第42話 メイド姉妹にちょっと……本音を吐露して精神力を消費する
「……はあ。何とかサーヤに謝罪を受け入れてもらったな」
サーヤの短パン返却を無事に達成した。
謝ってしまえば、気持ちもスッキリだな。
『……逆に、謝らせてなかったか!?
エトセトラ? 何を言ってるの?
俺が土下座して。やっと許してもらったんだぞ?
サーヤの純白パンツなんか関係ないだろう!
恥ずかしさに耐えて。
震えてる真面目メガネ委員長なんて。
登場してないぞ! なにを言ってるのかね! 君!
『き、記憶の改ざんしておるじゃろ!? お主!?』
さ、次は。リナさんのスカート返却ですか。
その前に。
カナたんのお部屋に行こう!
ひゃっほー! るんるん。スキップしちゃう!
「カナさん? お邪魔するよー?……おや? 寝ていますね。しずかに、そーっと」
ベッドで天使の寝顔を見せているカナさん。
本日は。ハードスケジュールでしたね。
「あっ、スライム君。カナさんが買った、水槽に居ましたか。ああ、構わなくていいよ? ゆっくり回復してね? 魔石、足りてるかな? うん。分かった。しばらく休養だね。カナさんとリナさんを大切に思ってくれてて。ありがとう」
スライム君に感謝を。
魔力を回復すれば。大丈夫らしい。一安心です。
「……ユニコーンちゃんの人形を抱きしめてる。か、可愛い。頭、撫でちゃうもん! 起こさないように。なーで、なーで」
「……ふわ? ごしゅじんさま? ゆめですか?……むぎゅーしちゃいますね。いっしょに、ねるですか?」
うわ、ビックリした!? 急に、起き上がった!?
寝ぼけていますね。
ぬおおお!? UFOキャッチャーの景品の様に。ホールドされました!?
ち、力、強いです!?
ベッドにあっさり。ポイされた!?
「えへへへ……出会った、頃みたい、です。あの時、よりも、らい、すきです」
「……人混みの中、頑張ったね。お菓子の食べ過ぎに注意しよう。むやみに、格闘技は控えてよ? 子供達と楽しく遊んでる姿が。もっと見たいかな?……うん、見たいよ。……おやすみ、カナさん。おでこに、ちゅつ」
しばらく寝顔を見守ってから。退出しよう。
何時間でも。飽きないけどさ。
いい夢が見られますように。
「リナさん? 入りますよ? あれ?……ヒエッ!? な、なんだ、ダークユニコーンちゃんの人形か。こ、こちらを睨んでるの!? ダークファンタジーが始まるの!?」
机の上にダークユニコーンの人形。
おどろおどろしいよ!
リナさんは? 一階かな?
「ふふふふ! ようこそいらっしゃいましたね、旦那様。防犯の為に、鍵をかけさせてもらいますわ!」
「ドアの死角に!? 闇にまぎれていたのか!? 鍵をかけなくていいよ!? 密室殺人になっちゃう!?」
もう! 声をかけたのだから。
返事をしてください。忍者、にんにん!
「リナさん、メイドスカートの件で来ましたよ。……ふう、下着じゃなくて安堵したよ」
「流石、旦那様。忘れ物を届けに来るなんて。ふふふふ!……新しく購入した。黒の下着をご覧になりたいですって?」
リナさんがスカートをたくし上げる。
いやああん、セクシー!?
自発的にやられるのは。苦手であります!?
「旦那様の意思を勝手に
「あらあら? その反応は……ごちそうさまです、旦那様。喜んでいただけて。ふふふふ! チャレンジ精神を刺激しますわね。よろしいですわ!」
あのクリスティーナが
いかに、リナさんでも。
侵入不可能。諦めなさい!
「防衛成功! うん!? く、黒い何かを感じる!? お、おかしいよ!? すでに、突破されてるじゃん!? ひえええ!?」
「……今回は、手間取りましたね。メイド服を脱がなければ。不可能でしたわ。旦那様? 上も下も、新しい下着ですよ? 密着して、確認しますよね? あら? 複数の女性の影を感じますわ……ねじねじの髪の毛、真面目魔法騎士、カナの気配も。ふふふふ!」
スポーツ競技じゃないし!?
下着で密着して。どう確認するのよ!?
特殊能力使えるの!? 占い師ですか!?
「……サーヤ様と。おまけのクリスティーナに謝りに行ったのですか? むぎゅむぎゅ!」
「……まあ、うやむやにやり過ごしちゃったかな。自分の性格、あっさり変えられたら。もっと世渡り上手に生きてこられたかもしれないけど。昔から友人に『相変わらず、全然変わってないね!』なんて言われ続けたものさ。……こっちは、変わりたいと思ってるんだけどな。……ちょ!? リナさん!? ありがとうですね、コノヤロー!」
久しぶりの同窓会とかでな!
引きこもってからは。一切連絡を取っていない。
いい年して。引きこもった奴だもん。
痛々しい視線を受けるに決まってるし。
お前どうしたの!? みたいな。
失望感を与えたくない。見たくもない。
失望王の称号を与えられても。納得してしまいそうだ。
だから。
人の役に立ちたい。がっかりされたくない。
失望されたくない。あの、冷え切った視線を浴びたくない。
仲間の皆にも。
いつか。
そうさせてしまうのだろうか?
「えへへへ!……わ、わたくし!? いま、妙な笑い方を!? だ、旦那様の
「うわ、カナさん!? そ、そっくりだったよ? あははは!……どれ、リナたんにも頭、なでなでしますよ。はいはい、お姉ちゃんも大変ですね。よしよし」
姉妹ですから。似ているのは当然ですけど。
お姉さんは。いつも冷静さを装っていますから。
「……も、もう、旦那様は。あ、ありがとうです。……サーヤ様の言ってる事は、正しいのでしょう。ですが、正しいけど、正しくない事も。世の中には、あると思いますわ。……それに、旦那様は自覚していますし。無理に変われというのも、押し付けですから」
「……なんだか、リナさんに慰められてるなあ。……スカートをわざと部屋に残したのは、この目的の為ですか?」
聞いても。はぐらかすだろうけど。
確認するだけでも。
「……いいえ。二人きりで過ごしたくなったからです。ただ……それだけですよ、旦那様。よ、欲を言えば、このまま一緒に就寝してくださいますか!?」
「そっちが本命じゃないですか! へ、変な事はしないと約束してくれるなら、良いですよ? ……リナさんにも、かなり心労させましたからね。抱き枕リナさんだー! ぐへへへ!」
「や、やりました! 既成事実ですね! はい、お願いされました。ふふふふ!……出会った頃を思い出しますね。あの時よりも、旦那様の事を……ちょっと……ですけど」
あれ? どこかで聞いたセリフだな?
記憶力が雑すぎるぞ、俺。
「では、お休みの前に。リナさんにも、でこちゅうー! ちゅっ!」
「ひゃん!?……旦那様? 寝かせないおつもりですか? やっても、よろしいのですか? 子供は、お好きですか? あら?……お休みなさいませ、旦那様」
やっぱり、一人で寝た方が良かったかな。
まあ、いいか。
リナさん成分を補給しよう。
本人には伝えないけど。ドキドキしてます。
ね、寝不足注意だ!
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