第6話 分からない人に対するフォロー

初心者にすべきことはその人が理解しやすいような説明である。しかし、その説明は本当にその卓にあった説明なのだろうか。いつも通りであるが、本書は説明が上手か下手かを論ずるものではない。


通常説明するのはGMだ。ゲームの内容でもシナリオの内容でも最初はGMがプレイヤー方4名前後に説明する。今の説明でわからなかったにその人に向けて説明をする。


「説明する」ことにおいて想定している「初心者」とは何なのか。それは「それに対する知識がなく説明を必要とする者」である。よく考えてみよう。説明することにおいて重要なのは当人が理解しているか否かだ。そこにこれまでのTRPG歴などは関係ない。そして、前述のPL4人に対して説明することと、その説明が分からなかった人への説明は明確に異なる。


授業をするとしよう。学校や集団で教わるような学習塾では教師が生徒に教える時分かりやすい授業を務めるが、その授業中、一番理解力の劣る人に合わせるだろう。そうすると、理解力のある人は先走ってつまらない話を聞く。私も授業中内職していたのでカリキュラムの遅さはよくわかる。その時他の人が「先生、ここが分からないです」と質問が来た。そこでの回答は、その授業で最も理解力が劣っている人ではなく、その質問してきた人が理解しやすいレベルに合わせるだろう。


TRPGに話を戻す。最初GMが説明しているのはプレイヤー全員に対してだ。質問をしてきた場合は、プレイヤー全員ではなく、質問をしてきた人が分かりやすいように説明すべきだ。他の人が理解しているのであれば、その質問してきたプレイヤー以外に絶対伝わらない表現であっても、そのプレイヤーに理解させればよいのだ。そんなもんに身内ネタも関係ない。その人が理解しなければならない事柄なのだから。

ひたすら「人」「プレイヤー」と表現しているのは、そこに「初心者」や「上級者」などというものは存在しなく「理解力のある人」「理解力の劣る人」しかいない(劣るなどと書いているが差別的表現ではないことは留意していただきたい)。

会社にも年だけ食って役にも立たない人がいるだろう。しかし指導者の立場は、新入社員だろうが、そういう使えない人間だろうが、その人を使えるようにするために指導することだ。


自作のシナリオが「初心者が楽しめるものなのだろうか」と心配をするかもしれないが、初心者にも千差万別いるように、初心者以外の熟練者にも千差万別いる。「初心者が楽しめるように」という前にまず「目の前の人が楽しめるものなのか」を考えた方がよいのかもしれない。

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