第46話 モ、モンスターと遭遇してないのにぃ!? 精神力を消費する

「体調も万全。ダブルピースです!? ぶいぶい!? おふたりに介抱されて、快方だぜ!? グータッチしますか!?」

「て、照れ隠しなの!? メンタル大丈夫!?……生真面目きまじめな人が無理しないで!?」

「ソージに言われるのは、くっころですわね!……では、ゆっくりですが、探索再開ですわー!」


 魔法陣での休憩時間をすごして。再出発。


 洞窟から地下神殿に足を踏み入れる。


「ふ、雰囲気が、いかにも、忘れ去られた神殿みたいだな。か、階段、崩れないよな!?」

「た、大丈夫ですよ。足を滑らせない限り!?」

「および腰ですわね! のろのろちゃんしてなくてよ! あら!? 滑ってしまいましたわ!?」


 クリスティーナ!? ゆっくり探索って言ったよね!? 


 ぐわああ!? 新選組の襲撃だあ!? 


 階段から三人仲良く。転げ落ちてるう!?


「きゃ、きゃあああ!?」

「ごろちゃんごろちゃんごろちゃん!?」

「ごげえええ!?……痛いよおお!? だべええ!?」


 な、なんなの!? 


 モンスターと遭遇してないのに。ダメージ受けるって!?


 そこら中が痛い。


 た、たいした高さじゃなくて、助かったのか!?


「ザーヤ? らいじょうぶ!? うけどめられで、あんじんです! ぐずでぃーな? アトデ、エロイコトヲ、サセテモラウゾ!」

「う、受け止めてくれたの? どこか、怪我してませんか? クリスティーナさん、ソージ君が下敷きになりましたよ! 大丈夫かな? 能力使ってなくても、かばうなんて」

「パ、パーティーの危機を救って下さって、お疲れちゃんですわー! 大義である!……ふともも♪ もっちもっち♪ もちろん貴方だけのモチリズム♪」


 こ、こいつう!


 相互利用の関係だから。


 ふともも、関係無いし! ゆ、ゆるして、やるよ!


 言動と態度が。一致しない奴だからな。


 おそらく。俺とサーヤが階段を下るのを躊躇ちゅうちょしていたからか。


 クリスティーナが先に行き。安全を確保しようとしたら。


 足を滑らせたのだろう。


「クリスティーナ!……お疲れちゃんだぜ! お前も、もっちもっち肌で怪我してなくて、幸運だな! みんな無事で、俺達、ツイてるぞ!」


 責任追及は。しないでおこう。


 わざと足を踏み外した訳でも無い。


「不注意でした。ソージさんとサーヤさん。毎度、ご迷惑をおかけしています。ごめんなさい」

「ソ、ソージ君が激怒してない!? せ、精神が成長してるの!? ま、前向きな姿勢だね!?……クリスティーナさんですよね、貴女!?……随分とクリスティーナさんと意思疎通できてるんだね!……ふーん! へーえ!」


 ジ、ジト目のサーヤだ!? 


 不満がある時だぞ!? 


 やはり、どこかを痛めちゃったの!? 焼肉炒め食べたい!?


『レバニラ炒め、チャーハンも捨てがたい!……お主の体が痛めておるわ! わらわも、全体的にヒリヒリしておるぞ! とばっちり♪ ばっちり♪ 影響じゃ!』

「サーヤ!? もしかして、どこか痛めたの!? 触診してあげるから! 大丈夫。すぐ、終わるからね!」 

「も、問題ありませんよ!? ちょ、ちょっと!? カナちゃんが言ってた、お手々、にぎにぎですか!? 剣の鍛錬たんれんで、マメが出来てたりするので。柔らかくないよ?」


 本調子のサーヤじゃない気がするからね。


 いったん、一呼吸させましょうか。


「サーヤのお手々を血行を良くしましょう。うん? 冷え気味だね。ちょっと、両手を借りますよ?」

「あ、そ、その……ソージ君の手、あったかい。です」


 サーヤの手は冷たくて。気持ちいいですぞ。


 それに、十分に柔らかい。


 ぐへへへ! マッサージしちゃう!


「お手々をマッサージ。リラックスしてくださいな、村長の娘さん。あっれー? 照れてるのサーヤ? 乙女きゃわわ!」

「そ、村長の娘呼ばわりは禁句だよ! て、照れて、い、いません!? い、いじわるです」

「あらあら? サーヤに、お優しいのですわね。チラッ。ソージのマッサージで、リラックスできますの? チラッ。お、お荷物な、わたくしには、無用ですの? おほほ」


 チラチラ効果音つけるなよ。


 してほしいなら、言ってくれ。


 肝心な事は。ちゃんちゃんしてくれないのね。


 いや、クリスティーナも。


 以前よりもね。接しやすくなったんだよ?


「サーヤの次はクリスティーナに、やっちゃうもんね! 俺が、勝手にしてやるんだから! 感謝なんかしなくても。いいんだからね! つーん!」

「しょ、しょうがない人ですわね。付き合う身にもなってほしいですわー! おーほほほ!」


 この通り。ぎょしやすくなっております。


 クリスティーナ検定試験。合格できちゃうな。わははは!


「しかし、昨日の騒動で二人とも、やっぱり疲労してたか。今日は、大人しく休養しておけば良かったかな? 判断を誤ったかも。誰かさんは、無防備な寝顔をさらしてましたし」

「カ、カナちゃんですね!? リナさんかな!?ク、クリスティーナさんでしょ!?……こ、こっち、み、見ないで……ください」

「サーヤですわね」

「サーヤだよ」


 伏し目がちで。もじもじしてるよ!?


 お、おさげちゃん!? 青春、ばんざい! 


 放課後、い、い、一緒に帰ってくれるの? 委員長!


「なんなの!? この初々しいさ!? サーヤとは、スキンシップ不足なの! お願いだお! サーヤを感じたいのお!」

「ダ、ダンジョンの探索が、残っています!? ええ!? あ、朝にやってましたよね!? むぎゅーぐらいしか。そ、その、よろしければですけど!?」


 やったー! このダンジョンに来た意味。あります!


「緊張しすぎない。一人じゃない。大丈夫さ。不安は、むぎゅーで無くなります!」

「ず、ずるい人だ、だね!? いきなり、真剣な様子になるなんて!?……あ、ありがとう。もう、大丈夫……です」

「全く、ソージは。サーヤも実戦になると。実力が中々発揮されないタイプでしたから。ダンジョンに到着してから、様子が乱れまくりちゃんでしたからね。わ、わたくしにも、か、かまってちゃんちゃん!」


 クリスティーナの本音!? め、めずらしい!? 


 かなり、構ってやっているんだけど!?


「ちょっと、待ってて? クリスティーナ? サーヤの体温を感じちゃってるぞ! た、たまらん! ハア、ハア」

「は、は、恥ずかしい……また、安眠できないのかな!? 私!?」


 ね、寝坊の原因は、俺だったのかな!? 


 こ、心あたり、ないなあー!?


 

 

 




 

 

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