初めてのダンジョン探索

第45話 初級者ダンジョンで精神力を消費する

「おーほほほ! 初級者ダンジョンに挑戦ですわー! サーヤ、ソージ? ちゃんちゃんしてますの?」

「ちゃんちゃんですわー!……知らねえし! 意味不明だよ!」

「し、慎重に、お願いしますよ?……ちゃんちゃんしてませんよ!?」


 薄暗いダンジョン入口にて。


 意気揚々いきようようとした。パーティーメンバー。


 ギルドの初心者向け体験型アトラクションに参加中。


「初級者ダンジョンって。お宝とか無いの?」

「ギルド認定のダンジョンでしたら。上級者パーティーの不要な武器、魔石等が宝箱に補充されてます。主に寄付で成り立ってますね。モンスターの住処すみかにならないように、調査報告がこの任務ですから。もし、宝箱に何もなくとも。ギルドにダンジョン内の様子を報告すれば。報酬をもらえる仕組みですね」


 初級者ダンジョンか。


 ギルドには、入場料を支払いました。銀貨30枚。


 冒険者育成も兼ね備えてるのね。


 モンスターとか出現するのかな?


「ソージ、モンスターの心配ですの? 滅多にいませんわよ。初級者ですもの。管理されてるダンジョンですから。簡単な罠が設置されてるぐらいですわね。あら? さっそく、宝箱ですわー! けけけけ! 一直線ですわー! なあああ!? 落とし穴ですのお!? ぎゃふん!?」

「……M字開脚、お疲れちゃんでーす! うーん、セクシー!……初級じゃなかったら。真っ先に死んでるな」

「物欲が弱点ですね。判断力を養ってください」


 いかにも不自然な場所に宝箱が。


 案の定。ふともも娘が餌食えじきになった。


「宝箱の裏から開けてみよう。どっこいしょ!……さ、里芋さといも? 黒い石みたいな物が?」

「はずれの品物でしょうか?」

「よいしょ、よいしょ。落とし穴から生還ですわー!……ただの、石ころちゃんですわ! ふぬう! さっさと、捨てなさいな!」


 流石に、リナさんのお土産には……ちょっと。


 ひえええ!? いないよな? リナさん!?


 一応、話題の品として。持ち帰りましょう。


 カナさんにも。冒険談を聞かせてあげたいし! えへへへ!


「おや? クリスティーナ? お尻が?……痛いの、痛いの、ちゃんちゃん!」

「は、腫れていますの? ひゃん!? 回復術ですの!? 撫でまわしてるだけでは!? ああん、も、揉んでますの!? あ、あら? 痛みが、無くなってますわね?」

「ええ!? お、思い込みの産物じゃないですか!? あれ? そ、それは、良い事ですよね!? 痛みが取れるなら!?」


 もっともらしい理由で。


 クリスティーナのハンパねぇお尻を揉んだ。


 精神力の足しになる。一石二鳥さ。


「ぐぬぬぬ。借りを作るのは嫌ですわね。……ありがとちゃん!」

「おーほほほ! クリスティーナお姉様のお役に立てて。光栄ですわー!」

「あ、怪しいなあ、ソージ君。もっともらしい理由ですよ?……な、なにかな!?わ、私の、下半身に。無言の視線、やめてくれるかな!? もじもじ、しちゃいますからね!? さ、さあ、行きますよ!?」






「洞窟と神殿跡が組み合わさった所だな。地下神殿ってやつか?」

「そうですね。薄暗い所です。【炎よ! 私の剣にまとええ! フレイムソード!】」


 サーヤの剣が炎を発する。


 次第に周囲が明るくなった。


「なあああ!? またわたくしの技を!? 盗んだ!? どれだけ、わたくしとソージが苦労したか!」


 お、お前が、ダンジョンのモンスターだよ!?


 師匠として。認めてくれてるの? えっへん!


「そ、そんなつもりは、毛頭もうとうありませんよ!? か、火力だって、微々たるものですし!? た、たいまつの代用だから!?」

「サーヤの、おませさん! 想像力を高めて、どうするの? えっち!」

「そ、そうですわ。魔法習得には、豊かな想像力も必要。み、耳年増みみとしまサーヤ!」


 クリスティーナとダブルで。いじる。


 委員長、興味あるんだ!? げへへへ!


「え、えっち!? えろえろ!? ふ、普通です。こ、根拠が、言いがかりじゃないかな!? あ、朝から、ちゅ、ちゅーしてくる。ソージ君の方が、エロいよ!」


 ぬ? そんなに、気にしてたの? 


 おかしいなあ? おかしいよ?


「朝の挨拶だよ?……サーヤは、そう思ったんだ。ゴメン」

「おほほ……親愛の挨拶みたいなものですわ。サーヤ、貴女」

「い、痛々しい反応、止してください!? な、なにかな!? その、意味ありげな声のトーン!? え、えっち認定ですか!? お、おかしいでしょ!?」


 慌てふためきながら。抗議するサーヤ。


 ついつい、ちょっかいをしちゃう男子です!


「…………」

「…………」

「だ、黙るな!? さっきまでは、ちゃんちゃんしていたでしょ!? コンビネーション抜群だね!? こいつら!?」


 ツッコミが続いてますね。


 うんうん。サーヤも、丸くなったもんだね。


「お? 洞窟の終わりか? その手前に。光ってる魔法陣? と宝箱? 休憩スペース?」

「また、宝箱ですの?……上級者による、結界ですわね。空気中のわずかな魔力を集めて、回復できるようになっていますわ。休憩には、いいタイミングですわね。こ、ここには、トラップは、無いでしょう!? あ、開けますわよ、宝箱!」

「ちょ、ちょっと!? 置いてかないで!?」


 さーて、中身は、なにかなー? 


 あ、あんまり期待しない方がね!? 


 ショックが小さくて済むし!?


「ちゃんちゃーん! ば、万能レベルアップポーションですわ!? す、すべての状態異常、魔力、体力を完全回復、さ、さらに、能力全てを、レベルアップさせる、ま、幻のポーション!? しかも、三人分!?」

「マ、マジですか!? クリスティーナさん!? ま、間違えたら、燃やし尽くしますよ!?……こ、こんあ、き、貴重な物を!? め、めまいが!? 立ちくらみが!?」

「レアアイテムか。良かったじゃないか。サ、サーヤ!? こ、興奮しちゃったの!? 魔法陣の近くで休みましょうか!?」


 思いがけない良い品物で。


 ビックリしてしまったらしい。


 お体を横にしましょうね!


「ご、ごめんなさい。足を引っ張ってしまって。す、少し休めば、大丈夫ですから」

「俺も、いつもそんな感じだったじゃないか? 足を引っ張るどころか。下着まで取られちゃう勢いだぜ?」

「た、例えが、おかしいですわ! ば、万能ポーションを飲みますの?」


 お前はポーションの事しか、頭にないのかよ!? 


 別に、飲んでもいいんだぞ?


「いえ、まだ、何が起こるか分かりませんし。ソージ君? あ、頭をなでなでと。膝枕してくれますか? それで、治ると思います」

「膝、ごつごつしてるよ? クリスティーナの膝枕で、なでなでしてあげるよ?」

「そうですわねー! もっちもっちですからー!」


 しばらく、サーヤの頭を優しくなでなで。


 魔法陣の影響で。顔色も回復するまで、休憩。


 事なきを得ました。


 もしもの時は。能力を使用するつもりでしたけど。


 サーヤに心配させちゃうから。


 自然治癒に任せました。


 あと、もう少しで地下神殿だな!

 

 

 

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