こちらトマト運輸

ぴろる

第1話 ハロウィン

「どいつもコイツもバカみてーなカッコして浮かれやがってよ!邪魔なんだよクソが」


街はハロウィンを楽しむ人だかりでごった返し、駅前の道全体が満員電車のように混雑している。


配送員の山口は感情にまかせ激しくクラクションを鳴らし続けるも車は完全に身動きが取れなくなっていた。


「ちっ、こんなんじゃ仕事になんねーな。おう新入り、今日は上がりだ」


山口は道のど真ん中に車を停め外に出る。


「え、ちょ山口さん車このままでいーんスか?」


「動けねーんだからしょうがねーだろ。邪魔ならそのうちレッカーが来てどかしてくれんだろよ」


「はぁ…」


新入りは不安そうな顔で車を後にする山口の背中を追う。


「近くにいい立飲みがあんだ。そこ行こーぜ」


「えっ!?でも、制服のままじゃマズくないスか?」


「大丈夫。今日はハロウィンだろ?」






―翌朝―


「この度は誠に申し訳ございませんでした」


トマト運輸の役員一同が一斉に頭を下げる映像が全国TVに流れていた。


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