千年王国978年目、崩壊の前兆と愛について by みりあむ 様

これとは別の中編小説から読み始め、文章力の高さに感服したため他作品も読んでみようと思い立ったのがきっかけです。


民俗学などに詳しい方のようで、こちらの作品も聖書に書かれている内容を基に書かれています。


始めに断わっておくと、官能小説のような興奮する為の狙った感じはありませんが、性描写やセックスという言葉がばんばん出てくるので、そこだけはあらかじめご了承ください。笑

あと、ちょっと痛い表現もあります。(グロいの駄目な私でも読めたので、大丈夫かとは思いますが)


物語の中で出てくるのは、天使と悪魔、そして神への信仰心のある人間<信者>と迷っている人間<迷子>のお話です。


作者様本人の言ですが、前半部分はこういった設定の説明や、聖書なんかの話が続くので、かなり人を選ぶ仕様になっています。(私はみりあむさんの作品が好きなので、安心感を持って読んでいましたが)

が、注目いただきたいのは物語の中盤から後半です。

物語は一気に動き出して不穏な流れになり、登場人物達の一挙手一投足に目が離せません。


物語の視点は、大まかに2人の人物から見た1人称視点が交互に繰り返される事によって進んでいきます。2人が相対する事になった時、双方から見える登場人物達の見え方は大分異なり、登場人物が1人で苦悩する姿を感じ取れました。

自分が本当は辛い時、周りには全然伝わっていない事ってありますよね。

いいよね、あなたはいつも幸せそうで。言われてへこんだ事、孤独感を感じた事、私もありました。


天使や悪魔が出てきたり、何だかおごそかで敷居が高く感じる方もいるかもしれませんが、全然そんな事はありません。

どのキャラにも欠点があり、茶目っ気や不器用な所があって、魅力的な登場人物達がたくさんいます。

特に私は、イトナというキャラクターが大好きです。彼は手話で会話をするためほとんど喋りませんが、彼の行動には彼なりの愛情表現が溢れていて、その1つ1つが可愛くて、そして切ない想いにさせられました。


この小説のテーマは「愛」です。

天使と悪魔、そして人間達が、不器用ながらに愛を求める姿に、心揺さぶられます。

【千年王国978年目、崩壊の前兆と愛について】へのリンク

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884599545




合わせて、こちらもおすすめです。

落語家の語りのように、軽快なテンポで進んで行く天狗のお話。

みりあむ様を知るきっかけになった最初の作品です。

【趣海坊天狗譚】へのリンク

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885716644


ぜひ、ご覧ください!

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