしたらしい。

 呆れたもんだと思うが、それだけ科学部のプライドは高いんだってことだ。

 わけのわからない薬を作ったりするだけで、表彰ものだっていうんだもの。

 いい加減にしてくれ。

 科学部の首謀者と大学の管理のずさんさが問題になり、各方面から叩かれ、お偉いさんがつかまって、えらいことになった。

 ただ、防衛省の優秀さが際立った事件だったので、ことは学園都市の一部だけで始末がついた。

 孤立していた学園都市ももう元通り。

 ま、二度と起こしてほしくはないけれど。

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