第5話 目覚め
僕が目を覚ますと、僕はどこかのベッドの上に寝かされていた。全身が興奮して、激しく動きたい衝動に駆られた。起き上がろうと力を入れても起き上がれない。何かに押さえつけられているみたいだ。首を無理やり動かして、自分の体を見た。僕の体は鉄の枷によって固定されていた。前ドラマで見た、精神病患者に使っていたようなやつ。
周りを見渡してもベッド以外には何もない。真っ白な部屋に無機質な銀色のドアが付いている。腕には点滴の針が刺さっている。
なんだかとても不思議な夢を見ていた気がする。そしてその夢の中の感触は僕の体に植えつけられて離れない。あのぬらぬらした黒い生物はなんだったんだろうか。僕はどうして倒れて…それに、校庭にいたクラスの人や、先生はどうなってしまったんだろう。
その時、ドアが無機質な音を立てて勢いよく開いた。
「京介!」
母さんがすごい形相で駆け寄っている。
しかし、母さんは後ろからついてきていた白衣の人物に制止された。
「奥さん、どうか今は息子さんとの接触はおやめください。」
「いくら国家秘密だからって、息子と話させてくれないなんておかしいです。私は息子のところに…」
そうやって言い合っているうちに数人の人が母さんを拘束して連れていってしまった。それを見届けた白衣姿の男が静かに部屋に入ってきた。
「京介くん、気分はどうですか。」その男は手を後ろに組んで、真顔を全く崩さずに話した。
「あの、これはどういう状況なんでしょうか。」
「いいから、体調はどうなんだ。」白衣の男は有無を言わさず言った。
「別に…普通ですけど。」僕が答えると、男は
「ならいい。君は、意識を失う前に何かを見たか?」僕はうなずいた。
「そのことを誰にも言っちゃだめだ。」
「つべこべ言わずに、大人しくこっちのいうことを聞きなさい。君は今、大変なことに巻き込まれている。君には詳細を教えてはならないことになっているがね。」
全く理解できない。でも僕は仕方なくその言葉に従うことにした。
彼らが去ると、抗えない眠りの波が押し寄せてきて、僕は深い眠りについた。
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