第40話 クリスティーナの逆襲とサーヤのお説教で精神力を消費する

「……クリスティーナ! 通り魔を殺しに行くとは、何事ですか! ふとももエロい! もっちり肌! 師匠として、殺人行為は認めんぞ! 厳重ちゅうーい! ちゅ!」

「ロ、ロザリーは、宿舎では隣の部屋に住んでいましたの! 同期ですもの! 関係者ですわー! なぜそこで、ふとももの執着心を!? は、肌に関しては、ありがとちゃん!……し、師匠!? ふとももにまた口づけですの!? らめえ!?」


 うわーい! クリスティーナのノルマ達成! 


 やっぱり、お姉ちゃんのパンはこうばしい!


 はむはむ。常連だよー! スタンプカード溜まってる!


「そ、そんなにふとももがよろしいならば。このように締め上げて、さ! し! あ! げ! ま! す! わ!」

「むぐううう!? ふとももに首が圧迫されるう!? こ、呼吸があ!?」


 ぐ、ぐるじい。安息の場所が、死に場所に!? 


 首も折れちゃう!? ふともものはさみ攻撃!? 


 プラモデルは、ニッパー使ってええ!?


「おーほほほ! は、はしたない攻撃ですが。貴方にとっては効果大ですわねー! けけけけ。くたばれ、色欲のソージ!……ぐがああ!? う、受け身ちゃんですのおお!?」

「クリス! ご主人さまが苦しいでしょ! たっくるです!」

「ふう、ふう、し、死ぬかと思った。ふええん、カナたん!」


 カナさんの体当たりで。ふともも娘を突き飛ばした。


 だが。しっかり受け身を取りやがった。


 カナたんの腰にすがりついてます!


 怪我の功名で癒されます!


 な、なでなでしてくれるの!?


「ソージ君、ロザリーさんを治療してくれたとか。その件については、ありがとう。でも、心配と不安だよ! 何でも引き受けちゃうのは! 自分を大事にしてくださいね! 精神力が摩耗しちゃいますよ! 寿命も短くなっちゃいますし!」

「ザーヤはだにもわがってないぎょー! ぼぐは、ロリーちゃんをだすけるだけでよがっだんのにざあ! エ、エンファンズが、通り魔があ!」

『ロリーちゃんじゃないからな!……かなり精神がやられておるぞ』


 被害にあった人を助けちゃダメなの? 


 助ける能力があるのに? 


 サーヤは何を言ってるの? 


 俺なんか心配しなくても良いのに。


「エ、エンファンス副団長ですか!?『氷結の処刑人』の異名の!? か、彼女がロザリーさんの所に!?……ひと悶着もんちゃく所では済まなかったのでは!?」

「えへへへ! サーヤちゃん、姉御あねご、エンファンスのお腹に全力パンチしてやりました! 病人を無理矢理、じんもんしようとしてましたから! いけない奴に天罰です!」

「あ、ありえませんわ!? カ、カナが、あのエンファンスをボコちゃん!? ソージ、実際どうなってるのですか!」

「へえ、やるじゃないか、カナ! 本格的に格闘術を教えようかねえ! うふふふ」

「カナが? あはっ! 油断のならない奴め! おさなさは擬態なのかあ?」

「事実だよ、クリスティーナ!……お前の影響で、カナさんがエンファンスに立ち向かって……スライム君を拳にまとって強化してさあ!……倒れた所に、リナさんが座って追撃。肋骨ろっこつ粉砕骨折、重体。……結果、俺が治療しましたよ」

「名ばかり副団長が、あまりにも……ふふふふでしたので。念には念を! 殺意には殺意を! 命には命を!」


 やっぱり作為的だったのかあ!? ダークネスリナ!? 


 どこの狂戦士の思考なの!?


「どちらにせよ。ソージがあのエンファンスを黙って見過ごす訳、ありませんわね……ロ、ロザリーを救って頂いた事は、褒めて差し上げますわ! よくやったですわー! おーほほほ! しかし、好んで火中に飛び込むクセは、直した方がよろしいですわよ! 命知らず、自己犠牲ちゃん。人助け強迫観念! ふぬう!」

「り、理不尽だ。なんで俺、説教くらってるの!? 人助け、重要じゃないの!?」

「ソージ君、自分の身をかえりみず助けてはダメですよ! 現に、何度も倒れかかってるでしょう? 私達は、ソージ君の事を――」


 ロザリーちゃんを救って悪いの? 


 通り魔を撃退したのはメジスト姉さんと、アイさんと、スライム君が奮闘した結果だもん! 


 特に何もしてないじゃん。俺!


「ザーヤの言ってる事、分かりましぇん! このむっつりサーヤ! 短パン引き下ろしたる! 白パンツ、こんにちは!」

「もう、他人を優先しすぎなの! む、むっつりじゃないよ、私!? なんでですか!? きゃああ!? ど、どこに挨拶してるの!?」


 勢い良く。


 サーヤの履いていた短パンを引きずり下ろし。


 強奪する。


「ちょっと!? ソージ君、私、下、下着なの!? か、返しなさい、こら!」

「本性をむきだしですわね!?……サーヤは下着が、むきだしですわね」

「皆さん、旦那様を追い込みすぎですわ!……今日は、色々ありすぎましたから。一人でゆっくりさせてあげてくださいませ」

「……姉御あねご、ご主人さま、悪者じゃないもん!……なんで、非難するの?」

「ソー坊は、損な性格なだけさ。……だから、皆、心配してるだけだよ、カナ」

「そうそう。ソージは自分よりも他人重視してるからなあー。もっと、自分を大切にって話」





「訳分かんねー。エトセトラ。俺は……」

『確かに。おさげ娘の短パンを顔の上に置きながら。寝転んでる事実をな!』


 おっと。サーヤの短パンを奪ったままか。


 些細な事さ。


『いやいや!? おなごの短パンをくんかくんか、してたじゃろうがあ!』

「誤解してるぞ! ……人は呼吸しないと死んじゃうもん! 酸素を取り込んでるの!」


 サーヤ、ぷんぷん怒ってたしな。


 何が気に入らないだろうか? 


 すうはー、すうはー。深呼吸大事!


『黒いメイドも言っておったろ?……自分自身をお嫌いですかとな。自分の存在が希薄すぎるのじゃ、お主は。自分よりも他人を優先するのが、見てられんのだろう。例え、結果的に人が助かっても』

「意味不明。……人の役に立つことは、良い事じゃん! 俺は、間違ってないし!」


 自分よりも。


 他人を気にかけて、何か問題あるのか?


 昔は、役に立たない事で誹謗中傷されたのに。


 今度は、人の役に立つなと言うのかよ!


『……そうは言っておらん! じゃがの、お主。自分をもっと認めてやったら良いではないか? ただ、それだけじゃ。……自分の事を心配してくれる処女達が現れて、混乱しとるとも言えるな!』

「……無理だよ。自分の事なんか、好きになれないし。……社会不適合者だった奴なんか。茶化すなよ。ふあ!? 童貞の俺にもチャンスあるのかな!? 自分のこと、好きになりそう!」

『こ、こやつ!? ぶっ殺さんだ! 年末の総合格闘試合をしたいらしいな! かかと落としじゃあ! なにい!? 防ぎおった!?……いやん、どこを掴んでおるのじゃ? エッチ!……うむ、い奴じゃ!』

「はあ? エトセトラが言いました! 自分を認めなさいって! なんの、上段ガードからの背負い投げ! む、胸を掴んじゃっただろ!? たわわなんだよてめえー!?……ちくしょー、ありがとうエトセ、むにゅぼよん!」


 バーチャルエトセトラをかまって。


 気分をごまかすか。


 


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