第15話やっぱり女はキライ
それからオレは、真希奈さんに詳しい、四人(ゴリラ)に話を訊いた。
つってもゴリラのままの彼女らに囲まれて話をする度胸はない。
一人ずつ。
マスクをとってもらい、顔を見て、最近の真希奈さんについて、ライブ会場のロビーで聞いた。
「あんたの甥っ子じゃないの?」
「えー? 私は、あんたの年の離れた弟か従弟かと思ったわよ」
「いったい、どこの子なの!?」
「オレは紫乃宮学園の一年生、桜木圭吾です」
「きゃー、かわいい。ボクは初等部? 私たちも紫乃宮よー。高校生だけどー」
今はゴリラだけどな。
「知ってるよ」
オレは、憮然と言った。
「キミ、面白いね」
なにがおもしろいだ。
オモチャにする気だな。
「悪いね、退散する」
「あん。もう行っちゃうの?」
「女はキライなんだ」
「へえ、なんで?」
「Hのことしか考えてないから」
「やあだ、ませてるっ」
「ぼくー。冗談でもそんなこと言ってると、モテないぞ」
「冗談じゃないよ」
すると四人は目を見合わせ、オレを囲んだ。
だから、そういうことしてくるからキライなんだって。
「あんたねえ! 子供のうちから、そういうひねくれたものの見方はダメよ」
「……おっと」
説教か? クレームか? 実際オレの周りにいたのはそういう女ばっかしだったんだって。
「女の子は、自分を大切にしてくれる人を、ちゃんと選ぶもんなんだから」
バストの下でうでを交差させながら、よく言うよ。
巨乳好きにアピールしてるんだ、こいつはHしてる。
「確かにそういう娘もいるかもしれないけど、私は違う」
おっとり美人は、友人の男も食っちゃうって噂になってた。
「あ、私も私もー。好きになった人としかHしないよ!」
おまえはモテないだけだろう。
って、だけどその気ない。役に立たない、っていうと、みんなひっぱたいてくるもんな。
よっぽどHしたいんだろうな。
「Hしか考えてない女だと言われたら、あんたどう思う――?」
「そうね、それ確かにショックよ」
「女の頭にH以外のなにが詰まってるんだよ」
「それが偏見よ! 失礼だわ。ませてると思ったら、教育に良くないもの見てるでしょう!」
言わせておこう。
「オレはプラトニックだっていいんだよ」
というと、つまらない男だとかなんとか、好き勝手言われるが。
「えー、退屈――」
ほらな。
「目の前にその人がいるだけで、心が熱くなったり、周囲のものが薔薇色に見えたり、どこからか妙なる調べが聞こえてきたりで、動悸もする。浮気なんてしてたら、身が持たない。オレの懐には一人分の容量しかないんだよ」
「きゃあ、純だわあ」
コロコロ意見を変えるなよ。
これだから、相手にしたくないんだ。
オレが想うのは、ただ一人。
幼等部卒業と同時、フランスへ行ってしまった幼馴染――いつかめぐりあえるだろうか。
それはとにかく、真希奈さんの情報はとれた。
オレは、一人ずつ礼を言って、独りで出てきた。
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