第13話安楽ベッド探偵

 気絶した瞬間、わけはわからないがこのままでは死ぬと思った。

 あわてて保健室に行って、そのまま寝た。

 起きたときはだいぶ回復していたが、そのままの姿勢で考え続けた。

 なぜって? 

 また倒れたらいけない。

 なんとかいう哲学者も、ベッドで考え事をしたそうだ。

 くわしくは「倫理」の薄い教科書で!

「何が彼女を変えたのか? 事実はそこまで複雑ではなく、単にご両親の不在だとしたら。病気・ケガ・事故……どれだ?」

 だいぶ直感まかせだが、目の奥がとろんとしたままじゃ論理的にばかりとはいかない。

「いずれにしろ、彼女の件とオレの幼児化は関係なさそうだな」

 オレは、五歳児の体で可能な調査法を模索した。

 市街地は着ぐるみ(今はそう見える)防護服の猿ばかりだ。

 誰が誰だかわからない。

 学園にも居場所なんかありやしない。

 一体、どうしたらいいんだよ?

 オレはほの白い天井から、岸本エンジェルのデスクに目をやった。

 五年ぐらい型落ちしたウインドウズのデスクトップ。

「……ググればいい。特に必要なら、ハッキングも辞さない」

 それはごくごく手の付けやすい、現実的な対処方法だった。

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