第3話朝っぱらからラプソディア

 なぜかやたらと女にもてる体質のオレ、桜木圭吾は、女がキライであります。

 ぶっちゃけ、幼少期の初恋をまだ胸であたためているとか、十年ごしの想いに終止符を打ったばかりで、恋なんか疲れるからどーでもいいとか、ボッチ生活を堪能してるとかじゃねーからな?

 オタクでもない。

 女と名のつくもんは、若干一名をのぞいて一切、関心がない。

 他人は、それをおくびょうだとかストイックだとか好き勝手にいうけれど、決して行き過ぎた節度がそうさせているわけじゃない。

 オレは普通だ。

 顔以外。

 古いんだろうか? 俺自身が、本当に好きな女とだけつきあいたい。

 そのたった一人が手の届かないところにいるから、一生この病気は治らないと思うし、そこはカクゴしている。

『春休みあけとはいえ、ヤッちゃったなーってヤツ、他にいるかな!?』

 オレはクズキの一言に吹きだした。

「ヤッちゃった、て、なんだよ」

 靴を履き替え、廊下を行くとすぐ教室だ。

 一年、 B組。

 オレは中等部からの持ち上がり組。

 イトコから親戚までが、中高大とエスカレーター式のこの紫乃宮(しのみや)学園での、おくゆかしくもゆるふわな学生生活をうらやましがってやまない。

 うん、オレ、頭いいとかじゃなく、お行儀と外面がよかったのね。

 で、中等部に入るときは面接だけで生き残ったみたいなもんなの。

 今でも覚えてるのがあの質問。

『大きくなったら、どんな大人になりたい?』

 オレは、今でも時々考える。

 あー、かっこいいヒーローになりたい。

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