第33話オレがまともなんだよ

 そうだった、オレ、女子はキライだった。

 それが、いつのまにか真希奈さんやサナちゃん先輩なんかに気を許しちゃってるし、クズキのためなんかに、自分から女子に声をかけたりして……。

 思うに、今までの娘は好みじゃなかったんだな。

 ワカコちゃんは、つるぺたなところがそそらない。

 クズキはそこがいいっていうんだから、お似合いだ。

 筋肉オタクどうし、仲良くやってくれ。

 今のところ、気になるのは真希奈さんくらいだな。

 最初は、黒髪なのに青灰色な瞳の色が、懐かしい誰かを思い出させた。

 中等部の三学期に転入してきて、周りは話題騒然。

 なのに、本人は気にしたそぶりもなかった。

 茶道部なんかに入っちゃって、着物姿で日本髪を結っているところを見て、ますますギャップに驚いた。

 ということは、オレは単に理想が高すぎるってことなんだろう。

 でも察して欲しい。

 オレは幼馴染の美少女に失恋したんだ。

 女々しいかもしれないけれど、今も昔のキーホルダーに写真を入れて持ち歩いている。

 金髪で、笑顔が可愛い子だった。

 わすれられなくて当然だよ。

 突然、目の前からいなくなってしまったのだから。

 そら、ショックだったし、どこへ行っても面影を追って、姿を探してしまう。

 それがどうだ、黒髪で目鼻立ちがくっきりした、学園のアイドル、真希奈さんが紫乃宮中等部に現れた。

 素敵だった。

 まぶしくてひとめぼれしてしまった。

 想い出の彼女の他には、決してありえないことだったんだ。

 そんな彼女がどうして、髪を金髪にしたりしたのか……いや、ハーフっぽい顔立ちには似合っているけれど。

 今までもそうだったように、彼女は目立ちすぎる。

 そこが危なっかしくて放っておけない。

 そのうえ家出までして、悪い噂になってる。

 未成年の身の上で、スナックの従業員をしていたりと、スキャンダラスだ。

 でもそれは、やむを得ない事情があり、彼女自身も胸を痛めている。

 たぶん、それに気が付いているのはオレくらいだと思ってたのに、どうしてシューマなんてヤツに先を越されて……いや、あいつは真希奈さんの弱みにつけ込んで、裏でなにか企んでいるに違いないんだ!

 実際に、真希奈さんの友人やオレの親友(と、言ってもいいか)を陥れようとした。

 そんなこと、まともな奴のすることじゃない!

 オレは許さないぞ!

 このお礼は、きっちりさせてもらうからな。

 見てろよ!

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