第43話 おや!? メイドさんの様子が!? で精神力を消費する

「ぷんぷんぷん!」

「……いなかの、ぼうそうぞく? りなしゃん……おむねに、むにゅーしちゃう。うずめちゃう」


 バイクのエンジンを吹かしているのだろうか? 


 異音によって目が覚める。


「ふふふふ。寝過ごしちゃいましたね、わたくしも。……カナに起こされるとは、思ってもいませんでしたけど。あらあら? ぷんぷん状態ですわね」


 かな?……しゃん?


 カナさん?……ぷんぷんしていたのは!?


「お、おはよう、カナさん。……は、早起きは、少しだけ良い事があるんだって!? え、えろいですね!? じゃない!?……えらいですよ!」


 早起きは三文の徳を教える。


 こんな事で。ぷんぷんは収まる訳では。ありませんよね!?


「……ぷんぷん?……えへ!」

「旦那様、もう一押しですわ!……カナの機嫌をここまで直すとは!?」

「昨日は、カナさんのお部屋に遊びに行ったんだよ!? ユニコーンちゃんを抱いて寝ていたからさ!? 起こすのも、悪いし!?……でも、カナさんと一緒に、お休みしたんだよ!?」


 リナさんの寝床で。


 共に、朝チュンしたからだよね。


 お姉さん。下着姿だもん。


 抱き枕状態で。眠ってたからね。


 だからと言って。事後ではないから! 


 甲斐性かいしょう無しです。


「……あっ!? お、おぼろげに。ご主人さまと、むぎゅーしたような? お、おこしてもいいもん。の、のけものですか!?……お、お姉さまの方が、よ、よっぽど、妹みたいだね!? わ、わたしの方が、心が大人ですから。くむべきじじょうを、かんあんするもん! ですが……あまり調子に乗らないで下さいね? ちょっと……不愉快になりますから。お姉様?」


 さ、裁判官みたいな難しい言葉を使ってるよ!? く、くむべき事情を勘案!?


 おおう!? と、年相応のカナさん!? 


 ス、ストレス与えちゃ、まずい!?


「お姉さんに配慮するなんて!? すぐに、ベッドに連れ込んじゃう! 存分に、むぎゅーしてあげるから! お耳も触るから! ノーマルカナたんに戻ってよお!?」

「早起きの、お得効果ですか!? つ、つれこみ、歓迎です! ど、どうぞいらっしゃいました!? ひゃん、いつもより、情熱ですね!? はわわわ。耳が、ぴくぴくしちゃいますよ!?……でも、えへへへ! ご主人さまを感じます。しばらく、このままでいいですか?……そ、それから、ほっぺちゅーです! ちゅ!……む、胸の中が、くすぐったくなります」

「ふふふふ。カナ? カナさん? カナたん? わたくしを利用して。旦那様に取り入るのは……看過かんかできません! できません、できない!」


 ブラックリナさんが!? 


 こ、今度は、こちらですか!? 


 ホワイトに戻ってよ!? ひえええ!?


「リナさん!? 正気になるで、ありんす!? 心の臓にも、負担がかかるで、ありんす!?」

『昔の花魁おいらんが、なぜ出てくるでありんす!?……どうじゃ? 時代劇に出演できる? わらわ?』


 ヴァーチャルエトセトラ。


 着物、はだけ過ぎじゃ! 


 お主も、エロよのう!


 な、なに奴!? であえー、であえー!


 余に仇名す。不届き者じゃ! 切り捨てろお!


 時代劇をやってる場合じゃないの! 


 リナさんがね!? お侍様、お助けを!


『マジウケルー! あーしの妄想に、付き合ってくれるなんてえー。ここは、助けるっしょ!』


 エトセ? 助太刀すけだちしてくれるの? 


「おお? 右腕が勝手に動くぞ? エトセの仕業か! それで――」

「……だ、旦那様!? あん! お、お仕置きでふか!? む、むねを、やさしく、ほぐすあんてええ!?」


 ちょ!? リナさんのお胸を!? 


 も、も、もんじゃ焼き!? 


 ぼくは、たこやきが大好きです!?


「お姉さま、つつしみは、大事です!……ご主人さま、サーヤちゃん達を起こしに行きましょう! お姉さまは、朝食の準備してください! ぷーん!」

「だよねー!? よし、カナさんをおんぶしちゃうぞ!? では、リナさん、達者でな!」

「はあ、はあ、らんなさま。……ふふふふ。わたくしの胸に触るなんて。ぺろり」

 

 エトセトラ、何やらせてんのよ!


 生々しい感触が!


『よいではないか! 黒メイドも黙らせたし。ウィンウィンじゃろ? 精神力の足しにもなるではないか!』







「ご主人さまのお背中に乗ってますよ! お、おもくないですか? 疲労しちゃいませんか?」

「平気、平気。しっかり、むぎゅーしててね?」


 や、やわらかい、二つの物体が!? 


 未確認飛行物体!? 政府の陰謀!?


「……お姉さまに。悪い事したですかね? また、ご主人さまを一人占めに」

「リナさんは、ちゃんとカナさんの事を分かってるさ。カナさんが喜んでくれれば、大丈夫だと思うよ。後で、そ、それなりに。リナさんに伝えておくから」


 う、埋め合わせか。ほっぺたマッサージで満足してくれるかな? 


 美容エステで堪忍してください!?


「サーヤちゃんのお部屋ですね。朝だよ? サーヤちゃん?」

「反応なしか。めずらしいな。寝かして――」


 カナさんが。サーヤのお部屋に入室しましたね。


 じゃ、俺も。お邪魔しまーす。


「熟睡してます。えへへへ!……カワイイお寝坊さんですね。ご、ご主人さま、わたしの寝ている姿は、ど、どうでしたか!? み、みぐるしかったです!?」

「なーに言ってるの? きゃわわで、なでなで、むぎゅー、おでこ、ちゅ! したんだよ? 最高に幸せな姿でした!」


 もう! 見苦しいなんて。言わないでね? ぷんぷんぷん!


「はううう!?……う、嬉しいで、です。サ、サーヤちゃんも、きゃわわですよ!?なでなでしないですか?」

「サ、サーヤにですか!? いや、嫌がるでしょ!? カナさんには大好評ですけどね!?」


 し、進路指導室に呼び出されたくないです。


 しょ、職員室かな!? 気持ち的にね!?


「サーヤちゃんにも。なでなで効果を実感してほしいです! い、嫌がったら、ぜ、絶交ですかね!?」

「や、やめてよ!? 友人関係をデストロイしちゃうですか!?……お、起こさなければいいんだ! なーで、なーで! こ、これで、どうでしょうか?」

「ソ、ソージ君!? あ、頭なでなで!? ね、寝込みを狙いましたか!? は、はずかしい!?」


 終わった。ゲームオーバー。


 しっ責されちゃうよお! ののしられる!


「サーヤちゃん、おはよう! とてもカワイイから。頭をなでなでするんだって! 羨ましいです!」

「ふ、ふーん!? ちょ、調子の良い事を言って。からかってるんでしょ!? ほ、本心を隠すのは。と、得意かなかな!?」


 ちょ、調子の良い事だと!?


 サーヤに対する思いを軽んじてるのか?


「は? サーヤは自分の魅力に鈍感だよ! なんですかあー! 開き直っちゃて! リクエストに応えてやんよ! むぎゅーからの。ほっぺ、ちゅ、ちゅ、ちゅ!」

「ええ!? 割と本気で怒ってますか!? きゃ、きゃあ!? だ、抱きしめないで!? ちゅうされちゃってるよ!? わ、わかりましたからあ!?」

「サーヤちゃんにも、好評みたいですね! えへへへ! 絶交、なしです!」


 カ、カナさんとサーヤの絆をね! 死守した行動だったから! 


 私的な感情じゃないからね!……でゅへへ!

 


 

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る