作った人達の話

皇城の一室にて

「うふふ……。出来ましたわ、騎士様」

「そうだね、姫様」

 ある帝国の城にて、狐の耳と尻尾を有した騎士、そして銀の髪の姫が楽しそうに笑っていた。

「後はこれをこっそりと、お母さまの部屋に持って行くだけですわね」

「そうだね」




 その翌日の事。

「ちょっと、これは何なのかしら?」

 姫のお母さまこと帝国の女帝が、大慌てで姫の部屋に駆け寄った。

「あら、お母さま。これまでの感謝を込めての、贈り物ですわ」

「ありがとう……って、どうしてこんなものを! 昔の事を思い出して、恥ずかしい気分になったじゃないの! ああ、かつてのわたくしは、何という事を願っていたのでしょう……」

 女帝が顔を真っ赤にして叫ぶ。

「まあまあお母さま、今は願いが叶ったのですから、よいではありませんか。別の方法では、ありますけれど」

「っ、それはそうだけれど……! ああっ、ものすごく恥ずかしい……!」

 姫の追い打ちに、女帝はますます顔を真っ赤にしたのであった。


 そんな様子を見ていた騎士は、姫にガッツポーズをした。「大成功だね」という意味だ。

(ええ、騎士様。大成功ですわ)

 姫もまた、騎士に対してガッツポーズをしていた。


 しかし女帝は俯いていたために、そんな様子を知る事は無かった……。

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