第43.5話 旦那様!? 幻滅なさらないで!?(近況ノート掲載を加筆修正)

「妹のカナには困ったものです。朝から旦那様をぷんぷん! で起こすなんて」


 とは言え。わたくしが寝坊するとは。


 流石、旦那様。


 わがままを聞いてくださって感謝してますわ。


 メイドとしての職務をこなす活力になりました。


 ただ……甘えすぎて。


 妹のカナに妹扱いされるのは。ちょっと。


 ふふふふ。わたくしの一日は旦那様であふれていますわね。……本当に。


「それにしても。旦那様は朝から積極的に胸を掴むなんて。まだ感触が残っていますわね。ふふふふ。ですが……旦那様の意思では無い所が。ちょっと」


 旦那様の特殊能力? の根源となる存在が。


 旦那様の精神と一緒に居る。


 と言うのは存じ上げていましたが。


 その存在の仕業でしょうね。


 ご助力じょりょくさんきゅーです!


 えへへへ! 贅沢は言えないもん! 


 旦那様の慌てる姿は。ごちになります!


「こほん。いけません。カナ化が進行してしまいます。旦那様がお望みなのは。着実に職務を遂行すいこうできるメイドです。えりを正さなければ!」


 ですが、妹のカナのように気軽に頭なでなでとか。


 むぎゅーとか。ほっぺちゅーとか。


 わたくしだって! 裏山ですよ! 山菜取り放題を眺めてる感じですわ!


「今度は旦那様の影響が!? うらやましいでしょうに!? どこの裏山ですか!? 食い意地キャラは妹のカナでしょ!?」


 と、とにかく。わたくしはわたくしです! 


 自慢ではありませんが。大人っぽさでは圧倒的ですから。


 カナに対しては子供の対応をしているのですわ。旦那様は。


「はて? 大人の対応? い、一線を越えることでしょうか? きゃああ!? 今になって出会った時の様子が!? あ、あれはカナを助ける為に!? 旦那様を押し倒しまして!? そんな軽い女じゃないの!? 旦那様!? 幻滅なさらないで!?」


 あの時は無我夢中でしたし!?


 ああでも。旦那様の焦った表情も……ぺろり。


 違います!?


 旦那様の注目を浴びる為に。


 いたずらっぽい女性を演じてるのであって!?


「ハア、ハア。ますます取り乱してしまいましたわ。こんな所を誰かに――」

「ぷるぷる!?」


 あら? スライムさん? おはようございます。


 ふふふふ。体調はいかがですか?


 見ましたか? 見ましたか? 見ましたか? 


 わたくしのあられもない姿を?


「スライムさーん? どうしたのですか? いつもより青いですわ? こっちにきてください? カナみたいに。むぎゅーをさせてくださいませ!」

「ぶるぶる!?」


 立ち去ろうとするスライムさんを捕獲。


 普段より感触があまり良くないですわね。


 例の騒ぎの時に力を使いすぎたらしいですわ。


「ふふふふ。そんなに怖がらなくても。わたくしだって。カナと同じ所はちゃんとあるんですからね?……わたくし達姉妹を大切に思ってくださって。ありがとう、スラちゃん。無理は禁物だよ?」

「ぷるぷる!」

 

 素直で良い子ですね。えへへへ!


「……で、スライムさん? いつからそこに? 教えてください?」

「……ぶるぶる!?」

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