第4話 初心者が分かりやすいようにという配慮
初心者としてみると「コンベンション」だとか「セッション」だとかは意味不明な単語だ。いやまあバンドの合奏のことを「セッション」というし、そこら辺のイベントのことを「コンベンション」というから伝わる人には伝わるだろう。
初心者向けの資料を読んでありがちなのが、「こんなもん初心者はわからない」だ。分からないものは分からないからまあいい。それは資料の出来の問題だ。「初心者でもわかりやすいように」資料を変更するだろう。やり方としては3つある。
1つ、分かりにくかった部分を使わないようにそもそも削除してしまう。
2つ、わかりにくかった表現を分かりやすいように校正し補足説明を加える。
3つ、わかりにくかった表現を分かりやすいように変える。
本項で言いたい問題となるのは3つめだ。
表現の書き換えでやってしまう人がいる問題があるものが、固有名詞そのものを初心者が分かりやすいように置き換えてしまうことだ。
例えば「クリーチャー」がいたとしよう。初心者が「クリーチャー」というものが分からない。ここで「クリーチャーというのは生き物のことでたいていの場合敵となるモンスターのことだよ」と伝えるのは良い。悪いものは「『そうか、クリーチャーって伝わらないんだ』と『クリーチャー』を『モンスター』と全て置き換える」ことだ。
「クリーチャー」と「モンスター」が原義的に意味が異なるからではない。
ゴルフの初心者向けのものを見るといい。「アルバトロスはパーのコース5を-3打で終了する」といったことが書いてあるだろう(ぱっと文章作ったので、こんな不親切な解説ではないけど)。「初心者には『アルバトロス』は難しいから教えない」はあったとしても「初心者には『アルバトロス』は難しいから簡単な単語に置き換えよう」なんてものはないはずだ。
そのような教え方をされて今後困るのは初心者だ。ルールブックがヤードポンド法で書かれていたとする。これを「初心者が分かりやすいように」とヤードポンド法をすべてメートル法で置き換えたサマリーを作ったり、セッションをする。すると、初心者は「このゲームはメートル法で書かれているんだな」と思う。初心者はルールブックを買う。そうすると意味不明なことが書いてある。「この間のセッションでは1.6kmって言っていたけど、この1マイル」ってなんだと。
伝わりにくかった表現を意味すら変えて伝えて初心者に後で混乱させ挫折させるか、伝わりにくい表現を伝わるように説明して最初の段階で挫折させるかは君次第だ。
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